夜噺骨董談義

収集品、自分で作ったもの、見せていただいた品々などを題材に感想談など

大日本魚類画集 NO55 伊勢海老 大野麥風画 

2020-03-21 00:01:00 | 浮世絵
本日も最初に紹介するのは片付けていた食器棚にあった作品で、三代徳田八十吉の窯元で製作された「旭光色絵皿」と称されている皿の紹介です。なにかの記念品として数多く製作されたものでしょう。これもどこかの骨董市での購入かと思います。

この手の大きな皿は数十万円? とても当方に手の届くような値段ではありません。このような記念品のような作品でも買取値段は数万円するようです。三代徳田八十吉の作品は相変わらず人気が高いようです。本作品はしばらく当方の本棚でネクタイピンの置き皿に使っていました。



さてひさかたぶりに大野麥風による大日本魚類画集の作品の紹介ですが、なかなか大日本魚類画集の作品は数が少なく(500部限定)入手が思うに任せない状況です。ま~、じっくりと・・。

大日本魚類画集 NO55 伊勢海老 大野麥風画 
紙本淡彩額装 版画 1937年10月第3回
画サイズ:縦400*横279

「大日本魚類画集」は大野麦風が原画を担当し、1937年に西宮書院から出版されています。会員制度で頒布されたこの500部限定の木版画集は、1944年まで各回12点、6期に分けて断続的に刊行され、1944年まで合計72点を発行した作品です。そう7年がかり・・・。この72枚の揃いはなかなか市場にあらわれませんので、一遍には揃えられません。そして当時のタトウも揃ったものは稀有のようです。



この「伊勢海老」の作品は最初に出版された1期目の作品中で10作品目で、1937年10月発刊で発刊してまもない頃の作品です。



彫師は「藤川象斎」、摺師は「彌宜田萬年」と画集の掲載作品にはありますが、本作品の彫師は「藤川象斎」、摺師は「光本丞甫」です。摺師の違いは不明ですが、摺師はこの二人以外にも存在しているようで、三人ほどの複数の摺師がおられるようです。

 

残念なことに、版木はすべて戦災で焼失していて、このシリーズに後摺の作という記録はありませんし、200回摺という製作自体が手間がかかり非常に難しいので、同時期の発刊と推察していますが定かではありません。

なお大日本魚類画集としてこの「伊勢海老図」には本作品と同様に彫師「藤川象斎」、摺師「光本丞甫」の組み合わせの作品も画集に散見されていますので、摺師が違う模倣品という可能性は低いと推定しています。

なお販売価格は当時3円、現在の貨幣価値ではどれくらいしょうか?



なお題材の「伊勢海老(イセエビ)」という名の語源としては、伊勢がイセエビの主産地の一つとされていたことに加え、磯に多くいることから「イソエビ」からイセエビになったという説があるそうです。

また、兜の前頭部に位置する前立(まえだて)にイセエビを模したものがあるように、イセエビが太く長い触角を振り立てる容姿が鎧をまとった勇猛果敢な武士を連想させ、「威勢がいい」を意味する縁起物として武家に好まれており、語呂合わせから定着していったとも考えられているそうです。



イセエビを正月飾りとして用いる風習は現在も残っていますが、地方によっては正月の鏡餅の上に載せるなど、祝い事の飾りつけのほか、神饌としても用いられています。

海老自体が「髭長く腰曲がるめで」という長寿の吉祥であり、いろいろな意味で縁起物の捧げものに使用されているのでしょう。よって当方も神棚の近くに展示しています。




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