中小型機市場の変遷は目まぐるしいものがある。その昔、激しく変化する市場のベースとなっていたのがオフィスコンピューター(オフコン)である。オフコン御三家と呼ばれた富士通、日本電気(NEC)、三菱電機のほか、東芝もこの御三家にほぼ匹敵するシェアを有していた。これらは日本の歴史に例えれば戦国大名といったところか。さらに、IBM、オリベッティ、ニクスドルフ、NCRなどの外資系も頑張っていた。こちらは、さしずめキリシタン大名に当たる。
一方、目を海外に転ずると、当時圧倒的なシェアを誇っていたのがワングとDECであった。この2社の知名度は当時抜群で、将来そのブランドが消え去るなどとは到底考えられないほどであった。この2社を打ち破ったのがサン・マイクロシステムズである。何故、圧倒的シェアを誇っていたワングとDECをサンは打ち破ることができたのか。その答えはUNIXすなわちオープンなOSをサンが採用したことによる。かの名高いDECの創業者のケン・オールセンもオープン化の前には屈せざるを得なかった。
目を日本に転ずると、UNIXは日本以外の国では多くのシェアをとったが、日本市場では、日本固有のOSを持ったオフコンを駆逐することはできなかった。このように根強い人気を誇っていた、戦国大名ともいえるオフコンを破ったのはマイクロソフトである。この流れは現在まで続いており、言わばマイクロソフトは徳川幕府といったところ。そして、400年もの長い間権力の座にいた江戸幕府、すなわちマイクロソフトを脅かそうとしているのが、薩長を中心とした明治維新勢力になぞらえることができるLinuxである。
何故、明治維新が成功したのかというと、江戸幕府の封建集中制度が新しい時代にそぐわなくなってきたことに他ならない。マイクロソフトがビル・ゲイツ率いる江戸幕府なら、Linuxは明治維新政府ということになる。明治維新政府が国会という新しい仕組みを打ち出したように、Linuxはオープンソースという、多くの人が参加できる新しい仕組みを打ち出し今大きな注目を集めている。このように見てみるとLinuxは、これからの中小型機のOSの主役に躍り出ることが十分に予測される。そして日本は明治、大正、昭和そして平成と続き、新しい時代を迎えることとなる。これからのコンピューティング環境についても同じように、これまでのようなOSのシェア争いが終焉し、グリッドコンピューティング時代へと移り変わっていくことになろう。
(ossdata)