諦めない教育原理

特別支援教育は教育の原点と聞いたことがあります。
その窓からどこまで見えるか…。

203 奥にある世界

2023年04月02日 | エッセイ
定番 高尾山縦走 約7時間の行程 ほとんどが穏やかな山道

スタニスワフ・パヴェウ・ステファン・ヤン・セバスティアン・スクロヴァチェフスキという長い名前の指揮者がいて、別名が「ミスターレントゲン」だという。
「楽譜には無駄な音譜はないはずだと」として丁寧な音作りをする。
結果、それまで聞こえてこなかった内声部の音も立ちあがって従来の曲のイメージにさらなる奥行を与えるのである。
曲の隠れた意図を透けて通して音化することから「レントゲン」ということである。

例えば、ベートーベンの「運命」にしても主旋律に圧倒させがちだが、内声部が聞こえてくるとより私的なベートーベンの姿があらわるように感じられて曲の味わいが増す。

≪参考≫
Youtubeを貼ります。再生環境によってレントゲンの見え具合?も変わりますが…。
ベートーヴェン 交響曲第5番ハ短調 スクロヴァチェフスキ指揮ザールブリュッケン放送交響楽団

ジャズもちょっと聞いただけでは単純なインストゥルメンタルとかイージーリスニングに感じたりする。
だからジャズは分かりにくい、となる。
私自身も、長くマイルス・デイビスといっても…、と思っていた。

ところが、ジャズの名盤を積極的に紹介している村上春樹さんによると、

(ジャズを分かるようになるためには)何も100曲を聴く必要なない。同じ曲をアドリブ部分も含めて全部覚えるつもりで聴くことです。

という。
で、実際やってみると不思議なことに、ある個所のシンバルの小さな音がいい感じだったり、ちょっとずらしてピアノが追いかけるくることがカッコよかったり、目立たないけど時々アドリブを入れるベースがいい味だったり…、を感じられてくる(ようだ)。
≪参考≫
名盤の1つというビル・エバンスの「Portrait In Jazz」

また、見ることについても、小林秀雄が次のように語る。

(画家が花の絵を描くのは)花の名前などを表しているのではありません。
何か妙なものがあるなと思って、諸君は注意して見ます。その妙な物の名前が知りたくて見るのです。「なんだすみれの花だったのかと」わかればもう見ません。これは好奇心であって画家が見るということではありません。画家が花を見るのは好奇心からではなく、花への愛情です。愛情ですから平凡なすみれの花だとわかっていても飽きないのです。

                                   「美を求めるこころ」

日常は、諸事に追われ聞いていないし、見ていないことが多いに違いない。





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