スピルバーグの次回監督作品は、1950年にヘンリー・コスター監督、ジェームズ・スチュアート主演の映画「ハーヴェイ」のリメイク版になりそうです。2010年始めから撮影予定とのこと。オリジナルの「ハーヴェイ」は、ピュリッツア賞を受賞したメアリー・チェイスの戯曲を映画化したもので、ジェームズ・スチュアートがオスカー主演男優賞にノミネート、ジョセフィン・ハルがオスカー助演女優賞受賞しました。
ヘンリー・コスター監督は、20世紀FOX映画を中心に予算内で完成させる職人監督として知られています。スピルバーグは、職人監督に憧れていて憧れているだけでなく実際に「レイダース/失われたアーク」を始めとして予算内で早撮りする監督です。コスター監督は、ディアナ・ダービン主演の「オーケストラの少女」(1937年)、歴史大作の「聖衣」(1953年)が有名ですが、ジェームズ・スチュアートととのコンビ作品が多い。この「ハーヴェイ」も20世紀FOX映画であり、スピルバーグが監督するリメイク版も20世紀FOX映画とドリームワークスの共同作品となります。
ストーリーは、アメリカ中西部の田舎町を舞台に名門の家に暮らす独身で姉と同居中の純朴な男性エルウッドが、主人公。彼には、何と自分にしか見えない6フィート(約197㎝)の空想のウサギであるハーヴェイという名の大親友がいる。2人?がとる行動から精神病院に入れらてしまうエルウッドだが、彼の純真さが医師や看護師に影響を及ぼし彼らもハーヴェイを見るようになる心温まるコメディ。
このストーリーをスピルバーグが再創造するという。時代設定や主人公エルウッドの家柄などは、変更するかもしれいが、、オハイオ州出身でありアメリカ郊外好きなスピルバーグのこと、舞台設定は中西部のままであろう。
また、空想のウサギであるハーヴェイという名の大親友がいるとう設定は、スピルバーグの「E.T.」のエリオットとE.T.に似ている。さらに自分以外にしか姿が見えない作品と言えば、スピルバーグの「オールウェイズ」やウディ・アレンの「カイロの紫のバラ」、「フィールド・オブ・ドリームス」、そして、スピルバーグが大好きな映画である「素晴らしき哉、人生!」などがある。どれも私は、名作だと思います。
そして、1930年代のアメリカを始めとする世界大不況の時代にハリウッド映画は、アメリカの良心、夢の実現を描く(やったらやれる)等アメリカ映画の原点ともいえる作品を数多く量産した時代がありましたが、今の時代も似ています。今も不況の時代です。こんな暗く生きるのが苦しい時代にこそ「ハーヴェイ」のリメイク版をスピルバーグが監督するのもうなずけます。以前スピルバーグは、「ターミナル」を監督したのは「暗い時代だからこそスマイル、笑って泣ける人生っていいなあと思える映画が必要です」と語っていましたが、まさに今度の「ハーヴェイ」もそうだと思います。さらに、考えてみるとこの同じヒューマンな流れくむスピルバーグの映画は、「E.T.」から始まっています。その後は、「キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン」でしょう。いずれも古き良きアメリカの匂いがする映画です。スピルバーグは、きっと古き良きアメリカの良心に訴えかける映画を見て元気になって夢を持って明るく生きていこうよ!前向きに!とのメッセージをこの作品に込めることでしょう。大期待しています。主役のエルウッド役には、「ターミナル」のトム・ハンクスが候補にあがっているようですが、どうなるやらこちらも楽しみです。