グラスに注いだ赤ワインのグラスの向こうに ゆらゆらと揺れる葡萄酒色の思い出。
私は小学生だったのだろうか、幼い日には違いない。
場所は父の実家の裏山だった。 いとこ三人と私は山ぶどう(だったと思う)を採っている。(それが秋の日だったのか、記憶はおぼろなのだが)
私の手は所々 黒紫色の果汁に染まっている。
四人で集めた葡萄を持ち帰り、年長の従姉妹は大きな甕の蓋の上に乗っている石を除けて開け、葡萄を入れた。私も背伸びをして中を覗き込むと 甕の底に深い葡萄色、黒に近い葡萄色、つぶつぶと半分泡だっているそれは、甘く芳ばしい香りを放っていた。
遠い 幼い日の記憶。
屋根は茅葺きだった。家の中はほの薄暗く、明るい外から入って来ると暗さに目が慣れるまで少し時間が掛かった。
囲炉裏の側には 丸い背をした祖父の姿があった。
明かり採りの小さな窓からは、煙りのような陽の光りが差し込み、透明な縞模様を作っていた。
祖父も あの家も 今はもう 私の記憶の中にしか ない。
なつかしくて 優しい 思い出。
秋が来たせいでしょうか、ワインの葡萄から思い出してしまいました。
私は小学生だったのだろうか、幼い日には違いない。
場所は父の実家の裏山だった。 いとこ三人と私は山ぶどう(だったと思う)を採っている。(それが秋の日だったのか、記憶はおぼろなのだが)
私の手は所々 黒紫色の果汁に染まっている。
四人で集めた葡萄を持ち帰り、年長の従姉妹は大きな甕の蓋の上に乗っている石を除けて開け、葡萄を入れた。私も背伸びをして中を覗き込むと 甕の底に深い葡萄色、黒に近い葡萄色、つぶつぶと半分泡だっているそれは、甘く芳ばしい香りを放っていた。
遠い 幼い日の記憶。
屋根は茅葺きだった。家の中はほの薄暗く、明るい外から入って来ると暗さに目が慣れるまで少し時間が掛かった。
囲炉裏の側には 丸い背をした祖父の姿があった。
明かり採りの小さな窓からは、煙りのような陽の光りが差し込み、透明な縞模様を作っていた。
祖父も あの家も 今はもう 私の記憶の中にしか ない。
なつかしくて 優しい 思い出。
秋が来たせいでしょうか、ワインの葡萄から思い出してしまいました。