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OCF最新動向ブログ

オープンCADフォーマット評議会(OCF)の活動と、CIM・CALS/EC(SXF)の最新動向をお知らせします。

背景色

2005年12月01日 | CAD製図基準
CAD製図基準(案)では、背景色を黒の場合として、CADデータ作成に用いる色を原則的に決めています。
一方、CAD製図基準に関する運用ガイドライン(案)では、原則として黒であるが受発注者間協議により変更することができるとして、背景画面が白(白表示のラスタ上含)の場合のオブジェクトの線色が明示されています。

このような場合に問題が発生する可能性が二つあります。
ひとつは、受発注者協議によって背景色が変わるということです。
たとえば、道路や下水道などの路線系の設計委託の際に設計の工区割りごとに複数の受注者に設計業務が発注されます。A工区(延長1,000m)、B工区(延長1,200m)、C工区(延長7,00m)と3工区に分けて3社がそれぞれ設計を行います。その際に、たとえば、受発注者協議により背景色が、A工区では黒、B工区では白、C工区では黒としました。当然それぞれのオブジェクトの線色は背景の色に準じて対応します。

無事に設計の電子納品が済み、翌年から工事の発注となりました。
予算あるいは工事費の関係または工事の難易度から、当初の設計工区とは違い工事発注の工区は、A’工区(延長700m)、B’工区(延長1,000m)、C’工区(延長900m)と3工区となり、残りの延長については翌年となりました。

そうすると、発注図面はどうなるでしょうか、A’工区は設計のA工区の範囲内ですから、延長に見合った図面にするため設計成果図面を基本的には削除するだけで良いはずです。
ところが、B’工区、C’工区の場合は、それぞれ設計時の背景色が異なっています。これを背景色を統一してオブジェクトの線色をすべて変更して統一しなければなりません。
原則的には発注者みずからが図面の修正は行うのでしょうが、場合によっては、受注者に負担がくるとも限りません。いずれにしろ工事完成図書あるいは維持管理図面にするためには図面の変更という作業が伴います。

事業所とか路線とか大きなひとつの単位で、背景色とオブジェクトの線色は統一したほうが良いと思います。

もうひとつの問題については明日書きます。



文字-4

2005年11月08日 | CAD製図基準
前回の続きになります。 
 文字コードはひとつの文字に対して、ひとつのコードを付与したものです。コードを指定すれば文字が一つに決定されます。電子的な情報交換においては、このコードにより情報交換が行われます。

「土木」を例にとると「Shift JIS」では、それぞれ文字に次のようなコードが付与されます。

文字  コード(シフトJIS)
 土    9379
 木    96D8

改めて、JISをみてみると、その名称は次のように情報交換の「符号化」「漢字集合」ということになっています。

JIS X0208 7ビット及び8ビットの2バイト情報交換用符号化漢字集合
このJISは、第一水準及び第二水準漢字で合計6,355文字を規定したもので、1978年に制定されています。

余談ですが、
JIS X0213 7ビット及び8ビットの2バイト情報交換用符号化拡張漢字集合
というのがあります。これは、JIS X0208:1997を拡張する規格であり、第一水準及び第二水準漢字に加えて、第三水準及び第四水準漢字まで規定してあり、2000年に制定、2004年に改正されました。
なお、JIS X0208は、JIS X0213に比べて制定が相当早かったことから広く普及しています。また、JIS X 0208を拡張する点においては、JIS X 0212:1990と同目的ですが、両者に互換性はありません。



文字-3

2005年11月07日 | CAD製図基準
パソコン上で文字を扱う場合に普段は特に意識せずに使っていることと思います。
しかしながら、異なる環境の人たちとデータの交換を行う場合には、基本的なところも知っておいたほうが良いこともあります。、多少煩わしいと思うかもしれませんが、「文字集合」「文字コード」「文字コードの符号化」についておさらいしてみました。

「文字集合」
 沢山ある文字の全てをパソコンで取り扱うのは難しいことです。どの文字を扱うかということを決めなければなりません。そこで、よく使う文字だけを集める事が考えられました。集めた文字の事を文字集合 (character set)といいます。または、文字セットという場合もあります。
たとえば、「全てのアルファベット」というのもひとつの文字集合ですし、 「全てのひらがな」というのもまた、ひとつの文字集合でです。 実際にパソコン上で使われている文字集合には、電子納品でおなじみのJIS X 0208などがあります。

「文字コード」
 文字集合の文字、それぞれに番号(符号)を付けます。番号だけで処理出来るので簡単です。これを文字コード(Character code)とか符号化文字集合 (Coded character set)といいます。
符号化は、情報のデジタルデータへの変換方式のことであり、変換されたデータを符号と呼びます。

「文字コードの符号化」
 日本語の文字コード を符号化するときに問題となるのが文字の種類の多さです。1文字に対して1バイトを使うと256種類の文字までしか表現できません。 英語であれば文字の種類は少ないため、 古くは 1文字 = 1バイトの形式が主流でしたが、漢字はこの範囲におさまらないため、いくつかの符号化の方式が提案されてきました。 そして現在は複数の方式が混在する状態になっています。
たとえば、インターネット上で使われるISO/IEC 2022にほぼそった形の日本語符号化方式「ISO-2022-JP」や馴染みのある「Shift JIS」、UNIX上でよく利用されている「EUC-JP」そして最近増えているUnicodeで使える「UTF-8」などがあります。



文字-2

2005年11月05日 | CAD製図基準
前回の「文字-1」では、いきなり細部のことを書いてしまいましたので、「木を見て森を見ない」ということがあってはならないと反省しています。では、原点を振り返り大きな枠組みから見てみましょう。

まず、「土木設計業務等の電子納品要領(案)」の「使用文字」という項を見てみます。
平成13年8月版では、「7-2 使用文字」として
報告書の電子データを作成する上での使用文字について、以下の各項目に従うものとする。
・半角文字をJIS X0201で規定されている文字から片仮名用図形文字を
 除いたラテン文字用図形文字のみとする。
・全角文字をJIS X0208で規定されている文字から数字とラテン文字を
 除いた文字のみとする。

平成16年6月版では、「8-2 使用文字」として
・本規定は、管理ファイル(XML文書)を対象とする。
・半角文字をJIS X0201で規定されている文字から片仮名用図形文字を
 除いたラテン文字用図形文字のみとする。
・全角文字をJIS X0208で規定されている文字から数字とラテン文字を
 除いた文字のみとする。

この記述で大きく異なる点は、直近の要領(案)では、「本規定は、管理ファイル(XML文書)を対象とする。」とされており、以前のものより「使用文字」として弾力的な運用が可能な書き方になっていることです。
つまり、全角文字はJIS X0208で規定されている以上のもが利用できるような書き方に読み取れるのです。現に国総研の「Q&A」を見てもそのような気がします。

しかしながら、CAD製図基準(案)「平成16年6月」では、「2-3-7 文字」として
1.文字は、JIS Z8313:1998「製図-文字」に基づくことを原則とする。
2.フォントサイズは、2.5、3.5、5、7、10、14、20mmから選択する。
3.漢字は常用漢字、かなは平仮名を原則とする。ただし、外来語は片仮名とする。

と記述されており、ここでは、「漢字は常用漢字」「かなは平仮名」を原則とするとかなり範囲を狭めている点が気にかかります。
ちなみに、JIS X0208では、第一水準第二水準の漢字として、6,355字ありますが、常用漢字は、1,945字とかなり少なくなっています。

「文字-1」の初めで、「CADを利用するうえで利用できる文字は、JISX0208に規定されている文字です。」と、わたしは言いきってしまいましたが、基準(案)ではあくまでも常用漢字が原則でした。

電子納品のチェックプログラムが「文字」に対してどのようなチェックを行っているのか気にかかります。



文字-1

2005年11月04日 | CAD製図基準
CADを利用するうえで利用できる文字は、JISX0208に規定されている文字です。そして、機種依存文字を利用してはいけないのはよく知られていることです。
しかしながら、ときどき誤解されている方もいるようなので、これから数回に渡って文字に関して書いていきます。

まず、単位記号からです。
水路の勾配などを表す単位記号として、パーミル「‰」を使いたいのだが、機種依存文字なので利用できないと言われる方がいます。とんでもない、「‰」は、JISX0208の単位記号として区点[02-83]にありますので利用可能です。

以下は、単位記号のみを列記しました。

 区点   文字  名 称
--------------
 01-75   °    度
 01-76   ′    分
 01-77   ″    秒
 01-78   ℃   セ氏度記号
 01-79   ¥   円記号
 01-80   $   ドル記号
 01-81   ¢   セント記号
 01-82   £   ポンド記号
 01-83   %   パーセント
 02-82   Å   オングストローム
 02-83   ‰   パーミル

なお、ここにある区点番号は10進数なので、JISコード(16進数)とは異なります。



文字

2005年10月13日 | CAD製図基準
CAD製図基準(案)平成16年6月版では、「フォントサイズは、2.5、3.5、5、7、10、14、20mmから選択する。」となっていましたが、正誤表により「フォントサイズは、1.8、2.5、3.5、5、7、10、14、20mmから選択する。」と平成17年2月に、「1.8」が加わり変更されました。

確かに、JISZ8313-0:1998「製図-文字-第0部:通則」では、1.8mmもあります。しかしながら、同じJISの「製図-文字-第5部:CAD用文字,数字及び記号」の付属書1(規定)「CAD用平仮名,片仮名及び漢字」では、最低の文字の高さは「2.5」となっています。
正しくは、数字は1.8mmからで、漢字や平仮名・片仮名などは、2.5mmからの利用というのが正しいのではないでしょうか。

ちなみに、フォントはpt(ポイント)で表示されています、ワードの標準は、10.5ポイントになっています。
1ポイント=1/72インチ、1インチ=25.4mmですから、10.5ポイント×1/72×25.4=3.704mm
10.5ポイントは、3.7mmの文字高ということになります。



CAD製図基準に関する運用ガイドライン(案)の改訂内容-3

2005年10月07日 | CAD製図基準
ガイドラインの改訂内容については、今日の書き込みで終わります。
最後は、各フェーズでの運用について発注から納品までの流れを図にして解説します。
【業務編】(画像をクリックすると拡大)
cad_flow_1


【土木工事編】(画像をクリックすると拡大)
cad_flow_2


なお、これまでの三回分の解説とガイドラインの内容の新旧の差異を表にしたものをPDFにしてOCFのホームページにアップしましたのでご覧下さい。

http://www.ocf.or.jp/

http://www.ocf.or.jp/action/pdf/unyou_guideline_0510.pdf


CAD製図基準に関する運用ガイドライン(案)の改訂内容-2

2005年10月05日 | CAD製図基準
 改訂内容の二回目は、【共通編】に掲載されている事項の要点を解説します。

(1)CADデータ運用の流れ
  CADデータ運用の流れで留意すべき事項は次の4点です。

 ・CADデータの作成は、CADデータの作成段階からCAD基準に準拠します。
 ・納品するCADデータのファイル形式は、正確な図面の再現を長期間保証することができるSXF(P21)形式です。
 ・納品するCADデータ及び納品されたCADデータは、SXFブラウザによる目視確認及び電子納品チェックシステムによるデータチェックを行います。
 ・SXF(P21)形式の特性を踏まえCADデータの容量には留意します。

CADデータ運用の流れを示します(画像をクリックで拡大)
cad_flow


(2)SXFブラウザの利用(データの同一性確認)
  SXF(P21、SFC)形式のデータは、読み込むCADソフトによって異なって表示がされる場合があります。CADデータの確認は、SXFブラウザで目視確認したものを基本とします。
CADソフトのオリジナルファイル形式などからSXF(P21)形式への変換によるデータ欠落や表現の違いが生じることがないよう、SXFブラウザによる目視確認及び電子納品チェックシステムによるデータチェックを必ず行います。

(3)SXF(P21)形式で作成する際の大容量データに関する留意事項CADソフトのオリジナルファイル形式などからSXF(P21)形式へ変換するとデータが大容量になる原因及び対応については、

 ・地形図がショートベクトルで構成されている場合には、修正等の必要が無いデータはラスターにて利用する。
 ・複数枚の図面データの貼り合わせは行わない。
 ・柱状図のハッチングで多数の要素で作図されている場合には受発注者協議によりSFCの利用による容量の軽減をはかる。






CAD製図基準に関する運用ガイドライン(案)の改訂内容-1

2005年10月04日 | CAD製図基準
主な改訂内容は、次のとおりです。
1.新たな電子納品運用ガイドライン(案)との位置付けを明確にし、CADデータの取り扱いに特化した部分がわかりやすく示されています。
2.利用者の使い勝手を考慮して、「共通編」「業務編」「土木工事編」「参考資料」の構成としています。
3.各作業段階の留意事項がわかりやすく示されています。
4.電子納品におけるCADデータの取り扱いに関する全体の作業が参照できるように、作業の流れに沿った構成でわかりやすい解説が示されています。
5.発注者から受注者へ渡すCADデータは、CAD製図基準(案)に準拠することを原則としています。
6.CADソフトのオリジナルファイル形式などからSXF(P21)形式への変換の際に大容量データとなる事例を挙げ、その原因と対応策が示されています。
7.SXFブラウザ(無償ソフト)による目視確認を行うこととしています。
8.ガイドライン(案)は、発注者が主対象でしたが、受注者にも対象を広げて留意すべき事項を追加しています。
9.CADデータの運用における留意事項(例:ファイル形式、データ容量など)がわかりやすく示されています。
10.図面管理項目の入力の留意事項がわかりやすく示されています。(基準点情報、新規レイヤなど)。
11.発注図の作成に関する具体的な実施手順が示されています。
12.CADデータに関する事前協議や成果品に関するチェックシートが参考資料に示されています。