保安院:全電源喪失の恐れ スマトラ受け東電に指摘(2012年5月15日 11時29分)
東京電力:保安院のスマトラ津波の指摘に反論文書
毎日新聞 2012年05月16日 20時17分(最終更新 05月16日 20時23分)
経済産業省原子力安全・保安院が06年、スマトラ沖大地震(04年)を受け、原発が津波で全電源喪失する恐れを東京電力に指摘していた問題で、東電は16日、「当時の現実的な津波を想定したものではなく、保安院との勉強会として影響を確認したものにすぎない」と反論する文書を発表した。保安院が勉強会用に作成した内部資料も公表した。
内部資料で保安院は、東電福島第1原発5号機が、高さ14メートルの津波によって無期限に浸水したと仮定した場合、全電源喪失する恐れがあると指摘。一方で「土木学会の津波評価(当時高さ5.7メートル)に基づき、発電所の安全性は十分確保されている」「(津波想定は)あくまでも仮定」とも記している。
東電の松本純一原子力・立地本部長代理は16日の記者会見で「(高さ14メートルの津波、無期限の浸水など)保安院の想定は無理やり、仮定を置いたもので、合理性はないと当時は判断した」と述べた。【中西拓司】