夜噺骨董談義

収集品、自分で作ったもの、見せていただいた品々などを題材に感想談など

破水墨山水図 伝橋本雅邦筆

2013-10-18 05:12:51 | 掛け軸
昨日は全国から集まった幹部による全体会議でした。有意義な会議になれたかどうか・・。

経営会議も一昨日にあり、息抜きに連夜の麻雀・・・連勝・・・

さて骨董の真贋は良く考えるとその売買のときのみ重要であって、作品を愉しむという観点からみると愉しみの一つの要素でしかないようにも思えます。

その判断で贋作を真作とするよりも、真作を贋作と判断するほうが罪が重いようにも思えます。そもそも真贋の判断はその鑑定者の集まりで一人でも反対したら、それは真作と断定はされないもののようですから、非常にそうなるリスクが高いともいえます。

さて本日は真贋抜きにして愉しんでみましょう。

本日は山水画・・、山水画のいうものはとかく精神を遊ばせるもの。この細長い横幅の作品は心を自然のなかに遊ばせてくれます。

これと同じような作品でブログに以前投稿した作品が下記の作品です。

山水図 狩野養信筆紙本水墨
画サイズ:縦380*横595

この作品は額では落ち着きが悪く、茶掛けも兼ねた軸装にしようと思っています。

本日の作品は山水画の正統派、水墨山水画です。


破水墨山水図 伝橋本雅邦筆
紙本水墨軸装 軸先鹿角 共箱 
全体サイズ:横645*縦1205 画サイズ:横540*縦220



落款の字体は???

 

同じ印章は当方の真作から比較できる作品があります。

 

おっと、真贋云々はさておいて・・・、本作品はどこかでなにかをミックスしたように感じませんか?

雁、舟、山、寺、人・・、そう瀟湘八景です。

瀟湘八景(しょうしょう はっけい):中国の山水画の伝統的な画題。またその8つの名所のこと。瀟湘は湖南省長沙一帯の地域。洞庭湖と流入する瀟水と湘江の合流するあたりを瀟湘といい、古来より風光明媚な水郷地帯として知られる。北宋時代の高級官僚・宋迪はこの地に赴任したときにこの景色を山水図として画いた。後にこの画題が流行し、やがては日本にも及んだ。


瀟湘夜雨 [しょうしょう やう] :永州市蘋島・瀟湘亭。瀟湘の上にもの寂しく降る夜の雨の風景。
平沙落雁 [へいさ らくがん] :衡陽市回雁峰。秋の雁が鍵になって干潟に舞い降りてくる風景。



烟寺晩鐘 [えんじ ばんしょう] :煙寺晩鐘とも。衡山県清涼寺。夕霧に煙る遠くの寺より届く鐘の音を聞きながら迎える夜。





山市晴嵐 [さんし せいらん] :湘潭市昭山。山里が山霞に煙って見える風景。



江天暮雪 [こうてん ぼせつ] :長沙市橘子洲。日暮れの河の上に舞い降る雪の風景。

漁村夕照 [ぎょそん せきしょう] :桃源県武陵渓。夕焼けに染まるうら寂しい漁村の風景。



洞庭秋月 [どうてい しゅうげつ] :岳陽市岳陽楼。洞庭湖の上にさえ渡る秋の月。


遠浦帰帆 [おんぽ きはん] :湘陰県県城・湘江沿岸。帆かけ舟が夕暮れどきに遠方より戻ってくる風景。

古い家には瀟湘八景を描いたり、漢詩にに詠んだ屏風や襖があったものです。名もなき画家の数多くの作品がありました。

瀟湘八景のすべてを本作品は描いたわけではなく、瀟湘八景を意識して描いたものでないかもしれません。若しくは模写かもしれません。

小さな画面に大きな風景を描いた作品であり、私の古い記憶にある田舎の自然の景色と屏風や襖の絵が相俟って、吸い込まれそうな感触を受けます。

本作品のようなものに遊び心を感じる私が幼稚なのか否かは読者の皆さんにおまかせしましょう。なんといっても数千円で購入した作品で、表具はちょっと自分で直したら新品同様になり、「瀟湘八景」を再度復習するきっかけにもなりましたので、もとはとれた

気軽な茶席のちょっとした茶掛けには面白いかもしれません。





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