大寒桜

夫がテレビで桜の開花予報を見て「後、何回桜が咲くのを見られるのかな～」と言った。思わず顔を二度見してしまった!?

還暦を過ぎると、人間このような心境になるものなのか、、、。

団塊世代には少し乗り遅れている。
大学受験時、安田講堂が学生に占拠され、東大受験が取り止めになった。
「勉強出来る受験生が皆、私大に流れ、大変だった」が、彼らの常套句。
バブル時代を謳歌した。

夫は家にいないもの。
毎月振り込まれる給料に感謝しながら、、、「金を稼ぐと言う事は権力を手にすると言う事なのだな」と思った。

「いつまでも、こんな事が続く分けが無い」
私には分かっていた。

やがてバブルは崩壊し、狂乱の時代は終わった。


娘が赤ん坊だった頃、夜泣きする娘を抱いて、夜中、一人で外に出た。
営業職で一日中車を運転している夫が、居眠り運転などしないように。
あの頃、夫から「桜」などと言う言葉は聞いた事が無い。

暗闇の中、一分一秒でも早く眠ってくれと願いながら、娘の背中をさする私の肩に降る桜の花びらは、刺すように痛かった。


いずれにしても桜に罪はございません。
太古の昔から、そしてこれからも、桜はそこに咲き続ける。