「琴畑かぶ-ことはたかぶ」
【生産地】岩手県遠野地区
【形状】赤色が鮮やかで大根のように細長い形をしており
【食味】葉も美味しくゆでて塩とオリーブオイルだけでも食べることが出来る。身もやわらかいので、サラダ風に生でも食べることが出来る。
【来歴】かつては、地元の野菜として親しまれてきたが、時代の流れで徐々に生産が減り、途絶えてしまったが、遠野の種苗業者が、採種用に少量だけ育て続けていたため、遠野緑峰高校の生徒が種をわけてもらい、遠野市の農家支援室指導のもとに栽培を行い、2014年に約30年ぶりに復活した。
【収穫時期】10月頃
*https://tradveggie.or.jp/%E6%97%A5%E6%9C%AC%E3%81%AE%E4%BC%9D%E7%B5%B1%E9%87%8E%E8%8F%9C%EF%BC%8D%E5%B2%A9%E6%89%8B/#i-9 より
30年もの時を経て地元高校生が復活させた「琴畑かぶ」
保存食が不要となり生産が途絶えた琴畑かぶ
色鮮やかな紫色をした「琴畑かぶ」。このかぶは、かつてはお漬物にして長期保存したり、煮たり蒸かしたりしたものをおやつ代わりに食べるなど、地域の人々に愛されていました。しかし、連作障害の影響を受けやすいことや、冷蔵庫の登場で保存食がさほど必要とされなくなった時代背景もあり、徐々に生産が途絶えてしまったのだそうです。
遠野緑峰高校の生徒が伝統野菜を復活
約30年もの間生産されていなかった琴畑かぶを復活させたのは、岩手県立遠野緑峰高校の農業系コースである、生産技術科「野菜果樹研究班」の生徒たち。北上高地の最高峰であり、日本百名山にも指定されている 早池峰山(はやちねさん)や六角牛山(ろっこうしさん)などに囲まれた緑豊かな地域で、伝統野菜の栽培をはじめ、遠野の特産品でもあるホップの蔓(つる)を再利用して和紙を作るプロジェクト を発足させるなど、地域密着型の活動を行っています。
残念ながら一度は生産が途絶えてしまっていた琴畑かぶですが、幸いにも遠野のタネ屋さんが"種を採取する"ために少量だけ育て続けてくれていることを知り、種を分けてもらった「野菜果樹研究班」の生徒たちが見事に復活させました。
チャレンジを繰り返しながら伝統野菜と向き合う日々
琴畑かぶは8月中旬に種を蒔き、4~50日経った10月ごろに収穫。また、地中から出ると土にそって横に伸び、太陽に当たる部分がきれいな紫に変化します。琴畑かぶを栽培しているのはこの遠野緑峰高校と、遠野の「伝統野菜研究会」のみ。まだ市場に出せるほど安定した数を生産できないため、一般には流通していません。
復活して間もない琴畑かぶの栽培は、毎年チャレンジの連続なのだそう。夏は青虫を防除するためにネットをかけますが、アブラムシは防除しきれず残念ながら被害を受けてしまうことも。また、数株の琴畑かぶは種子を取るために収穫せず春まで育て続けるのですが、他のアブラナ科の作物と受粉して品種が変わってしまうこともあり、細心の注意が必要です。
「野菜果樹研究班」では、温室内のポットである程度まで育てた後で畑に植え替えてちゃんと育つかの実験を行ったり、有機栽培すると栄養価がどう変化するのかを試したりしています。研究班を指導する寺長根一真先生は「今後、どのような条件で育てたら地中で 真っすぐに成長するのかなどいろいろ試してみたい」と話してくださいました。
遠野の野菜で地域をもっと盛り上げたい
「地元の人は伝統野菜をあまり食べなくなってしまいましたが、遠野の野菜にはまだまだ良いものが眠っています。そこをもっとアピールして、遠野や伝統野菜の活性化につながればいいなと思い、生徒たちと一緒になって研究活動を続けています」と話す、寺長根先生。
実は、研究班で栽培にチャレンジしているもうひとつの遠野の伝統野菜「早池峰菜(はやちねな)」は、銀座や六本木のレストランでの取扱いがあったり、飛行機の機内食のソースとして使用されたりと、遠野ブランドを広める起爆剤になりつつあるのだとか。琴畑かぶも早池峰菜に続くことができるよう、「伝統野菜研究会」と一緒になって日々作戦を練っているのだそうです。
野菜を育てながら共に成長する生徒たち
「緑峰祭(文化祭)で自分たちが育てた野菜を地域の方々に買っていただいた ときが嬉しかった」「野菜を収穫するとき(が嬉しい)」と話してくれたのは、遠野緑峰高校「野菜果樹研究班」2年生の生徒たち。彼らが学校生活を通して琴畑かぶに触れ、卒業してからも伝統野菜を育てた経験を周りの人に伝える「野菜の語り部」となってくれることで、一度消えてしまったかぶが本当の意味で"復活した"ことになるのかもしれません。
*https://premiummarche.com/read/201712-1.html より
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