「終身雇用」の響きは、確固たる基盤を持つ有名大企業や公共サービス機関に「就社・公務」することで、雇用されて働く仕事人生が「一生保証」される感覚があるあるのではないでしょうか。
かつて、日本の戦後復興期から高度経済成長の時期には、我武者羅に働く事で、生活が豊かになる時代でした。職場には活気が漲り、「ハラスメント」や「メンタル」という言葉や概念もない時代。
国民の一所懸命で直向きな「労働」が多くのイノベーションを湧き起こし、Japan as No1のステータスバリューを築きました。
日本人として誇らしい時代でもありました。
日本社会には、その時の原体験とスピリッツのDNAが面々と受け継がれてきています。
時代は変わり、インターネットで社会はバーチャルでもつながり、何処でコミュニケーションがとれる便利時代となってきたにもかかわらず、かつての「栄光」を多用な価値観を持つウェブネイティブ世代にも適応させようとすると、彼等は「終身雇用」の恩恵を意識する以前に「組織社会」と決別してゆく選択を行う時代です。
もちろん今の時代でも「終身雇用」を望む人は少なからずいますし、大手企業や公共は定年までの雇用を半ば保証して「組織内専門家」を育成してゆく構図は、現代の日本社会の現実です。
一方、 社会は100年人生の時代に移行しつつあり、60歳ないし65歳で定年を迎えてから、更に20-30年の人生時間を如何に幸せにおくれるかが問われる世の中になっています。
私自身、62歳で定年を迎え、今月から独立事業主として活動を始めるのですが、定年年齢でも、「まだまだ活動ができるぞ!」との思いがあります。
大手企業の場合、50歳を過ぎると「役職定年」なるシステムにより、現業ラインから離れてゆくケースが多くあります。後進に道を譲る事は、組織社会の新陳代謝促進には必要かもしれませんが、譲る側のシニアベテラン社員の人生シナリオを、雇用側は真剣に考えてくれる事はありません。
あくまでも、定年時迄の雇用は保証されるものの、責任のあるやり甲斐仕事に就けるチャンスは、一部の出世競争の勝者にしか与えられない現実もあります。
「終身雇用」の恩恵を期待して、一つの組織に40年近くも滅私奉公してきた後にあるもの、それは、雇用者側からの「自立してください」の引導です。
雇用されている組織社会の「内海の世間」は詳しくても、「外海の社会」の航海図を持たないシニア世代が、如何に外洋での航海が出来るのでしょうか。
それなりの「シニア研修」はどの組織でも行っているでしょう。所謂「黄昏研修」です。
私は、これからの日本社会を再生してゆく起爆財は、「シニア人財」の価値化と、現役時代の兼業経験促進による「外洋経験」機会の創出と考えています。
私は、「終身雇用制度」を否定するつもりはありませんが、働く全ての人たちが「働く」意識を変えてゆく事が必要な時代になってきたと思っています。
今こそ組織社会で働く人は「終身雇用」が幻想である事を認識して人生設計を行ってゆく事が大切です。
サポーターとして、私が理事をしている「日本ライフシフト協会」の出番でもあります^_^