お久しぶりです。仕事の激務から解放され心身ともにやっと余裕が出てきたので、スピルバーグのことを書こうと思ったが、このブログを立ち上げたもうひとつの目的である1970年代のアメリカ映画のことは、すっかり書いていないことを思いだしました。
そこで、1970年代のアメリカ映画の特徴の萌芽があるニューシネマの名作『俺たちに明日はない』(1967年)から書き始めることにします。
さて、『俺たちに明日はない』ですが、この映画は、大学時代に名画座で見ました。印象的なことを思い出してみます。
季節のイメージは、春と夏。舞台は、1930年代の大恐慌下のアメリカのテキサス州。ストーリーは、実際に起こった出来事をもとに構成されている。監督は、アーサー・ペン。主演は、ウォーレン・ビューティー(クライド)、フェイ・ダナウェイ(ボニー、ブロンドの髪とスレンダーな体型が魅力的)、そして、ジーン・ハックマン(クライドの兄)。70年代を代表する俳優たちの意気でカッコイイ演技。映画の原題はボニー&クライド。帽子を始めとしたおしゃれな衣装。バンジョーの音色が印象的な音楽。銀行強盗。警官隊に蜂の巣のように87発の銃弾を浴びるボニーとクライドのラストシーン。社会からはみ出した男女。悲劇の中にも銀行強盗の笑えるシーンなど。見どころ満載の映画でした。
バイオレンス映画で悲劇で物語が終わるが、なぜか、面白い。社会の悪人が、まるでヒーローのようになる。死の描写は、ポーランド映画の名作「灰とダイヤモンド」、に影響を受け、テレビドラマ「太陽にほえろ!」のマカロニ刑事、ジーパン刑事、テキサス刑事の殉職シーンに影響を与えているような感じがする。脚本家のデビッド・ニューマンとロバート・ベントンは、「勝手にしゃがれ」のようなギャング映画を考えたとのこと。ロバート・ベントンは、後に監督して「クレイマー・クレイマー」「プレイス・イン・ザ・ハート」の名作をつくり、脚本家としては、「スーパーマン」を手がけた。監督をしたアーサー・ペンの演出は、緩急をつけた切り返しが印象的。代表作には、「奇跡の人」やポール・ニューマンの「左ききの拳銃」、ロバート・レッドフォード、マーロン・ブランドの「逃亡地帯」、ダスティン・ホフマンの「小さな巨人」がある。※画像は、「別冊太陽 アメリカン・ニューシネマ’60~’70」(平凡社昭和63年)より