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産経新聞 9月14日(金)7時55分配信
■再稼働に影響も
全国の原発で、東京電力福島第1原発のような過酷事故(シビアアクシデント)が発生した場合、どの範囲まで影響が及ぶかについて、経済産業省原子力安全・保安院がシミュレーションマップを作成し、近く公表する方針を固めたことが13日、分かった。原発事故の影響範囲の試算を国が示すのは初めて。
自治体が防災計画を作成する際に参考となる貴重な資料だが、原発に対する過剰な反発を助長する恐れもあり、原発の再稼働などに影響する可能性もある。
保安院によると、マップは福島第1原発と高速増殖原型炉「もんじゅ」を除いた全16原発で作成する。各原発で福島第1原発並みの事故が起こったと想定。国際原子力機関(IAEA)が避難を判断する基準としている、「7日間で100ミリシーベルトの被曝(ひばく)」を超える恐れのある地域の広がりが読み取れる内容になるという。
福島第1原発事故を教訓に、国は今年3月に防災対策を講じる区域を改訂。原発の周辺自治体でも、防災計画の見直し作業が行われているが、放射性物質(放射能)がどのように広がるかが分からないため、一部自治体からシミュレーションマップの作成を求める声が上がっていた。
一方で、マップの内容によっては今後、原発再稼働などに影響が及ぶ可能性も出てくる。原発から距離があり、関心が薄かった地域でも、事故の影響が及ぶことが明らかになれば反発が高まるのは必至だからだ。
ただ、今回の試算は福島第1から放出された放射能を元に計算したもので、保安院の担当者は「あくまでも仮定の数字を使った試算で、実際の被害を予測したものではない。試算結果だけを見て誤解が生じないよう、公表の際はできるだけ丁寧に説明したい」と話している。
【用語解説】原発事故の影響範囲
従来は事故の影響範囲を原発から8~10キロ圏内と想定し、防災対策を重点的に取り組む地域(EPZ)を設定していた。しかし、福島第1原発事故では、原発から約50キロ離れた場所にも、避難が必要な高線量地域が広がった。そのため、原子力安全委員会は今年3月、EPZを見直し、対策が必要な範囲を30キロ圏内とする「緊急防護措置区域(UPZ)」を設定。さらに、事故が起きそうな事態が発生したら直ちに避難する区域「予防防護措置区域(PAZ、5キロ圏内)」なども設けた。
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最終更新:9月14日(金)8時16分