腐れゲー道

プレーしたゲームの感想文を、ダラダラと粘着質に綴ります。

逆転裁判

2010年12月12日 19時13分37秒 | ゲームボーイアドバンスゲーム感想文
ここ数年、個人的にすっかり縁遠くなってしまったのが「再プレー」だ。
1本のゲームを開封し、クリアを基準に納得行くまで遊べれば、そこで一旦プレーは終了する。
最近はここにダラダラ感想文を上げることで区切りを付けるようにもなったな。はは。

だが俺は、そこでそのゲームを終わらせるつもりはない。もちろん中古屋に売ることもない。
あくまで一旦終了するだけだ。時間が経ち、機が熟せば、いつでも「再プレー」をする気持ちでいる。
別に期限を決めているわけでもない。3ヶ月後かもしれんし、10年後かもしれない。
「いずれ再プレーする」という気持ちさえあれば、そのゲームはまだ価値を残す。まだ生きている。この点が大事なのだ。

俺はゲームでも何でも「創作物の価値が消えていく」ことに非常な寂しさを覚える性質なので、
こんな考え方をすることで、せめて自分の中だけでも「いつまでも現役の作品」として存在させ続けようとしているのである。
幾分キモい気はするが、我がゲー道の基本理念であり、とても大事な考え方だと思っている。
投売り品だろうと、メーカーの黒歴史品だろうと、何十年前の無名作だろうと、ゲームソフトであれば、生きている。
仮に死んでいても、俺がプレーする事で、俺の中では復活する。そして二度と死なせはしない。
批判も不満もグチグチに垂れるが、根本はやはりゲーム愛なのである。ポッ。死んで。


……なのだがここの所、新規プレーはいいとして再プレーが全然できていない。
幸か不幸か経済的な余裕ができたり投売り品入手の機会が増えたりで、プレー可能なゲームの数が劇的に増えたのだ。
この結果昔とはまるで違い、再プレーを繰り返して作品への想いを積み重ねるどころか、作品を捌いていくことに追われる日々だ。
日々広がり続ける(んー)日本ゲーム市場、作品の供給が止まる事は今後もまずあり得ない。
これからも俺は多少の強迫観念に駆られてゲームをすることになるだろう。あれをやらなきゃ、早くクリアーしなきゃ、と。

まぁしかし、これは現代オタクとしてある程度自然な姿とも思うので、悪い面ばかりを強調しても仕方ない。
娯楽に追われるなんて確かに本末転倒だが、現代日本でなきゃできない生活と言えなくもない。
また、なんだかんだで日々新鮮なコンテンツに触れられるのも嬉しいもんだ。
あくまでマイペースを保ちつつ、そこそこ世間に流されてやっていきたい。
バランスを取り、本筋を見失わなければ、流されるの別に構わんさ。多分。


……だがこの現状だと「再プレーを挟む余裕が全くない」という問題が発生し、それにはまるで解決策がない。
そんな暇があるなら積んでるゲームを捌かなくてはならない。やはり優先順位は未プレー作が上になるからだ。
思い入れがあり、もう一度その世界に浸りたいと考えてる作品はゴロゴロあるが、
この如何ともしがたい理由により、別方向での積みゲーも溜まる一方だ。
一体どうすればいいんだろう。モノが溢れて困る。なんて時代だ。でも現実だ。

で、久々の再プレーゲーム、「逆転裁判」である。
何となく気が向いたからプレーを始めた。特に理由らしきものはない。
いや、これが再プレーとしては最も適切な理由である。気が向いたから、これ以上正しい動機はない。これでいいのだ
他のゲームも、いや漫画でもアニメでも、もっと自由にもっと素直に再プレーしていければいいんだがな……。



逆転裁判の再プレーは、今回で4回目かな。
当然ながら全容を知ってしまっているが、細かい部分はそうそう覚えていられないので、無難に困ることができる。
こういうテキスト主体のゲームは「一回ゲー」と思われがちだが、2度3度読み返すことで味が増したり、
初回では気付かなかった伏線を発見したりで、作品への思い入れが厚くなることが多い。
寧ろ一回で終わらせたら、どんなゲームのシナリオもちゃんと把握できないのかもしれんな。
俺がつまらんと思い1回のプレーで終了したRPG等も、再プレーすれば評価は変わってくるのだろうか。
でも小説や漫画と違い、ゲームのシナリオは気軽に読み返しができるもんじゃない。なんたって時間がかかる。
これ、非常に重要で、かつ昔からずっと解決されてないテレビゲームの問題点だ。特にシナリオのあるゲームにおいて。
時間がかかるから再プレーに尻込みしてしまい、長いから内容を忘れやすい。
質が悪けりゃ当然、良くても長さ故に徐々に忘れてしまい、同じ理由で再プレーできず、ますます忘却の彼方に。
俺、昔とあるゲーム記事で読んだ「しかしRPGをクリアーした後、ストーリーなんて覚えてます?」という一文が忘れられないのだ。
非常に痛い所を突かれている。嗚呼その通りです、正直RPGで物語をちゃんと記憶してるタイトルなんて数えるほどしかありません。
なんて不誠実なんだ。いや俺だって本当は再プレーを重ねてもっとちゃんと記憶しておきたいよ。
でも時間が、時間が、次のゲームが、新作が、ああああああ。
……はぁ。どうにかならないかなぁ……。



えーと、逆転裁判だ。
記念すべきシリーズ第一作であり、法廷バトルという新たなジャンルをアドベンチャー界に起こした野心作である。
更に「異議あり!」などの小気味良い台詞や漫画的なキャラクターなど、世界設定も親しみやすいものだった。
今作は初作としては十分な中ヒットを飛ばし、好評がシリーズ化を呼び、今もまだ続いている。
……もう9年前、来年で10周年かよ。あり得へんな。嫌になる。はぁ。

第一作ながらシリーズの流れはほぼ完成しており、古さは殆ど感じない。
寧ろ「2」「3」の使い回しっぷりが酷いと言うべきかもな。カプコン流用展開の流れをきちんと継いでやがる。
証拠品を探す「探偵パート」は今作の時点ではまだ謎解き要素がなく、コマンド総当りでいずれクリアーできる。
証拠品を揃えたら、本番「法廷パート」だ。ここはガチガチの謎解きゲームであり、容赦はない。
提出する証拠品を間違えたり、見当違いな異議を唱えると、ペナルティを与えられる。
当然ペナルティが重なるとゲームオーバー。ちなみに今作ではゲージではなく回数制になっている。


今作の大きな欠点に「テキストの表示が遅い、早送りもできない」というものがある。
テキストを送る際には、表示が終わるまで待ち、ボタンを押して進めるしかない。
普通にプレーするにはそれでもいいのだが、問題はゲームオーバーになり、やり直す時だ。
ゲームのセーブは探偵・法廷各パートの区切りしかできず、やり直しの際はその区切りまで戻されることになる。
よって当然、ゲームオーバーになった地点まで早く話を進めたいのに、テキストのスキップ機能がなく、しかも表示まで遅いのである。
おかげでゲームオーバーになった時にやり直すのが非常に面倒臭く、プレー意欲を削がれることこの上ない。
謎解きゲーなんだからやり直しは十分あり得るのに、この恐ろしく無神経な不親切さには当時かなり呆れさせられたものだ。
しかもこの欠点、続編でも直ってないのである。本当になんでこんな状態を放置しているのか理解に苦しむ。
謎解きに容赦は要らないが、インターフェースは意識して快適にすべきだろう。はぁ。


文字送りの件もそうだが、このシリーズにはどうも「力作だが作りがいい加減」と感じることが度々ある。
例えばタイトルデモが異様に地味なことや、キャラ絵の流用っぷりなどだ。
シリーズが一定の人気を得た後もこれらの悪い面は一向に改善されない。実に不思議だ。
キャラやシステム、シナリオは良いが、インターフェースを含めたゲーム周りは
とても21世紀のカプコンゲームとは思えないレベルである。
「逆転検事」は未プレーだが、そろそろ改善されてるのだろうか。そう思いたい。



法廷パートの謎解き・やり取りは今作の売りだけあり、今見ても、概要を知っていても面白いし、燃える。
成歩堂のリアクションや音楽が非常に熱く、裁判が佳境に入る頃の高揚感はかなりのものだ。
特に「追求 ~追いつめられて~」は最高だ。これぞ逆転裁判。超燃える。涙出そう。
再プレーであってもここまで浸れるのは素晴らしい。好きだわ、このゲーム。

謎解きの難度も、今作は手頃なレベルだと思う。続編ではかなり難解なものもあったからな……。
基本的に考えれば解ける、論理性を何より重視している作品なので、理不尽さもあまりない。
ゼルダ等とはまた違う、テキスト主体の「ゲームの謎解き」。
今も昔もゲームの大事な要素なので、これからも制作者の方々には難しくも解ける、
そこに快感のある謎を考えてもらいたいものだ。俺はゲームの謎解き要素が大好きだ。


ただ、謎の解答はゲーム的にガチガチに決められており、それに沿っていなければ
プレーの途中で全容が読めても、そこからスラスラとクリアーに辿り着けるわけではない。
成歩堂龍一の身になり、一歩一歩確実に先に進めていかなくてはならないのだ。
「俺ならこの証拠から、一気に無罪を勝ち取れるのに」と思っても、それはゲーム的には完全に間違い。
今作は徹底的にフラグに縛られる作品であり、残念ながらそこには強い窮屈さを感じてしまう。
つってもこのゲームで自由に謎解きってのはちょっと難しいのは分かる。
思えば「ポートピア連続殺人事件」は、やり方知ってりゃスラスラ進める自由度があったなぁ。
構成が複雑になるだろうけど、もうちょい解き方を多様化してほしいと思う。

フラグのガチガチさはシナリオにも出ていて、タイトル通りの「逆転」を感じさせる状況を作る為に、
とにもかくにも成歩堂が不利になるよう出鱈目な裁判ばかりが繰り広げられる。
弁護側はほぼ完全に無罪を証明しなければならないのに対し、検察側はロクな根拠がなくても有罪を勝ち取れる。
「疑わしきは罰せず」という現実裁判の絶対原則が、この世界には存在しないようだ。実際一度も言及されないし。
ゲームだから笑って見ていられるが、こんな裁判を現実にやられたらちょっと洒落にならないよ。
論理性を肝にしてる作品なのに、刑事事件としての舞台設定は論理が破綻しまくっているのだ。
もうちょっとこう、自然なピンチの描写が欲しかった。これでは逼迫感を存分に味わえない。


制作当時は続編の予定はなかった(嘘臭いけど)との事で、物語は今作だけでスッキリ完結している。
全4章で綺麗に纏まり完結しているバランスはなかなか見事である。
ある意味では、続編なしでこのまま終わった方が良かったかもしれん。うーん。
特に感動や衝撃がある内容ではないが、纏まりが良いというのは大きな長所である。
検察超絶優遇の裁判制度含め突っ込み所もあるが、流しておくとしよう。
お馬鹿要素である「大江戸戦士トノサマン」はスピンオフで出してほしいくらいナイスネタだと思った。



キャラは……魅力的なのかそうでないのか、何とも微妙な人たちが揃っている。
面白いリアクションなど、只管「個性的」を追求してるのは分かるが、
何と言うか商品レベルにもう一つ達してない感じ。偉そうだけど。

あと、年頃の主人公とヒロインがいながら、ラブコメ要素が一切ないってのはある意味今作の独自要素だと思う。
他の作品なら成歩堂と真宵がそうなるか、もしくは千尋への想いを引き摺るような描写が入るのが普通だ。多分。
なのに続編含めて一切そういう雰囲気はなく、御剣ら周辺キャラが絡んでくることもない。
個人的には極めて不自然だと思うんだが……シナリオに組み込みにくいのだろうか?


・成歩堂龍一
正義感溢れる主人公ということで好感度は高いが、突出したものがなく、ごく普通の人。
4のオドロキのように、軽い特殊能力くらいは持たせてやっても良かったのにと今なら思う。
絶体絶命状況からの逆転がある意味特殊能力だが、それもシナリオの都合が強いので、
成歩堂自身が頑張って難関突破していく感じがあまりしない。
更に、今作ではないが、4でのあの扱いが非常にアレだったからなぁ……アレはないわ、と今でも思う。
ただ、「強く印象に残るキャラ」であることは間違いない。今作をプレーして成歩堂を忘れる人は多分いないと思う。
「マーブルvsカプコン3」に驚きの隠しキャラとして登場しないかなぁ。海外でも発売されてるから可能性はあると思うんだが……。


・綾里真宵
ウザヒロイン。ラブコメ要素の無さを不満に挙げたが、実際あったら困るので現状でよし。なんやそら。
17才という設定ながらガキ臭さが半端ではなく、子供っぽいの次元を超えている。脱がしたい度ゼロ。いやマイナス。
成歩堂のパートナーという重役を任されておきながら、発言には無神経だったり知性ゼロなコメントが矢鱈と多く、
とてもじゃないが好きになれない。続編でも直るどころか悪化してるし。
初登場時の、容疑者としてションボリしてた頃が一番マシだったとマジで思う。
このシリーズ、ヒロイン描写は残念ながら失敗してると言わざるを得ない。4のみぬきも含めて。
そういった所を重視する作品ではないとしても、もうちょい何とかならなかったんだろうか。
終盤自分の役立たずを嘆いていたのが唯一の救いか。自覚あったんだな。
EDで修行の為旅立ったし、やはり今作で完結しててほしかったかも。はぁ。


・矢張政志
「事件の影に、ヤッパリ矢張」というフレーズが何故か忘れられん。
一応知的エリートたる成歩堂と御剣の同級生なのに、コイツだけフラフラとフリーターをしているようだ。
楽天的だったり暴走気味に熱かったりで、割と好感度が高い。法曹界なんて行くモンじゃないという暗喩キャラかも。考えすぎか。
成歩堂の原点である「給食費盗難事件」の犯人だった事が後に判明する。
……うーん、EDのおめでた空気でサラッと流されてたけど、許していいのか?
やっぱ好感度取り消しかも。今は更正したと思いたい。


・御剣怜侍
成歩堂の幼馴染みながら冷酷検事として立ちはだかる。しかし終盤に容疑者となり、色々あって和解。
立場的に対立することは変わらないが、続編では成歩堂の仲間と言っていい間柄になる。

……しかし、彼の検事としての信条は非常に問題あると言うか、流せる次元のものではない。
「被告が真実を言ってるかどうか、我々に判断などできない。なら私に出来るのは目の前の被告を有罪にすることだけだ」。
確かに人の嘘を見抜くなんて実質不可能なことであり、それを判断するのは裁判官の仕事だから、
検事は自分に与えられた証拠を元に目の前の被告を有罪にするのが使命と言われればその通りかもしれない。
だがそれと「何をやっても有罪にする」は全然別の話だろう。それでは自分で有罪と判断してることになるじゃないか。
作中での御剣は「証拠の捏造他、どんな手段を使っても有罪を勝ち取る」検事として紹介されている。
師匠と仰いでいた狩魔豪が御剣を上回る極悪検事だったことから、弟子も同様の考えだったことは間違いない。
ゲームで描かれない、御剣が担当した事件には、無実でありながら投獄・死刑に処された容疑者がたくさんいるはずだ。
それも証拠の捏造など、御剣自身が死刑になるべき重罪を用いて。
……俺はちょっと、このキャラを受け入れられんわ。上記の通り、方針だけならまぁいいんだが、やり方まで手段を選ばないってのはなぁ。
後に成歩堂が証拠捏造で弁護士資格を剥奪されたってのがまた非常に滑稽だ。じゃあ御剣や狩魔はどうなるってんだよ。

現在シリーズは「逆転検事」として御剣を主役に展開している。
俺は未プレーだが、一応興味はある。果たしてどんな描かれ方をしているのだろうか。
そういや、逆転検事のシナリオは巧舟(逆転裁判の生みの親)じゃないらしいね。最近知った。
4の出来と評判が非常に悪かったことと無関係じゃないだろうな……。





ふぅ。
見知ったキャラと世界を再度堪能でき、プレー時間は短めで、なかなか有意義な再プレーであった。
どんなゲームもこのくらいの時間と手間で再プレーが可能なら、もっと気楽にやれるんだけどな。
再プレーの方針をどうするか、さっぱり思いつかない。
結局今作を始めた時のように、気が向いたらやるってのが一番いいんだけどな……。

このままの流れで続編もやっておきたいとは思うが、今作と違ってどれもかなり長いので、ちょっと手を出しにくい。
文字送りの遅さが更に躊躇させるし。あれ本当に不快なんだよな。
ただ、逆転検事の新作がもうすぐ出るし、3DSで「レイトン教授」とのコラボという驚愕の発表もあった。
来年10周年ということで、逆転裁判シリーズを見直すにはもってこいの機会ではある。
……ま、気分に任せるとするか。これ以上の答えはない。これに決定。
やれやれ。


ちなみに今作プレーの為に久々にGBAを起動させたんだが、その液晶の暗さにビックリした。
本当に見るに耐えないレベルで、とても10年前程度のハードとは思えない。ハッキリ言って酷すぎる。
今作初プレー時やGBAでの「ファイアーエムブレム」シリーズなど、当時は愛用してたのが今じゃ信じられん。
DSに互換機能があって良かったよ。もう今後のGBAプレーはDS一択だな。はぁ。

再プレーをすると、当時と今の違いを色んな面で実感し、ヘコむこともままある。
今回のGBAへの失望感はまさにそれだった。もうあの頃には戻れないんだなぁ。
だがしかし、ゲームソフトの価値は、それだけは今も変わっていないはずだ。
どんだけ時間が経っても、時代が変わっても、そこだけは主張していきたい。他ならぬ自分自身に。
そう、「異議あり!」とね。とか。はは。


最後に……10年近く気になってるんだけど、パッケージ等に描かれてる成歩堂の指差しシルエット、向きが逆だよな。
あれじゃ検事席の人間になっちまうやん。反転して使われることがあるわけでもないし。
続編でも全く手を加えられてないし……ロゴ絵としてのバランスの為なんだろうか?
逆転検事でも変わってないから、今度は正しくなったってのは変な話である。
誰も異議を唱えなかったのかな。
はぁやれやれ。








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