オフィス・ヤハのトホホな日々

エホバの証人の一プログラマが聖書研究と自転車の趣味等を徒然なるままに

ハードボイルドな日々

2011年07月18日 | 日記
    この猛暑の中、多分アスファルト路面からの照り返しで実際は40℃近いと思われる。次の休憩地点まで後数百メートルだ。と思ったら、何やら犬のヒステリックな吠え声が後ろから迫って来る。農家の爺さん運転の軽トラが私を追い越して行った。助手席の窓から小型犬が顔を出して私を吠えていたのだ。



    即座に私はシフトダウンもせずフルブーストで加速し、すぐに軽トラに追い付いきざま、窓から突き出ていた犬の尖った口を鷲掴みにして座席から引っ張り出し、そのまま路肩の廃屋の敷地に放り投げた。そこは、前田製菓工場跡地だった。

    「キャンキャンキャン」。犬の悲鳴が聞こえる。

    「爺さん、交通マナーとはどういうことかを、あのケチな犬に教えてやりな」。

    振り向きざまにそう吐き捨てると、再びフルブーストしてJR線地下道を下り降りて行った。魅荷酢斗津賦で涼むつもりだったが、興奮して休む気になれず、そのまま県道71号線を東進する。

    とにかく暑い。木陰が全然ない。ボトルの水も残りわずか。地平線が見えるような全く何もない平坦地だ。人の姿も全くない。農家の年寄の草むしり姿も全くない。

    と、一台の黒塗りメルセデスセダンが猛スピードで近づいて来たかと思ったら、少し速度を落とした。前後の窓が静かに降りて、二人の男が顔を出す。



    「ヤバッ!」。私の顔が一瞬恐怖で引き攣る。

    「パンパンパンバン」。

    銃を乱射すると、再び猛烈なホイールスピンの音を立てて走り去った。二人の刺客に蜂の巣にされてしまった私の上半身からは血の気がみるみる失せてゆく。唯でさえ暑いというのに、もう全身が焼けるように熱い。水、水、水・・・水はどこだ。反動で路肩の用水路に吹き飛ばされた私は、最後の気力を振り絞り必死で水を一口含むと、そのまま意識を失った。