池袋犬儒派

自称「賢者の樽」から池袋・目白・練馬界隈をうろつくフーテン上がり昭和男の記録

アビダルマ哲学要諦(29)

2024-07-06 13:49:15 | 日記

サンガハに関する注釈書

「アビダンマッタ・サンガハ」はきわめて簡潔なので、説明してもらわないとすぐに理解が不可能である。したがって、このような簡潔だが含蓄のあるアビダンマ哲学の梗概を解説するため、たくさんの復註すなわち注釈書が書かれた。おそらく、この書物は他のパーリ原典より多くの注釈書を持っているのは事実であり、パーリ語だけでなく、ミャンマー語、シンハラ語、タイ語などでも多くの注釈が書かれている。特に15世紀のミャンマーは、アビダンマ研究の国際的な中心地であったので、ミャンマー人の学者がパーリ語およびミャンマー語でたくさんの注釈書を書いている。パーリ語のサンガハ注釈書だけでも19あり、そのうち以下のものが最も重要である。

  1. Abhidhammatthasangaha-Tikaは「古注釈書」という名前で知られている。12世紀にスリランカのNavavimalabuddhi師という長老が書いたきわめて短い復註である。
  2. Abhidhammatthavibhāvinī-Tikaまたは略してvibhāvinīという。同じく12世紀のスリランカ長老Sariputta Mahasamiの弟子であったSumangalasami 師によって書かれた。この復註はすぐに「古注釈書」の代わりに使われるようになり、多くの人から、サンガハに関する最も深くて信頼できる解釈であると見なされている。ミャンマーでは、この著書は「有名な注釈書」という名前で知られている。アビダンマの知識の広さと内容の深さにより、この作者は非常に尊敬されている。作者はアビダンマ復復註や「清浄道論」の大復註(Paramatthamanjusaという名前でも知られている)などの、古くて権威のある注釈に強く依存している。Ledi Sayadaw(下記参照)が自分のサンガハ注釈書でvibhāvinīを広範囲にわたって論難しているが、この書物の人気は衰えるどころが以前より増しており、何人かのミャンマー人学者がLedi Sayadawの非難に反論しているくらいである。
  3. Sankhepa-vannana:これは十六世紀に書かれ、著者はBhadanta Saddhamma Jotipala別名Chapada Mahatheraというミャンマーの僧侶である。彼はKotteのParakramabahu VIの治世下にあったスリランカを訪問した。[14]
  4. Paramatthadipani-Tika、「究極の意味の解明」:作者はLedi Sayadawである。Ledi Sayadaw(1846-1923)はミャンマー人で、近代のテーラワーダ仏教世界の中でもっとも優れた学僧および瞑想の達人の一人である。彼は、哲学、倫理学、瞑想方法、パーリ語文法など、テーラワーダ仏教の様々な側面に関して七十以上の手引書を執筆している。
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