内川堤に出る前から、尋常ではない数を期待させる鳴き声が聞こえていた。
はたして・・・
うおおおおーーー、いたねえ!
これだけの数の白鳥を内川で見るのは初めだ。
数えてみたら三十三羽。
百羽のカモが束になってかかっても、一羽の白鳥に勝てないその優美な存在感。
それがこんな内川ごときに、三十三羽も舞い降りてくるなんて!
もうボクは興奮しています。
今日なら、この先の赤川右岸にも、たくさんの白鳥たちが舞い降りているかもしれないね。
あの二年前の時のように。
初めて目にする光景だった。
ボクの生活圏を流れる川に、あんなにたくさんの白鳥が集うなんて思ってもみなかった。
でも、一度その魅力に取りつかれると、今度はその呪縛から抜け出すのが大変。
もうジョギングのことはそっちのけ、白鳥のことが気になってしょうがない。
三月に入ると、このボクでさえ、柄にもなく感傷的な気分に陥るんだぜ。
さあ、どうする? 下流へ行ってみようか・・・
この道を行けばどうなるものか。迷わず行けよ、行けばわかるさ。
いや、やっぱり行かない。
世の中に たえて白鳥の なかりせば 冬の心は のどけからまし・・・ってことだよ。