大きなかぶ農園だより

北海道マオイの丘にある大きなかぶ農園からのお便り・・
※写真はsatosi  

真相(深層)

2016-02-29 | 日記
「ポトスの鉢に水やってるのか?」 藪から棒に夫が言ってきた。ポトスは生きている。
「おまえ、何でもすぐ枯らしてしまうからな・・」 さらに追い打ち掛けてくる。 
何が言いたいのだ?5年前和ちゃんに託されたポトス。時々水をやり、声もかけている。

数日後、のりちゃんが長沼の老人施設で整体の初仕事をして、初報酬金三千円を頂き、
「これでひわさんにご馳走する!!」夫は留守だ「女子会!」と二人で食材調達。
ワインとチーズと、あれとこれと!!とかごに入れたら4千円を超えた。
「いいの、いいの、」 のりちゃんが笑いながらレジで支払いをする、となりで頭ぽりぽり。
若い娘の初報酬をすべて搾取する理不尽な大人を演じきれず、せめてと花を買った。
ピンクのバラをのりちゃんに、深紅のバラを自分にも。2本と2人の女子会は夜更けまで・・・
2日後、深紅のバラは首をすっかり垂れてあっけなく逝った。のりちゃんのバラは10日経っても生きていた。
そのことをちょっと迷った末に夫に言うと 「お前には愛が無いからなー」と予測通りの言葉が出てきた。ふふやっぱり・・
(可哀そうに、日常の現象の奥にある、妻の真実の愛に気づけないなんて情けナ・・)と思うが愛の安売りは禁物。

「ひわさんのバラ、エネルギーぜんぶひわさんにあげたんですよ」 のりちゃんが何気なくそう言った。
のりちゃん優しいこと言って慰めてくれるけど、はっきり言って自分はいつも自分のことだけで精いっぱいなのよ。
自然の中の草木に囲まれた暮らしに、世話のいる切り花や鉢植えを家の中に置くという発想は無く、別世界の事。

が、2月4日、ホーマックで買い物する夫を待つ間、何気なく鉢花を眺めていたら、
夫が来て「俺これにする」と赤い実をつけた南天の鉢を抱えている。
「お前もなにか選べ」 「え?」そんなこと言って、毎日世話することになるのは あ・た・し なんですよ。
しかし、目に飛び込んできた可愛い3色のヒヤシンス、香りが大好きなフリージアを念入りに選んでいる。
夫は蕾を二つ付けた小さな椿、黄色のカランコエ、”ワンダフルロマンス”という洋ランまでかごに入れている。
結局6鉢。レジを出て車に乗せた時点で、自分の心はウキウキして、喜びでいっぱいになっている。
一瞬にして信じがたい現象が起こった。一体どうなったのだ。何が始まろうとしているのか。。。

あれから20日も経ち、各々次々と蕾を開きながら事務机の前の窓辺でたまに水もらって生きている。
正月明けから毎日長時間パソコンと机に向かって事務仕事をするようになり、以前なら1時間もすれば
電磁波で右腕がだるくなり力が入らなくなっていた。そういえば、何とか遣り繰り出来ている。
もしかして、彼らは大かぶの一員としてチームでここに派遣されたか?? あの深紅のバラの遺言を受けて!?
世話が必要な存在だとばかり思っていた鉢植えの植物たちは、私の世話をするためにわが家に来たのか。。。。
何ということだ。田畑や、山や道端の植物には無条件に敬意を払っていたが、鉢植えには内心同情していた。
なのに、彼らはそんなことお構いなしに、自分の仕事をきっちり果たそうとしている。  わーんわーん(ばあさん大泣き)
1/17日に出会ったのりちゃんのピンクのバラは、2/28日の今日もペットボトルの花瓶で色あせながらも生きている。
ポトスはようやく仲間を得て心なしか葉根(羽)を伸ばしているように見える。

『日めくり』

2016-02-22 | 日記
 昔ながらの日めくりカレンダーを柱時計の下にぶら下げて使っている。
若い時は半分インテリア感覚で使っていたから、捲るのを何日も忘れたりした。
しかし、今年は必ず朝一枚めくり、今日が何日の何曜日かを確認するようになった。
ずっと夫がやっていた仕入先への発注業務を 自分が任されることとなり、
今迄のように、今日が何時なのかが分からなくても支障ない、という訳にいかなくなったのだ。
品物の在庫を把握し、足りないものを品質を損なわずに販売できる量を予想し、
高知・愛媛・大分の仕入先にはいつまでに、道内の仕入先にはいつまで、、と
夫が書いた発注の手引き書を何度も見ながら、長期間未使用の脳をフル回転させる。
毎晩遅くまでパソコンの前で頭ひねっていた夫を(段取り悪!)と腹で笑っていたら
笑われる番が来た。朝から夜遅くまで何度も同じ所を確認してみたり、ほんとにFAX届いてるかな?・・
と発信履歴のチエックをしてみたり、、、いやはや、還暦迎える年に脳改造か?!
ふと、日めくりに目をやる。 大きく印刷された今日の日付の下の、小さな文字が目に飛び込んできた。
『”容易な道を選んではならぬ 近道を抜けてはならぬ”有島武郎 1828~1923 明治・大正期の小説家』
 日めくりを見ているつもりが、日めくりに腹の中見られてた・・・・

今年も赤峰さん

2016-02-17 | 日本を考える
今年もまた赤峰勝人さんを北海道に迎えてお話をして頂く日が近づいてきた。
振り返れば20年も前、農業研修先の本棚で「ニンジンから宇宙へ」との衝撃の出会い。
そのあと就農し、長沼の女性たち数人で「ニンジンから宇宙へ」の輪読会を始めた。
『輪読会を重ねて、少しでも内容の実践が深まった暁には北海道に来ていただきたいです』
と 自分の背中を押すように、思い切って赤峰さんに手紙を出した。冬のことだった。
何年かかるだろう・・と思いきや、その冬に輪読会のメンバーのご主人が大分の赤峰農場で
定期的に開催されている”百姓塾”に参加し、各々の中で意識の進化が加速する。
その時の百姓塾に 島牧村で米つくりをしている波多野さんが参加していた。
波多野さんは奥さんをガンで亡くした。奥さんの強い願いであった赤峰さんとの出会い。
波多野さんの瞬発力が爆発し、その翌年2007年の4月、第一回札幌赤峰講演会実現。
それからこうして、ほぼ毎年赤峰さんを迎えて、もう何度目になるのだろう・・・・
自分は裏で子ども預り係や塩や芋の販売係りなどで、肝心な講演の内容はまともに聴いたことが無いのが残念だが、
会場の中でタイムキープ係の夫は、「今回は今迄と全くちがった!!」と毎回感動している。
赤峰さんの自然界に対する、実践を通した深い洞察眼、いつ読んでいるのかと思うほどの読書量。
長年続けている合気道を通して磨きのかかった精神力。畑作業の合間を遣り繰りし、どうしても伝えたいことを伝え歩く。
講演会の最後に質疑応答の時間があるが、何度かその場面に遭遇し、その時の赤峰さんがまさに赤峰さんだと感じる。
その場面のいくつかを今思い出しても、こみ上げてくるものがある。愛の人だと思う。
一見、どこにでもいるような、気の良いおじさんだ。仙人に非ず。 人間臭さは超一流。御年73歳。
講演内容はもちろんだが、ひとりでも多くの方々に赤峰講演会で赤峰勝人氏を感じて頂きたい。
今年は、なずなの塩場を任されている、ご子息の茂さん(奥様似の超イケメン)が初同行されます。

☆赤峰勝人講演会☆ 食べることは、生きること 大地を耕す百姓からの”いのち”のメッセージ
   場所  札幌エルプラザ 大ホール 札幌市北区北8条西3丁目 TEL 011-728-1222
 1日目 2016・3/12 (土)「循環のはなし」
 2日目 2016・3/13 (日)「陰陽講座」
 
どちらも開場12:30 開演 13:00~16:30
入場料 各2500円  前売り券2000円

お問い合わせ/北海道なずなの会世話人会
090-3119-8004(水田)090-5222-9780(永野)011-758-3322(昴の木)
チケットはホームペイジからも予約できます
http://nazuna.press328.com




大かぶ冬の定番メニュー

2016-02-13 | 食生活
大かぶ冬の定番メニュー
◎青菜たっぷり釜上げうどん(乾麺の素麺・ひやむぎでも)
①土鍋にたっぷりの湯を沸かし、うどん(大きい鍋なら2玉位)を茹でる。
②うどんがゆで上がる寸前に青菜(ほうれん草・べんりな・春菊など)あれば椎茸もぱっと放す。
③そのままテーブルに運び、好みの薬味(ねぎ・しょうが・白ごま・海苔など)を添え 生醤油で食べるだけ。
各々、その時の好みで酢醤油でも旨し。ラー油をポトリと垂らしても旨し。柚子胡椒も中々ですわ。納豆もいい!
※手間いらず! ただし、調味料は本醸造・添加物不使用のもので召し上がれ!
※心の余裕があればごぼうや人参サツマイモなどの根菜のかき揚げなどあれば、肉食系も不足感無し。
※食べてる間、コンロで別鍋にお湯を沸かしておけば、お代わり用がすぐ茹でられ、家族にっこにこ!


◎白菜のスープ
①白菜はザクザク切ってヒタヒタの水と自然塩を小さじ1ほどで透き通るまで(沸騰して2~3分位)煮る。
②ふたを開けて白菜がくた~~っと鍋のなかでくつろいでいれば、あとは人数分の量の水(湯)を足し熱々にして
 自然塩で控えめに味を調えるだけ。
※それぞれのその日の好みに合わせ、食卓で醤油・粗びき胡椒・ごま油などで調整しながら熱々を頂く。

『タチ』

2016-02-08 | 日記
朝、タチが外でワンワン!とけたたましく吠え始める。
お隣のハルユキさんが愛犬(とら)とお散歩の時間だ。
姿が見える前から、国道に向かって出迎えるように真っすぐに立ち、しっぽをパタパタ振る。
いよいよ栗の木の辺りにハルユキさんの姿が見えれば、後ずさりしながらも吠える。
ハルユキさんはタチに一言二言声を掛けてくれたりしながら、うちの前を通り過ぎていく。
最近、タチの様子を観察していたら、以前とは何か違うような気がしてきた。
数年前なら、ダンやターマに交じって番犬としての役割を果さんと果敢な吠え方をしていた。
だから、ご近所の人たちのお散歩時間帯は気が引けて「こらーー!」と叱った。
去年、タチにとっては目の上のたんこぶ的存在だった老犬ターマが逝って、
とうとう大かぶの番犬はタチだけになり、寂しいようでもあるが、伸び伸びとして人(犬)相まで明るく変わった。
絶対入れてもらえなかった土間空間のストーブのそばで ウトウト出来たりもする。天国だ。
しかし、ハルユキさんに連れられて来る「とら」に対する最近のタチの吠え方はどう見ても『アソボウ!!』だ。
「とら」もまんざらでもない風に何度も振り返ってはタチと何やら情報交換しているようにも見える。
『オマエ、キョウナニクッタ?』 『クズマイ飯』『オレ、カリカリ』 『ヘ?カリカリッテ何?』 『カリカリシラネエノカ?』
『。。。。』 『ウンマイゼー!』 『クズマイモ ウマイケドリンゴノ皮ガ入ッタリスル・・デザート別盛ニシテホシイ』
『ワカンネーンダナ奥サン』 『ワンワン!マタ明日ナ!』 タチの尻尾が満足そうにピンと上に向いて大きく振られる。
それを、遠くで見ながら、なんとなく胸がキュンとなる。 いままでどれだけ先輩たちに気を使って生きてきたかしれない。
毎食ご飯を横取りされ、夫や私に甘えたりすれば、すぐさまターマがやきもちを焼いて妨害に来る。
夜中にキツネや鹿が畑に近づけば一番若いタチが、真っ先に牽制隊としての任務を背負い全力疾走で追い払う。
今、犬同士の重圧はない。それでも犬だから犬として犬の仲間との時間が待ち遠しいタチ。愛おしい。
ヒトも、ヒトゆえに、ヒトとして、ヒトとの縁を求めて今を生きようとする。おんなじだな、犬と。。。。。愛おしい。

光三昧

2016-02-05 | 日記
毎日快晴。低い気温の中どっちを向いても雪の小さな粒がキラキラ光って宝石箱の中にいるようだ。
継ぎ当てだらけのモンペも泥汚れの長靴も、くず野菜のコンテナを当てにして一番高い木の
てっぺんで小首をかしげるカラスも、立ち枯れてもすくっと気高い 夏の門番イタドリたちも
その光を纏えば、たちまち冬物語の登場人物に変わる。
ふふふ。。笑えて笑えて、 継当てもんぺの「ラブダラケ女王」のおでまし~~か・・・・くくくく

先週、やはりこんな光のまぶしい日、女二人 支笏湖丸駒温泉の日帰り入浴を決行。
おととしの暮れ生まれて初めて横転事故を起こし、それから冬道運転にはひどく臆病になる。
 だが、朝の光が囁いた。
≪運転とーちゃんばかりに頼っていたら、先に死なれて一人で温泉にも行けなくなれば情けないぞ・・≫
そだ、そだ、全くソーダ。ソーダ村の村長さんだ。この光纏っていればユーキリンリン・オニニカナボー♪
人の命あずかれば無理はすまい、と若いのりちゃんを道ずれに『地球最後の日』『大気圏突破!』 とハンドルを握りしめる。
思ったより路面快調。対向車無し、冬の支笏湖の美しさにため息。来てよかった!が、山道に入ったとたん圧雪アイスバーン。
クラッチ踏むたび足が攣りそうになるが、このふくらはぎも数分後には湯船でリラクゼーションだ、と思うと気にならず。
こんなに絶好の丸駒温泉日和と思うが、昼時の温泉客は少な目で支笏湖の眺めをほぼ独り占めして満喫謳歌。
その後は、ここに来たなら、あの、長い長い木の廊下を一糸まとわず駆け抜けて、やっとのことたどり着く露天風呂へGO!だ。
上着をひっかけて行けば寒くもないが、あえて裸族で突っ走る。走らないと足が凍ってしまいそうになるのだ。
「ひわさん小学生だ!小学生!!」 とのりちゃんが大笑いしながら、後ろから裸で走ってくる。
支笏湖の潮位と共にあるその露天風呂は底に敷き詰めた砂利のあちこちからぷくぷくと温泉が噴き出す。
黒い藻に覆われた岩に寄りかかって足を投げ出すと温泉の中の手足が虹色の横縞模様に揺らめいている。
そうして青の光が手と足の輪郭をくっきりと覆ってまるで熱帯魚のようだ。こんな真昼間の太陽だとこうなるのか。。
ああ!南の島の魚たちは毎日まばゆい海水プリズムを浴びてあの模様になったのか!!??と合点した。
光三昧の一日だった。 朝のあの光は、これを見せたかったんだな、私たちに。