夜噺骨董談義

収集品、自分で作ったもの、見せていただいた品々などを題材に感想談など

大日本魚類画集 NO74 ヒガイ図 大野麥風画 

2021-03-19 00:01:00 | 浮世絵
庭にあった椿が咲き始めたので数輪を採ってきて展示室の花入に活けておきました。

まずは緑釉の作品に・・、見慣れた椿の活けた風景、見慣れてるが故に難しい・・。



さて本日の作品は、後日紹介する「鮎」と同時に入手した大日本魚類画集の「ヒガイ」という魚の版画の作品ですが、当方では「ヒガイ」という魚を知りませんでした。マダイやコイならともかく通常の日本画家なら絵にならない題材として眼中にないでしょうが、大野麥風は多彩な魚類、貝類に限りない愛着を込めて描いています。

大日本魚類画集 NO74 ヒガイ図 大野麥風画 
紙本淡彩額装 版画 1939年5月第5回
画サイズ:縦280*横400 発刊当時のタトウ付



琵琶湖でこの魚を「ヒガイ」と称するようです。昔は珍重されなかったようですが、明治天皇が大いにこの魚を好み、それゆえ一躍河魚の王座になってという目出度い魚のようです。それ故従来琵琶湖で珍重したモロコよりも高値になったようです。



その身は青白い美しい色と共に上品な味だそうです。



大日本魚類画集の作品を蒐集するのは思いのほか労力を費やすようです。意外に保存状態が悪い作品が多く、日焼けている作品が多いためです。



作品中の落款と摺師、彫師は下記のとおりです。彫師は「藤川象斎」、摺師は「光本丞甫」、「彌宜田萬年」と代表的な名前が挙げられていますが、彫師はある程度定められた人のようですが、摺師についてはかなりの複数の人員がいたようです。さすがにひとつの作品に200度摺を摺るのは人員が必要だったのかもしれません。現在作品展が催されている吉田博らの作品が100度摺も摺っていないのに比して、大日本魚類画集の作品はいかに特別なものかと言わざる得ませんね。

 

こちらにも解説書が付いている作品です。一枚一枚の版画に、魚類の権威であった田中茂穂と釣り研究家の上田尚の魚類の解説があり、さらには外国人購買者の便宜を図ってグレン・ショウによる英文翻訳までついています。このような版画シリーズはいまだかつてなかったであろし、今後もないと言えるでしょう。大日本魚類画集の作品はもっと評価されるべきなのでしょう。



当方の所見では単に外国からの評価が高いからという風潮で川瀬巴水、吉田博らは異常な評価のように思えます。とくに吉田博の作品は肉筆画の方がよほどいいと思います。作品もやたら多すぎて、肉筆重視の当方としては版画の魅力に欠けていると思うですが、はたして私だけでしょうか? ま~幕末江戸期の退廃した浮世絵美人画に比べたらましだと思いますが・・。

ところで額に入れて版画の作品を飾るのはいいですが、決して太陽の光や照明の光にながらく当てて置いてはいけませんね。色褪せや変色して価値がなくなります。



最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。