翌朝。僕は4時半に起床し、40分後にはビーチに来ていた。サーファーが少しいるだけで、海水浴客とライフセーバーはまだいない。ぼくはサーファーの邪魔にならない場所から漕ぎ出した。フネが波と垂直になるように気を配りながら、サーフゾーンを正面突破する。ファルトは、フネに乗り込んでからシーソックを調節して足の位置を整えるまでに少々時間がかかるので、サーフゾーンでは緊張させられる。波をかぶったけれど頭上までずぶぬれになることはなかった。
サーフゾーンを抜け、気がついてみると、ぼくは伊豆の穏やかな海に浮いていた。無風。太陽が東の低い位置から穏やかに水面を照らしていた。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/25/20/9a6fb77e4b10e2f8949f31ae35cff515.jpg)
南へ向かう。昨日はよくわからなかったけれど、伊豆の海はとてもきれいだ。海水温が高いのに透明度が高い。まるで南国の海みたいだ。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/4b/48/3ddaadf39c86890738b30fda7e3ef9a9.jpg)
ウワサにはきいていたけれど、やはり伊豆の海は海蝕洞窟が多い。少し行くと天窓洞窟があった。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/60/d7/d3c65ea28ba81c09596000d2cd8a3431.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/72/cc/d62a9293ef11421bf036f0e658b239ba.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/62/7b/46910c85e3445ba90dda8671093f38e6.jpg)
洞窟に入っていくと、天井がすこーんと抜けている。不思議な光景である。どうしたらこうゆう削れ方になるんだろう。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/61/9d/7478c9b6a192862d239b01ce1519af8b.jpg)
太陽はみるみる高くなっていった。いい匂いが陸のほうから漂ってくる。ああ、きっとあそこの民宿だ、とぼくは思う。お味噌汁と焼き魚の匂い。おいしいだろうなあ。
つらつらと漕ぎ進め、弓ヶ浜に着いた。ほんとうにしなった弓のような形をしている。幸いまだ早い時間なので海水浴客はほとんどいない。また、波もないのでサーファーもいない。ぼくは浜のすみっこに上陸した。そこでぼーとしたり、弓ヶ浜の付近をサンダルで散歩したりして時間をつぶした。さーて、これからどうしようか。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/2e/aa/73545954731540d5692e200eaebee9ce.jpg)
ぼくはそこからもう少し南へ漕いでみることにした。少し漕ぐとすぐによさそうな洞窟があったので入ってみることにした。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/73/4a/92936653a5bc856c7600b08436cc4f08.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/0d/24/82a8500430615c331172923b5bed0e52.jpg)
なかなか美しい洞窟である。中に入ってみるとすこしひんやりしている。潮の匂いと岩の匂い、増幅される波の音、波にさらされた剥き出しの岩肌、奥に向かって濃くなる闇。入り口から漏れてくる朝日が実に美しくて、しばらく見とれた。
さらに南へ向かう。海況はよかったけれど、石廊崎(いろうざき)を回り込むのは準備不足と思い、さらにこれからの時間帯の猛暑を計算に入れると、石廊崎の手前で引き返すのが無難なように思われた。しかし気分的にはもう少し漕いでいたいので、石廊崎手前の蓑掛島を目的地と決めて漕いだ。縦に長い蓑掛島に辿りつき、折り返した。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/2c/03/9f30ea172792efa3580aa4415902e83e.jpg)
そのまままっすぐ北に漕いでゆき、出艇地である大浜のすぐ南にある、こじんまりとした浜まで戻ってきた。サーフをよく見てタイミングを計って上陸。この浜には駐車場もトイレもなく、したがって海水浴客も少なかったので上陸に問題はなかったと思う。
カヤックを上げ、食事を摂り、しばらくコクピットの中で昼寝をした。あたりを散策したり、ぼけーとしたりして時間をつぶし、浜でフネをばらしてフェザークラフトのバッグを背負ってキャンプ場まで帰ったのであった。重くて大きい荷物を背負い一歩一歩歩いていく感じは、久しぶりにやってみるとなんかいい。キャンプ場に戻り、水のシャワーをザーッと浴びると気分がスッキリとした。
夜はスタッフのみなさんと一緒に食事をさせていただいた。ぼくが一人で来ている客だからだろうか、みなさんすごく親切にしてくれ、最後はお酒まで振舞ってくれたのだった(ありがとうございました)。スタッフの方たちも、本当に海とカヤックが好きないい人たちばかりで、夏のシーズンはみなトレーラーに泊り込みで日々ツアーを開催しているとのことだった。スタッフのみなさんとフネや伊豆の話をするのは本当に楽しかった。絶対また来ようと思う。夏の夜のあの雰囲気を味わいに。
つづく。
夏の伊豆でシーカヤック、結構いけるんですねえ。
横浜単身赴任時代、渋滞や海水浴客の多さ、浜でのキャンプ禁止などなどから、夏の伊豆には行った事が無かったのですが、意外でした。
海水も伊豆らしいグリーンで、洞窟巡りも楽しまれたご様子。
好い夏休みとなりましたね。
宅配受け取りしてくれるんですね。そういうサービスを利用すれば夏場のキャンプツーリングもある程度は快適にできそうですね。
結局当方は7月8月は満足のできるツーリングはできませんでした。9月から本格始動といったところです。
伊豆では天候に恵まれ、なかなか楽しい旅が出来ました。
伊豆はいいところですね!
確かに行楽客の多い中でのソロでしたが、電車で移動できたので渋滞や駐車場探しなどのストレスはありませんでしたよ。次はぜひ浜でキャンプできるシーズンに行ってみたいものです。
夏の伊豆、なかなかよかったですよ。
海もキレイですし、浜と崖がバランスよくあって楽しませてくれます。
>さすがはかつて陸の孤島といわれた場所
そうだったんですね!知りませんでした。
宅配はすごく気楽でした。キャンプ場の方もそういうのには慣れてるみたいでした。キャンプ場から自宅へ荷物を送るときも、集荷の手続きの一切をやってくれました。