夜噺骨董談義

収集品、自分で作ったもの、見せていただいた品々などを題材に感想談など

真作考 梅花ニ雀 平福百穂筆 昭和5年(1930年)頃 & 贋作考 菊二小禽図 平福百穂筆 贋作

2019-12-17 00:01:00 | 掛け軸
先週のなんでも鑑定団には本ブログで何点か紹介されている「中村大三郎」の掛け軸の作品が出品されていました。

参考作品
舞子図 中村大三郎
なんでも鑑定団出品作:2019年12月10日放送 評価金額:150万円



安河内眞美氏の講評:素晴らしい作品。中村は京都に生まれ、家が染織関係だったことから染めの色彩感覚が身についたのだろう。依頼品は大正13年、26歳の時に開いた個展に出展されたもの。気品のある美しさを流れるような筆で描ききっている。桜の花びらが散っている。女性が差し出した明かりの中のろうそくまで薄く描かれている。明かりの蒔絵も桜の文様で、女性の簪も桜。帯もすばらしく中の半衿も鮮やか。一文字風袋が蝶で花に蝶。共箱は大三郎自身の箱書き。文句のつけようがない作品。

本ブログで紹介した作品には下記の作品があります。

納涼美人図 中村大三郎筆
絹本着色軸装 軸先木製 誂箱+タトウ
全体サイズ:縦12400*横500 画サイズ;縦347*横393

 

行燈の蝋燭までは描かれていませんし、共箱ではありませんが、中村大三郎の真作です。評価金額はなんでも鑑定団の評価は高すぎますね。なお中村大三郎の作品は意外に共箱のない作品が数多くあります。そして贋作は非常に少ないようです。7



さて本日は真作と贋作の比較です。

同じような構図で描かれた作品ですが、床の左の作品が真作「梅花ニ雀 平福百穂筆 昭和5年(1930年)頃」で、右の作品が贋作「菊小禽図 平福百穂筆」です。

真作考 梅花ニ雀 平福百穂筆 昭和5年(1930年)頃
絖本水墨淡彩 共箱二重箱 軸先本象牙
(元秋田県知事 旧蔵)
全体サイズ:縦2270*横498 画サイズ:縦1328*横361



この作品は家に古くから伝わる作品です。

 

平福百穂には珍しく「絖本」という目の細かい絹本に描かれた作品です。



さらりと描かれた中にも品格があります。



その違いは下記の贋作と見比べると一一目瞭然でしょう。



箱書きと作品中の落款と印章は下記のとおりです。この作品は平福百穂の作品で佳作に類する作品です。

  

下記の作品は贋作でしょう。単品で見ると解りにくいかもしれませんが、上記の作品と比較すると出来の違いがはっきりしています。

贋作考 菊小禽図 平福百穂筆 
絹本金泥水墨軸装 軸先象牙 共箱 
全体サイズ:縦2020*横370 画サイズ:縦*横(未測定)

 

かなり出来の良い?贋作の部類かもしれませんが、この「小禽」の鳥はなんという鳥でしょうか? 表現が稚拙ですね。



菊はよく平福百穂が描く画題ですが、このような生気のない菊は描かないでしょう。



題は「菊小禽」?? 「菊二小禽」とかにすべき?? 作品中の落款はまだよいが、共箱の落款は下手。印章は非常によくできていますが、違うものと思われます。印章にこだわるとだまされますよ。

  

枝や葉の描きは良いのですが、何といっても鳥と菊の部分が下手な作品ですので、落款や印章を問題にする以前の作品でしょう。



一丁前のいい作りの共箱らしく収められています。ここにも悪意が感じられますね。この作品は参考で購入しましたが、ゴミ箱送りです。

ネットオークションからの出品ですが、この出品者は秋田市からの出品で、他に複製作品を偽の鑑定箱に収めた作品も出品していました。画家と郷里が同じだから始末に悪いですね。このような作品が「ノークレーム ノーリターン」で「模写」として多数ネットオークションに出品されているが現状で、返品を受け付けません。



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