こんな事が書いてありました。
無罪と死刑。これほど違いがある判決はなかろう。一つの事件で、この二通りの判決文を書いた元裁判官がいる。最初に書いたのは無罪。だが三人の裁判官全員の議論の結果、「二対一」で死刑と決まったため、用意していた判決文を破り捨てて一から書き直した
▼一九六六年に静岡県清水市(現静岡市)で一家四人が殺害された事件で、死刑が確定した元プロボクサー袴田巌死刑囚の一審を担当した熊本典道さん(70)のことである
▼裁判の途中から、少なくとも提出された証拠で有罪にするのはむちゃだと思った。捜査段階での自白の任意性にも疑問を持ち、袴田死刑囚が「私はやっておりません」と裁判で証言した時は、自分が裁かれている感覚になったという
▼判決の七カ月後、良心の呵責(かしゃく)に耐えきれずに辞職した。判決に至る議論の中身を明かしてはいけないため、ずっと沈黙を守ってきたが昨年、非難を覚悟で告白に踏み切った
▼最高裁で審理中だった再審開始の是非に、よい影響を与えたい。こんな思いがあった。上申書も提出したが、最高裁は先ごろ「非」の結論を出した。今はひたすら刑が執行されないことを願っている
▼有罪なのか無罪なのか。有罪ならどんな刑にするのか。来年五月までに始まる裁判員制度では、国民も加わって結論を出す。責任は重い。納得できるまで、議論を尽くす心構えがいる。
東京新聞3.31付け
裁判員制度が自分にかかわったら 責任は重大ですね。
昨夜と今朝は、かなり冷えていました。
無罪と死刑。これほど違いがある判決はなかろう。一つの事件で、この二通りの判決文を書いた元裁判官がいる。最初に書いたのは無罪。だが三人の裁判官全員の議論の結果、「二対一」で死刑と決まったため、用意していた判決文を破り捨てて一から書き直した
▼一九六六年に静岡県清水市(現静岡市)で一家四人が殺害された事件で、死刑が確定した元プロボクサー袴田巌死刑囚の一審を担当した熊本典道さん(70)のことである
▼裁判の途中から、少なくとも提出された証拠で有罪にするのはむちゃだと思った。捜査段階での自白の任意性にも疑問を持ち、袴田死刑囚が「私はやっておりません」と裁判で証言した時は、自分が裁かれている感覚になったという
▼判決の七カ月後、良心の呵責(かしゃく)に耐えきれずに辞職した。判決に至る議論の中身を明かしてはいけないため、ずっと沈黙を守ってきたが昨年、非難を覚悟で告白に踏み切った
▼最高裁で審理中だった再審開始の是非に、よい影響を与えたい。こんな思いがあった。上申書も提出したが、最高裁は先ごろ「非」の結論を出した。今はひたすら刑が執行されないことを願っている
▼有罪なのか無罪なのか。有罪ならどんな刑にするのか。来年五月までに始まる裁判員制度では、国民も加わって結論を出す。責任は重い。納得できるまで、議論を尽くす心構えがいる。
東京新聞3.31付け
裁判員制度が自分にかかわったら 責任は重大ですね。
昨夜と今朝は、かなり冷えていました。