腐れゲー道

プレーしたゲームの感想文を、ダラダラと粘着質に綴ります。

アサシンクリード ブラッドライン

2021年09月19日 02時05分41秒 | PSPゲーム感想文
【ハード】PSP
【メーカー】UBIソフト
【発売日】2009年12月23日
【定価】5229円(現物版)
【購入価格】500円(中古)
【プレー時間】計8時間


今年になって、比類なき「アサシンクリード」をプレーした。俺もやっと、このシリーズに足を踏み入れることになったのだ。
となれば、続いて「2」に行くのは必然。元々1と2のDL版をセット購入してたので、ここは非常にスムーズに進むはずだった。
……が。アサクリについて調べていると、引っ掛かりがあったのだ。「アサシンクリード ブラッドライン」の存在である。
今作は、ずばり「1と2の間の作品」だ。1に続きアルタイルが主人公(2は違う)で、1の後、彼がどうなったかが描かれる。
またPSPでのみ発売されており、後継機への移植が一切なされていない。今やりたいとなればPSP実機を動かすしかない。
……うーむ。正直、かなり迷った。ぶっちゃけ、ムキになって「やらなきゃ」な作品ではない。それはプレー前から分かってた。
そんな重要な作品なら、移植やリメイクがされているはず。今じゃ殆ど忘れられた1本になってることからも存在感は明らかだ。
分かってる、分かってる。けど、ま……どうせこんだけ遅れて参戦した俺だ。今更一本や二本増えたって大勢に変わりはない。
それとUMDゲームってとこも個人的には魅力だった。いや魅力はおかしいな。久々なのよ、PSP実機でゲームをするのは。
調べたら、10年前の「ディシディアファイナルファンタジー」以来だった。DL版のゲームは互換のあるVITAでやってたからね。
たまに「カズオ(数独)」をやってたが、それ以外のPSP恒常起動は実に久々。ならやっておこう。まだまだ動くんだし。
つーわけで購入し、プレー。……うお、スライドパッド、操作しにく! これだよなぁ。モンハン持ち……俺は出来ない……。


ぬぅ。今作は、もう明確に「アサクリ1ミニ」である。初代アサクリの素材を使い、PSPでアサクリの小型版を作る、という。
本来なら移植レベルのことをしたいが、PS3とPSPではスペックが雲泥の差だ。同レベルの表現などできる訳がない。
さりとて「全然違う」ではアサクリにならない。だから、なるべく、頑張って、アサクリを再現する! 小型版で!!
……という方針だったのかどうかは知らんが、やってみるとほんまビックリするほどそんな感じだった。アサクリ1ミニである。
まず、フィールド。アサクリは準OWで、エリアフィールドはかなり広かった。それをPSPの性能で再現するのは絶対に不可能。
てわけで、狭い。ちょっと走ればすぐ端から端に辿り着く。ある意味快適だから文句はないのだが、寂しく感じたのも事実。
次に、建物。1の時点でもコピペばかりで殺風景だったが、今作はそれ以上に簡素で、子供の作ったジオラマのようだ。グサッ。
1で特徴的だった建物の起伏も、あるにはあるがかなりレベルダウンしている。パルクールアクション感覚が薄まっている。
そして、人々。1ではどこもかしこも非常に人通りが多く、「現代以上に栄えてるんじゃね?」と思うほどの人口過密ゲーだった。
それが今作は、もうビックリするほどゴーストタウン化。は言い過ぎだけど、マジで驚くくらい人通りが減ってしまった。
もちろんこれもPSPの性能ゆえだ。PSPで1の人口を表現なんて、逆立ちしても出来ない。今作でも頑張った方なのだ。多分。
そんなこんなで、表現上ではもう全面的にパワーダウン。頑張ってるのは分かるが、非常に寂しい続編と言うしかない。

表現力の低下は仕方ないとして、ゲーム性はどうか。……これも当然のように、新しいことはなく、1のミニチュアだった。
メインの目的はもちろん暗殺で、その前に情報収集や周辺人物の殺害といった事前ミッションが入る。1と同じ作りだ。
そのミッションでやることも1と同じ……なのだが、スケールダウンが著しい。正直、やってて悲しくなるほどだった。
そもそもゲーム性は、グラフィックとは違い、1の時点でも微妙だった。無理矢理感が強く、ちっとも洗練されていなかった。
それが今作で更にスケールが小さくなってる。さすがにレベルが低くないかこれ。PSPの性能を言い訳にするのも苦しいし。
何がダメなのかは説明しにくいが……「フラグでガチガチに縛りすぎ」なんだな。分からんな。俺の表現力が一番乏しい。
拠点でイベントのフラグを立てると、該当箇所に該当人物が瞬時に登場する。そいつと会話すると別フラグが立ち、以下同。
これだけ書くとゲームとしては普通で常識的な作りだが、今作はそれを非常に機械的にブッ込んでくるので、違和感が半端ない。
少なめのモブが歩き回る無機質な空間で、そこだけにいきなり活気が湧く感覚。現実世界に突然芝居が入り込んでくるというか。
これほどイベントに入っていけないゲームも珍しい。大メーカーUBIが21世紀に出すゲームがこれでいいのか。ぬぅううん。

1の時に書いた「半径5m結界」ももちろん健在。今作はアサシンゲーだ。ターゲットだけでなく、衛兵も凡夫も誰でも殺せる。
人殺しは、大事(おおごと)だ。それは現代も今作の時代も変わらん。……そんな風に考えていた時期が、俺にもありました。
確かに人を殺せば、通行人は騒ぐ。衛兵が飛んでくる。その衛兵も軒並み殺し、一気に大量殺人現場が誕生。大修羅場だ。
……けど、衛兵を全殺しして「平穏」が戻れば、それまで。通行人は普通に歩くようになり、アルタイルを咎める者もいない。
少し場を離れて戻れば死体も血糊も消えて、最早何もなかったかのよう。いや実際夢物語だったのかも? そうかもしれない。
はぁ。殺人の影響をフィールド全体に及ぼすと収集がつかないから、こうなった。それは理解できるが、あまりにも、アレだ。
もちろんモブも衛兵も無限に補充されるから、大量殺人も無限に可能。そらゲームだからいいよ? これそもそもVR体験だし。
だが、この形容し難い違和感、もっと言えば嫌悪感はなんとも。俺、ここまで「気持ち悪い」ゲーム殺人は初めてかもしれん。
製作者の理想をちっとも実現出来てないのに、ガワだけ無理やり作ってる。そのガワは超一流レベルなのがまた皮肉だ。
続編でどんどん改良されていくのは分かってるけど、なぁ。遅れて古いゲームをやる方が悪い。言い返せません。はぁ。

規模感は大幅にダウンし、欠点はそのまま放置。なんともうーんだが、成長要素にだけは改良が見られた。
前作では何の特典もなかった収集物・旗が今作ではコインに変わり、集めることで成長ポイントを貰えるようになったのだ。
コインは旗と同様に屋根の上や路地といった場所に隠されている。取る意義があるから収集に力が入る。間違いなく改良だ。
コインは敵の討伐やイベント達成でも貰える。そうしてHPや投げナイフ所持数等を強化し、アルタイルを最強暗殺者にしていく。
それ自体は楽しい……のだが、残念ながらあまり意味がなかった。というのも今作、難度がかなり低いのだ。簡単すぎる。
1の戦闘もガードしながらカウンターを狙っていればほぼOKだったが、今作はそれを踏襲しつつ、更に難度が下がっている。
どの戦闘もテキトーで勝てるし、仮に負けてもリスクなくチェックポイントからやり直し可能。ほのぼの日向ぼっこ暗殺ゲーム。
HPは時間経過で回復していくから、ヤバくなったらガードを固めてそれを待つ戦法も取れる。至れり尽くせり暗殺ゲーム。
まぁボスはさすがに少し強いが。特にラスボスはよう分からん攻撃が多くて初めて負ける気がした。勝てたけどね。フフン。
なので、コインによる強化もさほど頑張らなくていい。強化しないとしんどいだろうけど、それに汲々する必要はないのだ。
町中のコイン収集も、「発見すれば取る」で十分。探し回る必要まではない。そこまでパワーアップする必要がないのだから。
なので(少しだけ)面白くなった成長要素も、そんなに楽しめるものではなかった。派手な必殺技とかも存在しないしなぁ。
難度の低さは悪いことではないが、今作のそれはテキトーな戦闘システムから来ているから、肯定はしにくい。
これもまた続編に期待、か。今作自体が続編だって? 違う、今作は1.5だ。下手すりゃ1.1かも。うーん。


物語。ここにかなり期待してたのだが……質がどうこう言う前に、正直よう分からなかった。内容を追えず、追う気にもなれず。
まず、今作にはPSP故か「現代編」がない。つってもアニムス(VR機)の描写はあるから、単に容量の都合で省いたのだろう。
前作では半径5m系の不自然さに「VRだから」という理由付けが一応可能だったが、今作ではそこを略しているのが残念だった。
まぁあんまし求めても詮無い話だが、作品の根幹をなす設定なんだから、説明文くらいはあってもいいのでは。贅沢ですねはい。
で。1の激闘の末「秘宝」を手に入れたアルタイルは、同時にアサシン教団のトップに立った。清々しいまでの下剋上である。
一方、1でも対立したテンプル騎士団との戦いはまだ続いていて、今作ではそこが描かれる。……で、よく分からない。
1もそうだったが、今作はナレーションや人物説明が全く無いのよね。なのにイベントは固有名詞が飛び交ってガンガン進む。
例えば、今作には「マリア」というテンプル騎士団の女捕虜がいて、アルタイルと色々やり取りする。まぁヒロインだ。
彼女は前作の終盤でボスキャラの影武者として登場した人物らしい。確かにそういう女はいた。……でも、説明してよ説明を。
いやもしかしたらイベントムービーで言及があったかもしれんが、サラッと台詞が一回あっただけじゃ、こっちは掴めないよ。
1をやって半年足らずでもこうなんだから、時間を置いたらもうちんぷんかんぷんだったであろう。……置かなくても同じか。
ヘルプで用語やキャラ説明くらいは入れてほしかった。それがあれば容量や性能に関係なく世界をもっと色濃く出来たのに。
ただ、フラグに従って大量殺人していればゲームは進むから、物語についていけなくても進行に困ることはない。開き直れ。

相変わらず鍵はアルタイルが持っている秘宝で、それを騎士団と取り合っている模様。また、秘宝は他にもあるらしい?
非常にゲーム臭いこのアイテム、俺はリアリティを損ねてると感じるので嫌いなのだが、当然今後もシリーズの鍵なのだろう。
それにしても、触れる前に想像してた「暗殺もの」とは全然違うゲームである。ゲーム性も、世界設定でも。
もっとこう、一筋縄ではいかない人間の憎愛とか、人殺しの苦悩とかがあるものかと。アルタイル、何人殺しても全然平気だし。
ちなみに続編のキャラはアルタイルの子孫なので、なら当然彼は子を儲けたことになる。お相手は? ……そうか、マリアか。
今作はやけにマリアを推してるから「さすがPSP版やな」と妙なことを思ったが、ある意味で続編への道標ということか。
尤も、それにしてはアルタイルとの間に甘い空気を流すことはなかったが。寧ろツンばっかだったし。ギャルゲっぽく動けや!
実際、続編を見据えてる以上、そこはちゃんと描くべきだったと思う。不本意ながら共闘しやがて心が通じ合うとか。ポッ。

PSPということで残念ながらトロフィーはない。それは仕方ないにしても、今作のゲームボリュームは非常に小さい。
本編は数時間で終わるし、クリア後の要素も特にない。強いて言えばコイン探しだが、それに燃えられる人はいるのかどうか。
サブイベントは1と同タイプのものが用意されているが、数も質も例によって1.1というか0.7というか。正直全然面白くない。
俺はサブも全部やって数時間でクリアーした。クリア後は章別チャレンジが可能だが、やり残しなんてどこにもない。
ゲーム性も2周目で味が増すとはとても思えん。シナリオは再読すれば理解が深まるかもしれんが、そこまでの魅力は……。
総じて、薄いゲームである。現代だったらせいぜい大型DLCレベルだろう。単品のソフトで出したらファンに怒られそうだ。
実はPS3版「2」との連動(懐かしい言葉だ!)要素があり、2のデータによりコインを貰えるらしいのだが……それ要るぅ?
そんなことせんでも十二分にゲームはクリアー可能だし、クリア後に最強アルタイルを作っても力を発揮する場面がないし。
見るべきところは技術面だけ。だがその技術面も「PSPなのに凄い」であって、PS3版と比較すればショボショボのばーである。
総じてうーんな続編であった。リメイクや復活がないのも頷けた。正直、その必要性がないからね。脳内補完の方がまだ……。

だが、今作をプレーしなけりゃしないで、続編をやり続ける中でずっと心残りになっただろう。スッキリ出来た。それでいい。
俺がゲームをやる理由なんて、最早そんなもんでいいのだ。面白さは絶対の目的ではない。歪みきったからもう開き直る。
久々のPSP実機稼働という目的も達成できた。問題なく動いてくれて嬉しい。次の機会も遠くないよ。動かしてこそゲーム機だ。
そして、俺のアサクリは心置きなく2以降へ向かう。既に大量に持ってるから悩む要素はない。……PS3版ばかりで少々アレだが。
題材はいいとして、どっから見ても荒すぎるこのゲームが、今や大人気シリーズになっている。それが示す答えは一つ。
続編でどんどん磨き上げられているということだ。先の展望は明るい。故に俺のやる気が衰えたということもない。
比類なく進化していく(はず)アサシンクリードシリーズの明るい未来を確信して終わり。世界に名だたるシリーズだもんな。
より殺しやすく、よりスリリングに。殺しと逃亡と盗みと盗聴と……悪事はゲームだ。現実じゃで出来ないならゲームで!

……「殺しに悩むアサシン」みたいなのは、多分続編でもないだろうな。そういうゲームじゃない。海外じゃ流行らん。
まぁ実際なぁ。他人の命、他人の人生、他人の思い、他人の無念。気にするから気になるわけで、気にしなければ?
知ったことではなかった。無論、他人にとっての俺も。アサクリはリアルだった。はぁ。









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2 コメント

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Unknown (サク)
2021-09-19 20:08:11
アサシンクリー道お疲れ様です
こういう据え置きゲームの携帯移植というのは大昔からありますが、後からプレイするとなかなか微妙ですよね

私が子供の頃もゲームボーイで、FCやSFC,PSといった据え置きハードからの劣化移植ゲーは色々と出ていて、子供心に物足りなさを感じつつもそれなりに楽しんでプレイしてた記憶があります
自由にゲーム機を買ったり出来ない子供なんかにはこういうゲームも需要があるとは思うんですが…でもアサクリはCEROZだしなぁ

そういえば、以前otaさんのアサクリ記事にコメントを付けた直後くらいにオリジンズを購入してプレイしたんですが、凄く丁寧に作られていて面白かったですよ
主人公も割と感情移入がしやすいキャラという評判で、otaさんには合いそうなアサクリかなと思いました
戦闘もオーソドックスながら比較的よく出来ていたように感じました。難易度自体は高くなくて、せっかくだからハードでプレイしてみるかと思ってハードで進めてましたが割と普通に進められたので難易度ハードをオススメします
難易度がハードだとやはり囲まれると死ぬので、「最終的には乱闘になるとしても、そうなる前に出来るだけ暗殺で数を減らそう」みたいな思考になって、アサシンゲームとしての没入感が強まるように感じました
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Unknown (ota)
2021-09-23 01:00:44
>私が子供の頃もゲームボーイで、FCやSFC,PSといった据え置きハードからの劣化移植ゲーは色々と出ていて、子供心に物足りなさを感じつつもそれなりに楽しんでプレイしてた記憶があります
あー、ありましたねぇ。性能的に再現は絶対無理だから、アレンジを頑張る必要がある。そこに独特の味が出てました(不味くなる場合も当然ありましたがw)。
SNK格ゲーのGB版「熱闘」シリーズなんかは非常に頑張っていたし、またよく売れていた記憶があります。
今作はなまじ見た目やキャラは再現できてるだけに、中途半端さが際立つという作りでしたね。

>そういえば、以前otaさんのアサクリ記事にコメントを付けた直後くらいにオリジンズを購入してプレイしたんですが、凄く丁寧に作られていて面白かったですよ
おお。やはりどんどんよくなってるシリーズみたいですね。ちゃんとアサシンゲームになってるのは偉いw
プレーは発売順にするつもりなので、相当先になりそうですが。時代順も考えたんですが、ここは難しいとこですな。
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