腐れゲー道

プレーしたゲームの感想文を、ダラダラと粘着質に綴ります。

トア ~精霊王紀伝~

2012年08月05日 17時33分45秒 | サターンゲーム感想文
毎年恒例、サターンで遊ぶ時が今年もやってきました。この時を待ってたよ。なんたって俺はセガサターン大好きだから!

……というようなテンションとは程遠いが、サターンは、俺に幾つかある、義務ゲー、ゲー義務のうちの一つである。
義務でプレーするゲーム。略してギーム? まぁどっからどう考えてもおかしい考えである。自分でそう思う。
でも娯楽に僅かな「縛り」を入れるのは、面白さを増す事に繋がるとも思うんだよな。
もっと多くの最新ゲームを追いかけるゲー道をやりたい気持ちはあるが、それだとあまりにも自由すぎる。ダレてしまう。
好きでやってることだが、こうして感想文を書くのも縛りの一つだ。漫然とゲームやってるだけだと、俺は多分つまらない。
テキトーに義務ゲーを挟むことで、ゲー道にもメリハリが出る。義務ゲーが思いの他楽しめることだってある。
だから今年もセガサターン、来年もセガサターン。パチ屋に身をやつした今のセガなどどうでもいいからセガサターン。
ぶおおお~~んしゅわわわ~~~んぎゅいいいい~~~~~んんんんん………………という起動音が、再び俺の部屋に鳴り響くのだった。
はぁ。


古いハードを起動する場合、まず動くかどうかでいつも緊張する。で、今年も俺のサターンは問題なく存命を確認できた。
それどころか今回は非常に調子が良く、動作が怪しくなったことは一度もなかった。ここ数年は割とビクビクしてたのに。
またコントローラーも、スタートボタンの効きが悪くて困っていたのだが、分解して掃除したら、いともあっさり直った。
そりゃもう新品同様の快適さで、買い替えを検討してたのに全く不要となった。すげぇぞマイサターン。
やっぱ普段から大事に使ってると、物もそれに応えてくれるもんなんだな。……大事にしてる、か? 別に扱いが丁寧でもないし。
ま、家族みたいなもんだから他人行儀な対応はしないってことさ。テキトーさ。動いたんだから万事オッケーだ。
いずれ壊れることもあるかもしれんが、それまではとことん動けよ。それこそがお互いの幸せだと強く信じる。はぁ。


で、「トア ~精霊王紀伝~」である。ぶっちゃけ全く売れそうにないタイトルである。実際売れなかった……と思う。
俺としても、発売当時含めて別に執着があったタイトルではない。数年前に購入したが、「サターンだから」以上の理由は特になかった。
このタイトルで思い出されるのは、今作よりも寧ろ前作「ストーリー・オブ・トア」だ。尤もこちらも未プレーだが。
前作はサターンではなくメガドライブのソフトで、「メガ・ロープレ・プロジェクト」の一本だった。これを覚えているのだ。
メガロープレプロジェクトとは、RPGの存在が非常に重要だった当時のゲーム業界において、完全にSFCに負けていたメガドラが、
RPGを充実させることによりユーザーを惹きつけようと企画した、涙ぐましいプロジェクトである。計7作が発売された。
まぁ当然のように大した成果は得られなかったが、発表された作品群はそれなりに粒揃いで、割と好評だったと記憶している。
俺はメガドライブを持っていたが、当時はさすがにSFCが魅力的過ぎたので、このプロジェクトの作品にも触れることはなかった。
が、一応「トア」の名は覚えていて、サターン版続編のプレーへと繋がったのである。以上死ぬほどどうでもいい事情完。



続。もう一つ緩いプレー理由を挙げるなら、今作のジャンルが「アクションRPG」だということかな。
アクションRPG。今はすっかり聞かなくなったが、一昔前はブイブイ言わせていて、俺の好きなジャンルだったのだ。
アクションRPGは、更に二つに分類される。「コマンド式RPGの戦闘をアクションにしたもの」と「ゼルダ系」だろうか。
前者は文字通りの意味で、RPGにおけるコマンド選択戦闘にアクション要素を取り入れたものだ。
後者も文字通りの意味で、ゼルダ的な、謎解きを主軸にしたタイプのゲームである。ただしゼルダ自身はRPGを名乗っていない。
このうち俺が思う「アクションRPG」は、後者のゼルダタイプである。今作も、まさにゼルダ的アクションRPGだ。
戦闘と謎解き、そして物語。古典的だが面白い、面白いから定番。実際現代でも謎解きはテレビゲームの骨子の一つである。
詳しくは知らんが、比類なき欧米のユーザーも謎解きは好きらしい。確かに「ゴッド・オブ・ウォー」シリーズは謎解きの塊だったな。
日本も欧米も好きな、ゲームの謎解き。昨今深刻な市場性の差はここにはない。正に普遍、世界的定番。ビバ謎解き。
しかし謎解きは正義でもアクションRPGというジャンルはそうではない。時代の波に飲まれ、ほぼ消えてしまった。
まぁ消えたと言うか様々な形で分散していったというのが正しいと思うが、昔ながらのアクションRPGを見なくなったのは事実だ。
その意味ではこうして古い未プレーのアクションRPGを引っ張り出してくるのも十分有意義だ。謎解きに古さはないからな。
てわけで開始。真正面から古き良きアクションRPGに挑んでやる。


仕様としては、今や懐かしき斜め見下ろし画面のアクションRPGである。時代を考慮してもやや古い絵かもしれない。
ただキャラのアニメーションはなかなか凝っていて、ここに一応次世代を感じた。サターンは永遠の次世代なんだよ。チッ。
ポリゴン全盛時代にこんなガッチガチ2DアクションRPGを出していたのが、いかにもサターンらしい、セガらしいと思う。
まぁアクションRPGというジャンルにおいては、この作りで問題ない。俺も特に不満はない。

……が、ゲームを始めてすぐ、今作の絵が非常に「分かり難い」ことに気付いた。
今作は斜め見下ろし画面で、地面には「段差」が設定されている。小さな段差以外はジャンプで飛び移ることができない。
これは当然各種謎解きにも絡んでくる要素で、見た目で段差、あるいは同じ高さを認識する事は、今作の攻略上非常に重要である。
のだが、これが分かり難い。なんちゅーかグラフィックがのっぺりしていて、立体的に見えないのである。
その為ゲーム上重要な「段差の把握」がしにくく、視認ミスが続出する。当然プレーに支障が出て、イライラする。
段差は序盤からガンガン登場するので、慣れるまではとにかく困惑の連続だった。非常に取っ付きが悪かったと言っていい。
キャラアニメーションやグラフィックそのものは悪くない(良いとも言えん)が、絵作りにはもっと気を配って欲しかったと思う。
まぁやってるうちに慣れて、中盤からは段差の視認もほぼ間違いなくやれるようになったが、そうなれなければ途中で投げ出したかもしれない。
俺はゲームにおいて「余計な足枷」を背負わされるのが嫌いなのである。苦難は納得づくで背負いたい。大袈裟だが。うーん。


攻撃は、当然ながら武器を振り回して行う。武器は剣や弓など4種類、+サブの爆弾。実に普通だ……。
しかし謎解きに使用する以外で武器を使い回す理由はハッキリ言ってなく、普段は常時大剣を振り回すのが正解だろう。
今作は戦闘に関してはかなり大味で、難度も低い。雑魚戦ボス戦共に燃えるものは皆無だった。もちろん面白くもなかった。
武器攻撃より飛び蹴りの方がよほど強かったり、敵が妙にギャグがかっていたりで、笑える部分はあったけど。
成長は経験値性ではなく、雑魚敵を倒す意味もほぼない。金の概念がなく、当然買い物の要素もない。
……散々アクションRPGと書いたが、今作はゼルダそのもの、アクションアドベンチャーと呼んだ方がいいかもしれない。
でもパッケージにはアクションRPGと書いてあるぞ。まぁ正直、どっちも似たようなもんだし、どうでもいい事なんだがな。


サブタイトルに「精霊王」とある通り、主人公は6種類の精霊を召喚し、使役して戦う。
この精霊召喚こそ今作の肝であり、独自性だと思う。精霊の能力は多彩で、まぁ使いこなす面白さはある。
しかし上記のようにぶっちゃけ今作の戦闘部分は温く、どの精霊でどう戦ってもどうとでもなるレベルである。
ちなみに一番役立つのは、最初に加入する「水の精霊・ディト」かな。雑魚凍結と自動回復がアホほど強い。
精霊の使いこなしを要求されるのは、結局戦闘ではなく謎解き面となる。こちらは多彩な能力を場面場面で使い分けねばならない。
……今作はホント、謎解きゲーであった。まぁ期待通りの内容ではあったが、こうも戦闘が軽視されていると寂しいものがある。
つってもこれは他のアクションRPGも似たり寄ったりだな。戦闘面が印象に残るアクションRPGは、パッと思い浮かばない。
コマンド戦闘+謎解きの「ワイルドーアムズ」タイプのゲームの方が俺には合ってるかもしれない。実際俺WAファンだし。
……うーん、自分ではアクションRPG大好きだと思ってたのに、何か認識が崩れてきた。ホントに面白いのかこのジャンル……!?


アクション面には疑問ありだが、謎解きに関しては今作も折り紙つき、十分なレベルのものを提供してくれている。
段差と精霊のネタを駆使した謎の数々は歯応えがあり、一筋縄では行かない。古いゲームだと舐めてかかれる余地はどこにもない。
ダンジョンは序盤からなかなか複雑で、精霊が増え、やれる事が増えるにつれどんどん難度を増す。終盤は本当に大変だった。
あれだけ広くて段差的に複雑なダンジョンを成り立たせているのは見事と言うべきだろう。今作のダンジョンデザイナーは優秀である。
ただ今作の謎解きの難しさは「複雑さ」であって「難解さ」ではないと思う。頭を使って考えるタイプのものはあまりなかった。
じっくりダンジョンを探索し、マップを把握するのが何よりの攻略だな。マッピングは段差のせいでやり難いだろうが……。

段差は今作における最大の敵の一つだが、この点に関しては実は結構厚い救済が用意されている。
普通この手のゲームだと、飛び移れない段差は謎を解かない限り決して先には進めないようになっているが、今作は違う。
例えば敵キャラがそのまま足場になったり、中盤からは武器の爆弾を設置すると、その上に乗れたりする。そしてこれが足場として機能する。
段差に関しては、このような裏技的な手段がかなり露骨に用意されている。製作者が意図的に仕込んだのは間違いない。
まぁ段差を飛ばせても鍵等を手に入れなければダンジョン攻略は不可能なので、これで万事解決というわけではない。
だがガチガチな作りになりがちのこのジャンルにおいては珍しい緩さだったので印象に残った。はぁ。


主人公のHP・MPは自動(要因がよく分からない)で成長し、武器は取得によって強くなる。パラメータ成長の概念は今作にはない。
他、精霊や武器の強化アイテムが存在するが、ゲーム進行に必要な分だけを集めれば十分で、攻略上の必要性はない。
が、この精霊・武器強化アイテムは明らかにゲームクリアーに不必要な分量で用意されており、それが世界各地に隠されている。
今作におけるやり込み要素はこれであろう。本編クリアーだけでも大変なのに、アイテムコンプを目指すと目の前が暗くなるほどだ。
俺も完全に自分の分を超えていると判断し、早々に諦めた。ゼルダのハート集めみたいなものだ。さすがにコンプはきつい。
俺は謎解きゲームが好きだが、当然「分からない」状態のストレスは非常にキツイものがある。それが面白さだが、限度がある。
この場合謎解きと言うより世界の隅々まで探索し尽くすことが大事だからな。時間もかかって本当に大変だ。
まぁゲームクリアーには殆ど関係ないから、もちろんあって悪い要素ではない。燃えられる人には最高だろう。
ちなみにクリア後は、プレー時間・ゲームオーバー回数等の成績が表示され、更にアーケードゲームのようにネームエントリーがある。
複数回プレーしてより好成績を目指せということなのだろう。……うーん、これはちょっと要求し過ぎだと思った。
全部分かった上で一直線にプレーすれば数時間で終わるだろうが、そんなプレーをして楽しいゲームとも思わん。
複数回プレーを当然と思っているなら、製作者は今作の出来栄えに相当自信があるのだろう。それ自体は悪いとは思わんが……。


物語は、一応あるにはあるが非常にチャチ。何の感慨も湧かんレベル。
昔、精霊王と悪魔が戦い、相打ち。主人公レオンは精霊王の後継者で、ある日悪魔の封印が解けてしまった。
レオンは悪い奴を倒す為に精霊を集め始めるが、その間に敵側の幹部少女・ミュラがこちらに亡命してくる。
ミュラは可愛くて良い子だったが、結局再度の洗脳を施され、敵側に連れ去られる。当然、ラスト前に敵として立ち塞がる。
ちなみにこちら側に滞在中、ミュラとレオンの間にはラブコメが発生していたらしい。そんな描写皆無だったっちゅうねん。
最終的に、悪魔を倒した反動でレオンとミュラは地上界に落下してしまい、そこで王国を築きました、とエンディング。
もしかしたら前作に話が繋がるのかもしれん。まぁ正直見所は皆無なのでどうでもいい。
時代を考えてもちょっとアレであろう。ここに期待はしていなかったが、予想以上に存在感皆無なシナリオであった。


音楽は……そうそう、今作、販売はセガだが、開発は「エインシャント」という会社が担当していて、ここの社長は「古代祐三」氏なのだ。
古代氏と言えば、初期ファルコムゲームを代表作に、ゲーム業界作曲家の大物として有名な人物だ。当然、今作の作曲も担当している。
なのでBGMには期待できると思ったのだが……ハッキリ言って、全く印象に残らない。1曲たりとも思い出せない。聞き所なしだった。
元々ゲーム自体が謎解き中心の静かな雰囲気なせいか、BGMで場面を盛り上げる必要がなく、殆ど環境音楽的意味合いしかない。
更にBGM自体の音量が小さくて、そもそも聴こえてこない。感覚的には大半の場面を無音でプレーしていたように思う。
古代氏の名前は、この地味極まるタイトルで唯一輝くものだっただけに、それを全く活かせていない結果が残念だった。
ちなみに俺はPCエンジン「イース1・2」や「アクトレイザー」の曲は今もよく聴く。古代氏のファンとは断言できないが……。



ふぅ。
サターン的な匂いに浸ってタラ~とプレーするはずが、ダンジョンのガチさに随分苦労した。でも楽しめたよ。
サターンゲーをプレーすると、毎度毎度セーブロードの快適さに驚かされる。あまりにも速い、速すぎる。ラグゼロ。完璧。
その速さはカートリッジゲーすら上回ってるんじゃないかと思うほど。もちろん現行機なんて比べ物にならない。
まぁ現行機だって十分速いから、これはサターンが速すぎると言うべきなのだが、目立つ「特長」を嬉しく思う。
ちなみにかつて悩みの種だったバックアップRAMカートリッジも、今はすこぶる快調に動作している。サシッパにしてるんだがな。
ネットで「端子部を濃い鉛筆で擦ればいい」という情報を見て、破壊覚悟の自棄糞でやってみたら、これが大当たり。
以後全くエラーが出ない完璧製品となった。それまでに散々試した民間療法の数々は全て失敗に終わっていたから、喜びもひとしおだった。
今もサターンゲーを躊躇なくプレーできるのは、セーブデータに信頼を置けるからという理由も大きい。少なくともプレー中は大丈夫だ、と。
もちろん本体含めていつイカれるか分からんが、本当にそうなった時はもう仕方ない。永遠はない。存在する今を生きるのさ。
取り敢えず現時点ではマイサターンはバリバリ現役ゲーム機。過去プレーしたゲームのセーブデータを眺めてニヤニヤした。
さぁて……次は……。


今作は96年4月発売らしい。丁度サターンが20000円に最終値下げされた直後で、時期的には最高だったと思われる。
なのに売れず(多分)、知名度も殆どないまま消えていった。ジャンルのせいか、ゲーム自体のせいか……うーん。
当たり前だけど、ゲームなんて発売されたもの全てが売れるわけではない。売れるのはごく一部、他は名も無く消えていく。
そんなゲームの一つが、今、俺の手で現代に価値を持った。とても素晴らしいことである。ゲームも喜ぶだろう。うんうん。

……と以前までは考えていたが、本当にそうだろうかと昨今疑問に思い始めている。寧ろ迷惑なんじゃないか、と。
今時こんな古いゲームをプレーしても、当然ゲーム経済には何ら貢献していない。逆回転させてるとすら言えるかもしれない。
製作者にとっても、金にならず受けもしなかったゲームを今更掘り起こされても、鬱陶しいだけではないだろうか。
もちろん俺は自己満足でやっているんだから、製作者がどう思うかなんてのは二の次だ。だが二の次においては価値があると考えていた。
実際どうなんだろうなぁ。どんな形でも、自分の創った作品が誰かに遊ばれるのは嬉しいものなのだろうか?
クリエイターではない俺には永遠にそれは分からん。身勝手なポジテブ想像をして自己満足を補完するだけだな。

この文もそのうちgoogle大先生に拾われて、ネットの隅っこに残るだろう。
いつか今作に関わった人がそれを見て、内容までは読まんでもいいから、2012年8月に今作をプレーした人間がいたことを知ってほしい。
貴方の創作は今、価値を放った。絶賛はしないけど、面白かったですよ。ありがとうクリエイター、ありがとうセガサターン。
何を言いたいかよう分からんけど終わり。全てのゲームソフトが幸せになれますように。

はぁ。












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2 コメント

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Unknown (nanasy)
2018-11-09 14:29:38
レベルは経験値ではなくて取得アイテム数とか完全回復数とかだったと思います。攻略ページまで作ってやりこんだけどもうあまり覚えてないなあ。
Unknown (ota)
2018-11-09 22:16:35
おお、そうなんですか。プレー中は気づきませんでした。
>攻略ページまで作ってやりこんだけどもうあまり覚えてないなあ。
それは時代的な意味で凄いですね。当時はかなり最先端な行為だったのではないでしょうか。カッケー。

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