水に浮かび物思う

カリフォルニアの海でカヤックに出会う。キャンプやハイキングの話も。

テキサス州、オースティンへ行くの巻 その1

2007年02月22日 | 旅行
テキサス州、オースティンへ3泊4日の旅行に行ってきた。なんでオースティンに行ったのかと話すと長くなるのでかいつまんで話すと、彼女の会社がオースティンにあって(彼女は在宅勤務)、今回彼女の出張とぼくの勤めているところの休日がちょうど重なったので、いい機会だから一度アメリカの南部を一緒に体験してみない?と彼女が誘ってくれたのだ(かんたんな話でした)。もちろん、田舎好きのぼく、イヤ失礼、地方都市好きのぼくはその話に飛びついた。アメリカ南部。広大な土地を擁し、独特なカルチャーを持つといわれている南部の景色に出来れば触れてみたいと前々から思っていたのだ。2月16日金曜日、ぼくたちは飛行機にのってテキサス州、オースティンを訪れた。

ぼくの住んでいるカリフォルニアとオースティンは時差が2時間ある。ので、着いたその日は既に日も暮れようかという時間になっていた。「夕日の美しいレストランで食事しようゼ」なんてかっこつけてたぼくは、いまいちルールの分からないオースティンのハイウェイでぐるぐる迷い、レンタカー会社でもらった貧弱な地図を片手に焦りの色を見せていた。日が暮れそうなので夕日の綺麗なレストランはあきらめて(せっかく調べたんだけど)、彼女の知っていた別のレストランへ行った。そのレストランはケイジャン料理を出す店で有名なのだそうだ。

ケイジャン料理はアメリカの南部に根付く料理である。もとはスペイン系の料理で、それがアメリカ南部で土地の色に染められていったのがケイジャンと呼ばれる種類。スパイスやハーブをたくさん使ったりするのが特徴である。また、シーフード料理もメニューに多く見られる。一般にアメリカの料理は味が単調なきらいがあるが、ケイジャンはむしろ味が濃く、時に辛く、非常に個性的である。一言にアメリカ料理と行っても場所によって味付けも食材もがらっと変わってしまうから面白い。

レストランに到着する。まだ6時だというのに店の外まで人が並んでいる。これは期待が高まってしまうというもの。ぼくは順番を待っている間にテキサス産のビールをバーで飲んだ(だからバーのあるレストランってすきです)。待って、席に案内されたぼくたちはまずマルガリータで乾杯。それにしても大きなマルガリータだ。






ぼくのオーダーはクロウフィッシュ(写真下)。クロウフィッシュって何か分かりますか? 実はコレ、ザリガニなんです。そう、ケイジャン料理のもう一つの特色はこのザリガニ。油で揚げたり、シチューにしたりして食べる。ぼくは過去に一度メリーランド州でザリガニを食べたことがあるのだけれど、そのザリガニは泥くさくて、美味とは言い難かったのだけれど、はたして今回オーダーしたザリガニは・・・めちゃうま! おいしかったです。歯ごたえよし、サイズもよし。味は、エビと言われて食べたら、うんエビだねと答えてしまいそうな味である。ようするに充分においしい。これは来たる食糧危機に備えて食用のザリガニはぜひ推奨されるべきだよね、と一人意気込み彼女を困らせてしまうぼくであった。

食事を終えたぼくたちは彼女の運転でホテルへ向かい、チェックインをすませて、オースティンの中心街へと繰り出した。車で向かう途中にテキサスの議事堂が見える。そう、オースティンはテキサスの州都なのだ。ヒューストンでもなければダラスでもなく、この小さな街、オースティンが政治的中心である。アメリカの州の州都って、比較的小規模な街に作られていることが多いきがする。カリフォルニアの州都のサクラメントだって、ロスやサンフランシスコとは比べ物にならないくらい小さい街である。考えてみたら首都のDCだってそんなに大きな都市じゃないよな。商業の中心と政治の中心は分けるという考えなのだろうか。まぁそうなのかもしれない。

この旅行に出るまで知らなかったのだけれど、この週末は奇しくも(くしくも)Mardi Gras (マーディ・グラー)と呼ばれるフェスティバルの週末であった。ぼくは話でしか聞いたことがないけど、Mardi Grasってニューオリンズで毎年この時期に行われるお祭りのことである。日本語でいうところの山車のようなものが出てきたりして、人々は踊りまくり、ぼくが思うにたぶんアメリカで一番クレイジーなお祭りだろう。当然町中皆酔っ払いである。で、ぼくがさらに知らなかったのはこのお祭りはニューオリンズ以外の南部の街でも行われるそうで、なんとオースティンでも規模こそ小さいながらお祭りが行われるという。

そういうわけで街には取締りの警察の人たちが実にたくさんいた。比較的時間が早かったためオースティンの中心街は人がまだまばらだが、その分警察の人たちの存在が威圧的であった。暴動が起きれば瞬時に沈静化してやろうと気を鋭くしている警察の人たちのいる横で、ちょっとこれから一杯ひっかけるつもりでフラフラとやってきたぼくたちの気も沈静化してしまい、結局バーで一杯飲んだだけで夜風に背中を押されるようにそそくさと車に戻ってきてしまったのである。せめて警察の人たちが黒ずくめでなくケンタッキーフライドチキンの店員さんみたいな明るい服を着てくれればもう少し楽しい気分になったかもしれない。冗談だけど。

寝酒にとバドワイザーを一本だけ買い求めた後、ぼくたちはホテルに戻った。テレビをつけたら人気の探偵シリーズMr. Monkがやっていたのでそれを観る。それが終わるとバドワイザーを飲みながらベッドルームで本を読んだ。太平洋単独航海に成功したフランス人の女性の本である(なかなかよみおわらない)。命をかけた冒険の話なのに、読み進めるにつれ不思議とまっすぐな彼女の謙虚さや感謝の心が伝わってくるのである。この上なく安全で温かな部屋の中で、やがて眠気が物語の興奮に追いつき、ぼくは本にしおりをはさんだ。