◆「Eric Clapton/Eric Clapton」
1. Slunky
2. Bad Boy
3. Lonesome And A Long Way From Home
4. After Midnight
5. Easy Now
6. Blues Power
7. Bottle Of Red Wine
8. Lovin' You Lovin' Me
9. I've Told You For The Last Time
10. Don't Know Why
11. Let It Rain
話はレオン・ラッセルの続きですが、タイトルが毎回レオンのアルバムでは分かりづらいので、シリーズ「Leon Russellとスワンプ名盤」と変えました(1~3も変更しています)。今回で4回目になります。
レオン・ラッセルを中心としたスワンプLAコネクションとの関連におけるエリック・クラプトンの登場です。日本では「エリック・クラプトン・ソロ」としてリリースされて、クリーム→ブラインド・フェイスからデレク&ザ・ドミノスに至る間に位置する“過渡期”的作品として昔からあまり重視されないのですが、実はこれが70年代ポピュラー音楽史は大変な重要作品なのです。
レオンのファーストアルバムの録音に参加したフレンズ一行は、その足で今度はデラニー・ブラムレットにプロデュースを頼んだクラプトンのソロ作の収録に移行します。クラプトンがこの時期になぜソロアルバムを制作しようと思ったのかですが、恐らく彼はデラボニがブラインド・フェイスのツアーに同行したことで急接近中であったデラニーから、彼とフレンズが全面的に協力した同じ英国人ギタリスト、デイブ・メイスンのアルバム「アローン・トゥゲザー」のラフテープを聞かされ、「俺もこれをやりたい」と申し出たのではないかと思うのです。
ですから作品的には、デイブの「アローン・トゥゲザー」とはまさに兄弟関係ともいえるスワンプ・ロックLAコネクションへの英国人的アプローチと言った内容。しかし、後のデレドミのメンバーはじめレオンやリタ・クーリッジ、さらにはボビー・キーズやジム・プライス等フレンズの面々が顔をそろえていながら、デイブだけが不参加と言うのは実に不自然です。二番煎じをするので、あえて声を掛けなかった、あるいは声を掛けないでくれとデラニーに頼んだ、と見るのが正解なのではないかと思います。まさに“確信犯”。
大半の曲はエリックとデラニーの共作で、デラニーによる歌唱指導の下どうも慣れない粘り不足のスワンプ・ボーカルを聞かせています。11曲中9曲までが曲作りにデラボニがからんでいながら、そうではない2曲、エリックとレオンの共作になる6「ブルース・パワー」やJJケールのカバー曲4「アフター・ミッドナイト」の方が、今日に至るクラプトンの重要なライブ・レパートリーになっているというもの実に皮肉な話ではあります。やはり完璧なスワンパーにはなり損ねたのでしょう。スワンプにあこがれてはみたものの、その後は露骨すぎる南部臭には付いていき兼ねたというのが、クラプトンの偽らざる本音なのかもしれません。
ただこのアルバム、リリース後に英国で大絶賛されることになります。いわゆる英国ロッカーのアメリカン・ルーツ・ミュージックへの接近という、新たなアプローチが評価されクラプトンは“元クリームの”という接頭語抜きで語られる大物アーティストしての地位を確立する訳です。では、同じことを半年早く手掛けたハズのデイブ・メイスンはどうなったのか。実は英国でのソロ作のリリースは順序が逆になり、クラプトンがリリースされてからデイブの作品がリリースされ、デイブは“二番煎じ”の汚名を着せられる憂き目に(彼は表だって文句を言うタイプではないので、結局損な役回りだった訳です)。そして彼は、この先も長らく“元トラフィックの”という接頭語付で語られることになるのです。もし英国でのリリース順が、制作順に沿っていたならデイブとクラプトンの立ち位置は入れ替わっていたのかもしれません。デイブの方が、ギターも歌も達者だったですから。
今年クラプトンは、元ブラインド・フェイスのスティーブ・ウインウッドとのツアーで日本にも来ています。なぜ今、短命に終わり彼のキャリアにおいて大きな意味を感じさせないブラインド・フェイスなのか?むしろデラニー・ブラムレットとフレンズの面々との共演(もちろん含デイブ・メイスン)による、現在の彼の本当のルーツを明らかにするツアーこそ残された時間の中で、クリーム再編に続き真っ先にやるべきことのような気がするのですが・・・。クリーム→ブラインド・フェイスと同窓会ライブを見せて来たので、次あたりは本腰入れてデラボニ&フレンズ・ウイズECを見せてくれることを期待して待ちましょう。
この関連、まだまだ続きます。
1. Slunky
2. Bad Boy
3. Lonesome And A Long Way From Home
4. After Midnight
5. Easy Now
6. Blues Power
7. Bottle Of Red Wine
8. Lovin' You Lovin' Me
9. I've Told You For The Last Time
10. Don't Know Why
11. Let It Rain
話はレオン・ラッセルの続きですが、タイトルが毎回レオンのアルバムでは分かりづらいので、シリーズ「Leon Russellとスワンプ名盤」と変えました(1~3も変更しています)。今回で4回目になります。
レオン・ラッセルを中心としたスワンプLAコネクションとの関連におけるエリック・クラプトンの登場です。日本では「エリック・クラプトン・ソロ」としてリリースされて、クリーム→ブラインド・フェイスからデレク&ザ・ドミノスに至る間に位置する“過渡期”的作品として昔からあまり重視されないのですが、実はこれが70年代ポピュラー音楽史は大変な重要作品なのです。
レオンのファーストアルバムの録音に参加したフレンズ一行は、その足で今度はデラニー・ブラムレットにプロデュースを頼んだクラプトンのソロ作の収録に移行します。クラプトンがこの時期になぜソロアルバムを制作しようと思ったのかですが、恐らく彼はデラボニがブラインド・フェイスのツアーに同行したことで急接近中であったデラニーから、彼とフレンズが全面的に協力した同じ英国人ギタリスト、デイブ・メイスンのアルバム「アローン・トゥゲザー」のラフテープを聞かされ、「俺もこれをやりたい」と申し出たのではないかと思うのです。
ですから作品的には、デイブの「アローン・トゥゲザー」とはまさに兄弟関係ともいえるスワンプ・ロックLAコネクションへの英国人的アプローチと言った内容。しかし、後のデレドミのメンバーはじめレオンやリタ・クーリッジ、さらにはボビー・キーズやジム・プライス等フレンズの面々が顔をそろえていながら、デイブだけが不参加と言うのは実に不自然です。二番煎じをするので、あえて声を掛けなかった、あるいは声を掛けないでくれとデラニーに頼んだ、と見るのが正解なのではないかと思います。まさに“確信犯”。
大半の曲はエリックとデラニーの共作で、デラニーによる歌唱指導の下どうも慣れない粘り不足のスワンプ・ボーカルを聞かせています。11曲中9曲までが曲作りにデラボニがからんでいながら、そうではない2曲、エリックとレオンの共作になる6「ブルース・パワー」やJJケールのカバー曲4「アフター・ミッドナイト」の方が、今日に至るクラプトンの重要なライブ・レパートリーになっているというもの実に皮肉な話ではあります。やはり完璧なスワンパーにはなり損ねたのでしょう。スワンプにあこがれてはみたものの、その後は露骨すぎる南部臭には付いていき兼ねたというのが、クラプトンの偽らざる本音なのかもしれません。
ただこのアルバム、リリース後に英国で大絶賛されることになります。いわゆる英国ロッカーのアメリカン・ルーツ・ミュージックへの接近という、新たなアプローチが評価されクラプトンは“元クリームの”という接頭語抜きで語られる大物アーティストしての地位を確立する訳です。では、同じことを半年早く手掛けたハズのデイブ・メイスンはどうなったのか。実は英国でのソロ作のリリースは順序が逆になり、クラプトンがリリースされてからデイブの作品がリリースされ、デイブは“二番煎じ”の汚名を着せられる憂き目に(彼は表だって文句を言うタイプではないので、結局損な役回りだった訳です)。そして彼は、この先も長らく“元トラフィックの”という接頭語付で語られることになるのです。もし英国でのリリース順が、制作順に沿っていたならデイブとクラプトンの立ち位置は入れ替わっていたのかもしれません。デイブの方が、ギターも歌も達者だったですから。
今年クラプトンは、元ブラインド・フェイスのスティーブ・ウインウッドとのツアーで日本にも来ています。なぜ今、短命に終わり彼のキャリアにおいて大きな意味を感じさせないブラインド・フェイスなのか?むしろデラニー・ブラムレットとフレンズの面々との共演(もちろん含デイブ・メイスン)による、現在の彼の本当のルーツを明らかにするツアーこそ残された時間の中で、クリーム再編に続き真っ先にやるべきことのような気がするのですが・・・。クリーム→ブラインド・フェイスと同窓会ライブを見せて来たので、次あたりは本腰入れてデラボニ&フレンズ・ウイズECを見せてくれることを期待して待ちましょう。
この関連、まだまだ続きます。