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スピルバーグと映画大好き人間、この指とまれ!

カフェには、映画が抜群に良く似合います。
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身辺雑記。

スピルバーグのアクション

2008-02-08 05:28:17 | 連載コラム~スピルバーグ~

 スピルバーグのアクション映画を見ると、背筋がピンと張り「明日もがんばろう!」という気になり、エネルギーがもらえる。だから彼のアクション映画は素晴らしい。その素晴らしさについて、スピルバーグが尊敬する監督の1人デビッド・リーンからの賛辞を紹介しょう。これは、リーンが「激突!」を見たときのものである。「わたしは、すぐさまひとりの非常に聡明な監督が登場したことを悟った。スティーブンは、アクション・シーンはすばらしく流れるような動きをつくりあげているという官能を心から楽しんでいる。彼には驚くべき視野の広さ、すなわち映画を耀せる広がりがある。反面、かつての映画の姿そのままであり、ひたすら映画製作を愛している。彼は、10代のころの自分を楽しませているのだ」まさしく、この言葉のとおりアクションシーンは、バレエダンサーのように流れ、しかもダイナミックである。そして、そのようなことが出来るのはスピルバーグの数々の映画体験から裏付けられているのだ。演出する場合は、ヒッチコック、ジョン.フォード、ハワード・ホークス、黒澤、マイケル・カーティスら彼が尊敬する監督たちを手本にして自分の作品に取り入れている。

  さて、スピルバーグが最初にアクション映画を撮ったのは少年時代である。しかも、最初の劇映画というから彼がアクション映画が好きだったことは確かである。内容は、以前にも触れたので詳しく書かないが、4分間ほどの「西部劇」である。そして、彼自身も語っている。「僕は、小さいときから冒険映画、連続活劇が大好きだった」。そして、彼が監督する映画作りの基本は、絵コンテにあるが、特にアクション映画となるとその絵コンテに詳細かつ綿密にカメラの位置、動きを書いている。だからこそ迫力のあるスピード感あふれる映像ができあがる。

 また、彼が監督したアクション映画は、次の2つに分けられる。平凡な人間がヒーローになる映画と、主人公が最初からヒーローで強くてたくましい映画。注目すべきなのは、後者は、ご存知のとおりインディ・ジョーズシリーズだが残りは全部前者であることだ。

 作品としては、前者が「激突!」「続.激突カージャック」「ジョーズ」「E.T」「フック」「マイノリティ・リポート」。後者は「レイダース/失われたアーク」「インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説」「インディ・ジョーンズ/最後の聖戦」。

 

 印象に残るアクションシーン・演出を挙げてみよう。

「続.激突カージャック」のターナー警部指揮するパトカー数10台の出動シーン。

「ジョーズ」では、伏線の張り方が心憎いほど上手く、サメ退治に3人の男たちが出掛ける後半のシーンからラストまでのサメとの対決。

「レイダース/失われたアーク」は、まず、小道具を使っての演出に目を見張るものがある。インディがアークが載っているナチのジープを乗っ取ると今度はサイドミラーに猛スピードで追って来るナチの姿を映す。そして、横移動撮影が素晴らしい。つまり、横移動で動く被写体を追いかける撮影方法で、疾走トラッキングと別名で呼ばれているもの。砂漠でドイツ軍を追いかけるインディの追跡シーンに代表される。ドイツ軍将校にインディがトラックのフロントガラスを破って放り出される。インディは、車の前にへばりつき、車の下へもぐり込む。そして、トラックの下にムチをまいて後にひきずられる。しかし、ムチをたどってトラックに戻ってくる。この手に汗握るスピード感あふれるシーンをダイナミックにそして、リズミカルに処理している。また、よりスピード感を出す為にコマを落とし、埃を道にひくなどしている。これは、他のインディ・ジョーンズシリーズの中でも使われている。「魔宮の伝説」のトロッコ・チェイスのシーン。「最後の聖戦」の冒頭のインディ少年と泥棒の追跡シーン。

「E.T」のNASA当局からの追跡から自転車で逃げるシーンは、自転車の車輪のクローズアップ、疾走トラッキングを使用。E.Tが自転車で空を飛んで追っ手から逃げるシーンでは、E.Tのクローズアップ、カット・ズームインで極度の緊張感をかもし出している。スピルバーグは、アクションシーンでは、この例のようにめったにクローズアップやカット・ズーム・インを使わずここ一番という見せ所のシーンで使っているため絶大な効果を発揮する。そして、カメラアングルに彼の演出の特徴がある。ハイ・アングル、つまり、見下ろした印象を与える俯瞰撮影とローアングル、映像をドラマチックにさせる印象を与えるもので、別名あおり、と呼ばれており下から上へ向かう視線をストーリー展開に応じて縦横無尽に多用している。ハイ・アングルは、E.Tがエリオット少年たちと空を飛ぶシーンで際立っている。

また、スピルバーグは、先程も触れたがヒッチコック監督がお気に入りで彼のオマージュともとれる「鳥」を小道具としている作品がある。「インディ・ジジョーンズ/最後の聖戦」でインディとヘンリーがナチスのメッサーシュミット機の攻撃を受けピンチに立たされたときヘンリーが日傘を使用して浜辺にいた鳥たちを大空へ飛ばし敵の飛行機を撃ち落す。

「フック」は、巨大なセットを作ってマイケル・カーティス監督の「ロビンフッドの冒険」のような剣劇がフック船長とピーターの間で見られる。

そして、「マイノリティ・リポート」ではインディ・ジョーンズばりのスピーディな迫力あるアクションが見られる。特にアパートが立ち並ぶ狭い路地での間で繰り広げられるジェット・パックを背負った犯罪予防局の仲間と主人公との空中戦。司法省の捜査官たちと主人公の自動車組立工場を舞台にした体を張ったアクションが堪能できる。



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