はがきのおくりもの

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貧困に立ち向かう

2014年08月13日 | 昔話や童話などを用いた校長講話

 自分を好きになることから始めたら、次はどうすればいいだろうか。

 近年、子どもの貧困が大きな社会問題になっている。

 平成二十五年六月二十六日、子どもの貧困対策の推進に関する法律が施行された。この法律は、子どもの将来がその生まれ育った環境によって左右されることのないよう、貧困の状況にある子どもが健やかに育成される環境を整備するとともに、教育の機会均等を図るため、子どもの貧困対策を総合的に推進することを目的としている。子どもの貧困対策に関する大綱を定めなければならないと規定し、大綱では、次に掲げる事項について定めるものとされた。

一  子どもの貧困対策に関する基本的な方針
二  子どもの貧困率、生活保護世帯に属する子どもの高等学校等進学率等子どもの貧困に関する指標及び当該指標の改善に向けた施策
三  教育の支援、生活の支援、保護者に対する就労の支援、経済的支援その他の子どもの貧困対策に関する事項
四  子どもの貧困に関する調査及び研究に関する事項

 教育の支援としては、低所得世帯の幼児教育の無償化や給付型奨学金の創設の他、学校を拠点に、スクールソーシャルワーカーの配置拡充や福祉機関との連携、放課後子ども教室等での学習支援などの施策が提案される見込みである。

 新聞各紙も、政府は目標値を掲げ財源を確保し本腰で取り組むべき、政府・与党は実効性ある結論を出すべき、大綱を国家戦略として位置づけるべき、などと一斉に主張している。

 学校現場を預かる者として、あるいは県教委として、子どもの貧困にどう対処すべきか。対処策を考える視点は二つある。一つは貧困の連鎖を断ち切る視点であり、もう一つは貧困を生き抜く力を育む視点である。後者を論じようとしない者が多い。貧困を肯定するのかという批判を恐れ、現実に対処する力を育てるようと考えない

 流行と喧嘩する必要はない。両者の視点から考え得る策を淡々と実現しようと努めることが子どもたちと直接向き合う現場の役目である。。

 貧困の連鎖を断ち切るために教育がやるべきことは学力保証である。その際、子どものプライドに敬意を払わなければならない。安易に勉強ができない子どもを集めて学ばせようとしてはならない。自分は勉強ができない子だと念押しされたと受け取る。追試をするなら、過半数を追試にすればよい。どんな人でもできるまでやる必要があることを学ばせればよい。塾に行けない子のために、大学生などのボランティアに学習支援をしてもらうことはいい。他の子が塾に行く時間に自分も出かけられる。遊びの代わりにもなる。

 貧困を生き抜く力を育むためにやるべきことは、人と関わる喜びの体験である。特に同じ思いをしている者同士で行動する喜び体験を積ませるといい。いじめられた者同士や学習につまずいた者同士、駆けっこの苦手な者同士、失恋をした者同士が対策を考え、一緒に克服する体験を積ませたい。

 人類は、貧困を生き抜く知恵と行動力を発揮してきた歴史を持つ。人類は、新たな貧困を豊かに愉快に生き抜くことができるはずである。

 自分を好きになることの次には、貧困を生き抜く知恵と行動力を身につけさせたいものである。 


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