
本日紹介する作品は晩年の平福百穂が南画の新境地を模索していた証左となるような作品です。平福百穂が南画の新境地として生み出したのが山水画に代表される渇筆で描いた作品ですが、本作品は潤筆?をメインとして描かれた作品です。

長藤 平福百穂筆 その157
紙本水墨着色軸装 軸先象牙 共箱題字カバー付塗二重箱
全体サイズ:縦2140*横440 画サイズ:縦1290*横305


まるで斎白石の作品のような筆使いですね。

もともと平福父子は四条派からスタートしており、とくに平福百穂の父である平福穂庵の作品にはあきらかに四条派の垂らし込みの技法が随所にみられます。

平福百穂もまたたらし込みの技法はマスターしていたようですが、それをさらに発展させた本作品のような斎白石を思わせるような潤筆の作品は非常にめずらしいものです。

共箱の誂えとなっています。落款や印章からは昭和期の最晩年の作と思われます。



塗の二重箱を誂えており大切に保管されてきた作品のようです。

平福百穂が生み出した最晩年の山水画の近代南画はよく紹介されますが、晩年のこのような彩色使いの潤筆の作品が紹介されている資料や図録はまだ見たことがありません。

後日紹介する上記写真左の作品はさらに潤筆を発展させた作品のようです。