
入手時の説明では「橋本関雪鑑定箱」とされていますが、当方では同じような題名の作品の共箱にサイズが合っていたので、都合よく鑑定箱に仕立てたものと推定しています。通常はこのような場合は中の作品は贋作となりますが、今回は真作と見込んで入手したものです。

いい加減な保管箱 渓山帆影図 平福百穂筆 その149
絹本水墨淡彩軸装 軸先陶器 (橋本関雪鑑定?)箱
作品サイズ:縦1085*横542 画サイズ:縦355*横415

平福百穂が新南画という作風を確立する前の作風です。この頃の作品は真贋含めて多くの平福百穂の作品が存在します。

平福百穂は1916年(大正5年)に金鈴社結成後、南画への関心を示す古典回帰が見られる作品を発表、やがて1932年(昭和7年)の「小松山」など、自然主義と古典が融合した作品を生み出すに至っています。 本作品はまだ大正期の作風ですが、平福百穂独特の描き方が随所に見られます。

平福百穂の作品は一般的に「西洋的な写実主義に琳派や南画の手法を加え、独自の画風を築いた。」と評されています。最終的に辿り着いた昭和期の南画風の作品は数が少ないものの、平福百穂の境地を占めす作品となっています。

当方には昭和期の完成度の高い南画風の作品は父か祖父が購入したと思われる一点しかありません。

下記の印章は大正期のもので、数は少ないですが押印された作品例はあります。似たような印が昭和期にもあります。箱は橋本関雪の共箱であったものでしょう。


はてさて、この箱を鑑定箱とするのはいかがしょうか?
追記:2025年7月7日
作品を額装にしようかと考えていましたが、額装が完了しました。

箱の蓋は念のために同封しておきました。

額装にしたらあちこちに飾れそうであり、重宝な作品となりました。