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高度生殖医療、体外受精で妊娠!主に出産までの記録をしていきます。

「全染色体を着床前診断」について素人なりに考えてみよう

2012-07-12 | 妊活

 

昨日7/11、こんなニュースがありました。

新型の着床前診断で16人出産→http://www.yomidr.yomiuri.co.jp/page.jsp?id=61577&from=popin

 

体外受精した(この場合顕微授精も含まれているのか不明)受精卵に対して

全部の染色体に異常がないかの検査を行い、

異常のない受精卵をお腹に戻すというやり方。

 

受精卵をお腹に戻しても

着床しなかったり、初期流産してしまったり。

そういうのは、全てではないが「卵の力(染色体異常)」なんて言われたりします。

私たち患者の方の知識としても、「お母さんのせいじゃない。卵の生命力が弱かっただけ」

という風になぐさめあったりしています。

だから妊娠が成立するまでは「卵の力を信じるしかない」みたいのが通説。

 

 

そのため、「卵の力」が良いものをお腹に戻し

妊娠率が上がったという報告です。

 

 

しかし一方記事では

「日本産科婦人科学会は会告で、着床前診断を重い遺伝病の患者などに限定し、一般の不妊患者には認めていない。染色体に異常のある受精卵は除外するため、ダウン症などで生まれる可能性のある命をも消してしまうことになり、「命の選別や障害者の存在否定につながる」との批判があるからだ。」

という指摘も掲載されています。

↑「新型の着床前診断で16人出産…学会指針に違反」より。

 

ということで、体外受精経験者として、

またNT(胎児頸部浮腫)の所見があったけど

詳しい検査はせず、今のところ「産む」選択をしている者として、

でも身勝手ではありますが、

倫理観や医学的観点、というのはちょっと難しいので

(というか、そこまで素人なりにでも広げると何も言えなくなってしまうので)

経験者で且つど素人という立場で少しだけ思ったことを書いてみたいと思います。

 

 

 

まず、全染色体について受精卵の段階で検査ができるということ。

医学の進歩ってすごいわ、、、。

高度生殖医療に命を授けてもらった私は、医療のすごさを実感しているけど

さらに驚かされました。

医学が進むのに比例して、倫理観の検討はもちろん必要なんだろうけど

それでも、まあ、すごいわ、、、って思う。

 

 

受精卵の段階で、良し悪しを判定することについて。

「命の選別」という批判があるようですが。

私は、1回の採卵で9個の卵子が採れました。

主人の精子と合わせてもらって、でも受精できたのは1つでした。

卵子の質が良くなかったので、残り8個の卵子は受精できなかったとのことでした。

運よく受精した1つの受精卵は、質(グレード)もまあまあだったので、先生の判断でお腹に戻してもらいました。

 

それまでに、素人の口コミ、掲示板「ジネコ」で色々と情報を集めました。

複数の受精卵ができた人の場合、

受精後の数日の分割状況(発育状況)で、どの受精卵をお腹に戻すか決定します。

分割が止まってしまった(死んでしまった)受精卵はもちろんそれで終わりですが

分割の質(グレード)が悪い(でもまだ死んでない)受精卵は、先生の判断で破棄することがあるようです。

お腹に戻しても育たない、という判断です。

 

うんと、これは「命の選別」にはあたらないのでしょうか?

この破棄した受精卵は、前掲の「重い遺伝病の患者などに限定し」ってことの

意味範囲の中に含まれるんだろうか?

 

以上は「命の選別」批判に対して素人なりの疑問。

 

 

次に、患者としての気持ち。

例えば、受精卵が3つできたとして。

おそらく良い質のものから、お腹に戻すでしょう。

1つ目が着床しなかった。

2つ目は着床したけど初期流産。

だった場合、

患者としては、2回の“失敗”でかなりへこんでいる状態で

次の処置は

その1・(3つの受精卵のうち)一番質の悪かった受精卵(残り1つのもの)を戻す

(しかもこの受精卵より質が良かった2つでもダメだったのに。)

その2・(私にはとっても痛かった)採卵からやり直し(再度夫に精子を採ってもらい、またお金をかけて)

質の良い受精卵が(できるか分からないけど)育つのを待ってからお腹に戻すか

の選択を悩むことがあります。

早く子供を授かりたいからその1、という気持ちと

ダメだった時のそれまでの時間やお金ががやっぱりちょっと無駄だったと思ってしまうこともあるからその2、

という気持ちと、

悩んでしまいます。

 

それで、この気持ちを前提とすると

お腹に戻す前に着床障害や流産のリスクを減らせる(妊娠の成立する確率があがる)

となると、いいかもって思う。

だけど、年齢やAMHの値、その人が持っている卵子の質なんかにもよると思うけど

移植(お腹に戻す)までのステップをなかなか踏めない状態にもなるんじゃないかな、とも思う。

 

不妊治療って、結果にももちろんへこむことがあるけど

前に進めないことでも大きなストレスがかかる。

採卵したけど、卵が採れなかった。

卵子と精子を合わせてもらったけど、ひとつも受精しなかった。

受精したけど、分割が進まなかったので移植できなくて最初からやり直し。

などなど。

 

もちろん、頭では理解していても

「移植(お腹に戻す)すらできない、、、」ってショックも増えるんだろうな。

質が多少悪くても移植をして、少しの希望を持って

それでダメだった時のショックと比べるものではないんだろうけど。

 

あ、でもそもそもお腹に戻す前に全染色体を検査して

全滅ってことあるのかな。

その辺の兼ね合いもあるのか。

5個の受精卵の場合、戻せる確率は〇〇%、

みたいなデータもあるんだろうか。

ないか。個人差だもんね。

 

 

そんでもって、もうひとつ考えているのは

体外受精に進んでる人たちは

色々考えて、お金や身体的な苦痛の代償も払って

「子供を授かりたい」と考えている人たちが多いと思う。

私みたく受精卵が1つしかできなくて

でもお腹に戻す前に「染色体の異常があります」って言われて

(ここも素人だから間違っているかもしれないけど)

でも「(長くは生きられないかもしれないけど)生きて、生まれてくる可能性もあります」

みたいな状態だった時

だったらお腹に戻してほしい、と決断する夫婦も0ではないんじゃないだろうか。

 

 

余談ですが、中絶についての記事↓ 1年前だけど。「出生前診断で異常発見し中絶、10年間に倍増

http://www.yomidr.yomiuri.co.jp/page.jsp?id=44283&from=popin

 

不妊治療をしてるとね。こういうのってビックリしちゃうんだけどね。

 

 

それで、今回のニュースになった大谷先生の言葉。

 ――日本産科婦人科学会は一般の女性への着床前診断を会告で認めていないが、どう考えるか。

 「流産は女性の心身を大変傷つける。それを避けたいと思う患者のためになることをするのが医療のはずだ。染色体の数の異常が原因と考えられる不妊の女性にも、この技術の適用を認めてほしい」

 ――これまでも障害者団体は強く反発している。

 「流産を予防するためであり、障害を持っている人を排除しようという気はまったくない。赤ちゃんを助けたい。不妊症の人を救いたいという思いだけだ。妊娠したいと願うのは人の本能であり、それがかなわない人を救うことこそが医療だと考える」

↑「大谷院長との一問一答…全染色体診断 」より。

 

 

流産は女性の心身を大変傷つける。

経験してないけど、きっとそうなんだろうな。

しかも、流産経験者って殊の外多いってことも知った。

言わないだけで、「実は私も」ってことが多いこと多いこと。

ちょっとネット見ただけでもいるからなあ。

そこだけシンプルに切り取れば、やっぱり賛成という気持ち。

 

 

でも、やっぱり手放しで賛成、ってことではないようにも思うし。

 

命ってなんでしょうね。

ワンさま、教えてくれるかなあ。

 

 

 

 

 

 


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