沈黙の春

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バロンズ】地中海での引退生活捨ててAIGを救った男

2012-08-21 11:59:17 | 金融、経済

http://jp.wsj.com/Finance-Markets/Finance/node_494382?mod=WSJSeries

 

ロバート・ベンモシェ氏(68)はこのほど、米保険大手AIGの最高経営責任者(CEO)就任3周年を迎えた。同社は4-6月期(第2四半期)決算が27%増益となり、先週には筆頭株主の米政府が持ち分を53%に引き下げた。2013年末までに政府管理下から完全に脱却する可能性があるとベンモシェ氏は語っている。こうしたすばらしい状況は、ほんの2年前とは大違いだ。

Brad Trent for Barron's

AIGのロバート・ベンモシェCEO

 金融危機最大の救済の後、部隊を結集させ、知的に縮小を進め、不安定なことも多い米政府との関係を管理しながらAIGの健康を取り戻したベンモシェ氏が、ウォール街に近いAIGの役員室でバロンズのインタビューに応じた。

 同氏は「20世紀は航空機のエンジンからコンピューターまでテクノロジーの世紀だった。21世紀は、高齢化にどう対応するかが重要だ」と語った。労働年数が長くなるほど、経済は大きく成長するとしている。

CEO就任

 ベンモシェ氏がAIGに加わったのは2009年8月。連邦準備制度理事会(FRB)と財務省の不良資産救済プログラム(TARP)が、デリバティブで瀕死(ひんし)の状態にあった同社に対する最大1820億ドルの救済を承認して数カ月後に当たる。政府は同社の90%以上を取得した。AIGは侮蔑され、政治家やコメディアンのジョークのネタになった。

 AIGは同年初めてベンモシェ氏に接近した。3年前にメットライフCEOから引退した同氏はクロアチアでくつろいでいた。同氏は01年に購入したドブロブニクの「スプレンディド・バー」を6年がかりで改装し、07年にB&B「ビラ・スプレンディド」をオープンしていた。(念願のブドウ畑も近くに購入。11年にはワイン3000本も生産している)

 ベンモシェ氏はAIG取締役会に仕事を引き受けると伝えたが、前任のリディ氏が年間報酬1ドルだったのに対し、1000万ドルを主張して譲らなかったとされる。また、クロアチアの自身のワイン畑で初の収穫が迫っており、すぐにもそこに向かわなければならず、会社とは最新システムで連絡を取り合うと述べた。取締役会は合意した。

 ベンモシェ氏は「AIGのトップが休暇を取得」との新聞の見出しを無視した。記者が別荘に押しかけると、何も隠すことはないといった様子で語った。その後、世界中の従業員とミーティングをした。リディ氏が議会で黙りを決め込んだときに裏切られたと感じた従業員もいたが、ベンモシェ氏は大胆だった。議会は「めちゃくちゃ」であり、ニューヨーク州のアンドリュー・クオモ司法長官(当時)は政府内に存在するに「値しない」と言った。

 ペインウェバーでブローカーを、その後メットライフでファイナンシャルアドバイザーをやる気にさせたベンモシェ氏は、モラル回復が第1歩であり、AIGの将来の健康はそれ次第だと知っていた。企業幹部報酬の特別監督官だったケネス・ファインバーグ氏と衝突したが、辞任をちらつかせると同氏は折れた。ベンモシェ氏は、グラスにはまだ半分も残っている、と従業員に伝えたかった。その1滴1滴のために闘っていた。

 財務省で企業再建担当責任者としてベンモシェ氏をスカウトしたジム・ミルスタイン氏は同氏について、「わたしと戦い、ケン(ファインバーグ氏)と戦った」と述べ、「決して分析面が弱いわけでないが、非常に長けているのは人をやる気にさせることだ」と評した。

 AIGを軌道に乗せ、リスクを制御し、政府に返済するには拠点を減らす必要があった。金融商品部門を徐々に縮小したほか、すべてを売りに出した。海外生命・医療保険部門アメリカン・ライフ・インシュアランス(アリコ)もメットライフに売却した。アジア生命保険部門アメリカン・インターナショナル・アシュアランス(AIA)は上場させた。台湾と日本の事業も売却している。

 FRBの融資の担保となっていた住宅ローン担保証券(MBS)や債務担保証券(CDO)のポートフォリオはFRBが入札にかけた。こうした融資は現在返済されており、FRBは価格上昇で利益を上げ、AIGも損失をいくらか取り戻している。

 こうして縮小した同社の今年の収入は350億ドルの見通し。07年の1260億ドルと比べると少ないが、見通しは良好だ。ベンモシェ氏就任後、株価は185%上昇している。

がん発覚後

 ベンモシェ氏が10年終盤にがんをわずらい、AIGはあらためて不透明な期間に入った。診断後、同社は直ちに事実を公表した。同氏は職務を続け、がんの種類は公表しなかった。今のところ、がんは撃退されているようだ。

 治療開始から1年後、ベンモシェ氏は当初計画していた12年には引退しない意向をAIG取締役に伝えた。当時WSJに対し、「時間がありすぎるのは健康的でないと思う」と語っている。株価は今年既に40%上昇しているが、やるべきことは多く残っている。

 同氏はAIGが「成長企業だ」と断言する。昨年5月には、いくつか目標を設けた。現在4.7%の株主資本利益率(ROE)を、15年に終了する年度までに10%に、1株利益(EPS、現在2.62ドル)成長率を10%台半ばに、それぞれ引き上げる目標だ。こうした数値は、税引き前営業利益40億~50億ドル、15年までのコスト削減10億ドルや、損保事業チャーティスおよび生保事業サンアメリカの成長を想定している。

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