ふくろう親父の昔語り

地域の歴史とか、その時々の感想などを、書き続けてみたいと思います。
高知県の東のほうの物語です。

山林崩壊

2012-07-11 18:22:22 | Vision East
 さきの作業の帰りに山道を歩きながら、「林業は最早産業にならないね。」「採算が取れないし、将来的に目途も立たない。」「木の価格だけの問題ではなく、地域の複合的な問題でもあるからなあ。」荷物を抱えてほんの10分程度の話です。

 ただ今の作業はやっていて楽しいし、森林環境ボランティアみたいなものです。
 毎日新しい課題が生まれて、それへの対応に創意工夫する自分が嫌いではないのです。

 また何年か後に材を出したくても、「道」がなければ「どうしようもない。」ですし、間伐を含めて今だからこそやれる仕事もあると思えるからです。

 林業の門外漢が考えてもそうなのですから、専門家が考えたらもっといい案が出ると思うのですが、どうもそうではないらしい。

 というのも先日高知市の森林局での会合で、こんな発表があったからです。
「雇用対策のために大規模工場を建設し、その工場の稼動効率を上げるために、森林の皆伐を推進する。」というのです。

 さらに、その会合の中では反対意見もなく、そのまま承認。
 「困ったもんだ。」



 

 「公益と経済。山が持つこの2大機能は、やり方次第では調和が可能だが、山に無理強いしたときにそれが壊れている。戦時の乱伐、そして高度成長期の大面積皆伐。これらが崩壊の”犯人”といえる。」

 20年ほど以前に発行された高知新聞社の「森よ(あすの指針求めて)」にある一文です。

 現在の森林に係わる状況は、20年以前と比べても場所によっては、より悪くなっているような気がしています。少なくとも関係者の高齢化が進み、若者の定住が促進されない分だけでも山間地域の状況は深刻です。

 高知県の県土の84%は山林です。
 公益と経済、この2大機能を調和させるための智恵が欲しい。
 高知県を豊かで安心して暮らせる場所にするためには、どうしても避けては通れないのです。

 私達は今出来ることを徐々にやってゆく。それしかないのです。
 山林崩壊にむかう山野を前に少しささやかなブレーキを踏む必要があると考えているのです。
 未熟者の浅智恵かもしれませんがね。
 ただ「どうせなにをやっても、いかんでねえ。」と何もやらずにいいたくはないのです。
 さらに、皆伐によって、一部の工場は繁栄を享受できたとしても、高知県の森林を失って、「赤い奈半利川」が再現されるようなことは、受け入れがたいことです。




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