大きなかぶ農園だより

北海道マオイの丘にある大きなかぶ農園からのお便り・・
※写真はsatosi  

今年も一年ありがとうございました

2019-12-31 | 日記
今年最後のお届けとなります。
1年間ご利用いただきましてありがとうございました。

振り返るとこの一年は宅配料の大幅な値上がりにより野菜価格が
大きな影響を受けましたが、毎週必要として下さる皆さんがいてくれて
続ける事ができました。ありがとうございます。
又、私たち二人だけでは到底実現できない多種多品目の農作物を
食べる人の健康と幸福を願い、育ててくれる道内外の生産者の方々がいてくれてこその大きなかぶです。
本州のあちらこちらで台風や大雨の被害が頻発しましたが、幸い野菜は切れることなく届きました。
育てた人の思いを、受け止めて下さる方々の台所に繋ぐのが私たち大きなかぶの仕事です。
お互いの心の手が繋がれているかぎり、笑い声絶えず。
生まれたての赤ちゃん、育ち盛りの子どもたち、大切な家族を守るために働くお父さんお母さん。
守られていた巣を出て自活し、小さな台所で自分のいのちを養う若い人たち。
子どもたちを育て上げ、ようやくゆったりと静かな食卓でくつろがれている人生の先輩方。
すべての人が、毎日の食卓を笑顔で囲む当たり前の豊かさの実現を、心の底から願います。
       来年も皆様の心と体が健やかでありますように 

当り

2019-12-16 | 日記
土曜日、隣町のユンニの湯に行くと毎年恒例のくじ引きが行われていた。
大きな丸い装置の中に入っている三角くじが風でブンブン回っている。
2カ所にある穴に二人で片手を入れて中に舞っているくじを一つつかむ。
「あ、残念でしたー!割引入浴券で~す!」若いお姉さんがにっこり。
装置の横にカラーテレビやユンニの湯宿泊券などが並んでいる。
「ほんとに当り有るのかあ?」夫が大真面目にお姉さんに詰め寄る。
「きのうはカラーテレビが出たんですよ」お姉さんニコニコ。
「10年通っても何にも当たったことがない・・・」夫は子どものようにごねている。毎年ごねている。
(まったく・・・はずかしい・・・本気でごねている。テレビ有るから当たったら困るし。。。)
次の人が並んだのでその場を離れたが、歩きながらもぼやいている。
「トウちゃんはカアちゃんを当てた時点ですべてのくじ運を手放したんだよ。」とニヤニヤ慰める。
納得いかない夫のモヤモヤを「あっ」と正気に戻す毎年の決め台詞。黄門様の御印籠。夫シュン。

トップからロウへ

2019-12-09 | 日記
けっこう寒くなってきて、空気がピンッとして、、これがたまらない。
秋の終わり、冬の入り口には寒さを恐れて何枚も着込んでいた。
本格的な寒さになった途端、心は落ち着き薄着になる。可笑しい。

畑からビニールハウスに運んで積んでいた大豆の脱穀が終わった。
片付けまで終えたら夕方の5時、真っ暗だった。
真っ暗な中で、山のような豆の殻をトラクターで夫が堆肥場に運ぶ。
下に敷いていたブルーシートを引っ張りだして片付けていたら「おい!どこにいるんだ!!」
夫がトラクターから飛び降りて妻の姿を探し、「俺の視界の中に居ろ!!」と怒鳴った。(え?)
トラクターの下敷きにでもなったと思ったのか?一応心配になったんだ、ぷぷ、けけ(笑)。。。。
そういう夫は黙ってどこかに行く。いつまでも帰ってこず、川に落ちたか?農機の下敷きか?とか
時にはあちこち探しに行く。やがて「上の倉庫で薪割りしてきた」とか「なにしてた、かにしてた」と帰ってくる。
こちらは(ひと言言って行け!)と毎回思うが、あえて口には出さず。運良く無事帰って来れば吉。
今、この一瞬の動作に集中して、やりきって、満足して(いのち)を持って家に帰る。
どこで何をしていようが、誰でも何気ない一瞬一瞬の判断の連続で今日も無事に生きている。
夫、70過ぎて最近は出かけ間際に「はたけ」「倉庫」「仕入れ」等、単語の発声が出来るようになった。
ギアがオーバートップからロウ(老)にシフトダウンしたのか。。。。

キリギリス

2019-12-02 | 日記
先週火曜日、ようやく大豆を刈り終え畑に積んであとは風が乾かしてくれる。。
天気の良い日に刈ったまめはすっかり乾いているので脱穀も始めた。
この調子でいけば楽勝、、だがここへ来て雪が積もり、雨も降る予報で
急遽畑からビニールハウスの中に運び込んだ。ふう~~~ひとまずは安心。
しかし、どうして毎年毎年こうもキリギリス的綱渡り的な事態になるのか?
振り返れば夏の暑い日は映画館で涼んだ。雨の日は温泉でのんびり過ごした。
そうこうしていて豆畑の草は伸びるがままに伸び、予想をはるかに超える。
で、結果的に草取りは思うように進まず、、みんなが夏の労働の結果を誇り、
毎晩祝盃挙げながらノンビルしているだろう冬の入り口までバタバタしている。周囲の笑い声が聞こえてくる。
自分はアリだと思っていた。しかし、人生どこでどうなったかキリギリスの嫁になって30年。
アリはやらねばならぬ事をさっさと済ませてからでないと落ちつけず、しかし、ともすればそれは結局永遠に続くのだろう。。
が、キリギリスときたら、一瞬一瞬気ままに動きたいように動いて一日を過ごす。アリのストレスは想像を絶する。
10年も昔、もう限界だ!と身体が悲鳴をあげたとき、コロンと何かがどこかがひっくり返り、アリはキリギリスになった。
頭の中にはアリがいるが、心と体はキリギリス。毎日楽しいことだけ追いかける。やりたい事しかできない。
アリの時、それなりに充実していた。働かないアリもいるらしいが、せっせと働くほうが好きだ。
キリギリスに対しては違う世界の生き物として一線を画し、友達にはなれないと思っていた。
なのに、しかし、実は、もしかしてアリの家にもらわれて養われていたキリギリスだったというのか。。。それが見破られて、、、、

そうなってみれば、キリギリスは想像していたよりもことのほか愉しく面白い。
豆刈りひとつにしてもキリギリスは「今だ」という風を感じてそれに乗り、あとは天の自動操縦に任せて進んで行く。
ああ、人生いろいろ、川の流れに身をまかせ、笑って許して、今さらジロー、愛燦燦、、、、
 昭和歌謡がキリギリスをやさしく包み込む。 豆が笑っている。