オーソレ、何それ?

私、o_sole_mioが好きな歴史、旬の話題、
賞味期限の切れた話題等を
適当に書きつづります。

科学的な根拠を背景に:BSE検査見直し

2004-10-16 00:04:12 | 時事
牛脳海綿状脳症(BSE)対策としての全頭検査見直しが厚労省及び農水省で行われ、20ヶ月以下の牛を全頭検査から除外するよう内閣府に諮問した。

BSEは、脳が侵され歩行困難などになり、死に至る牛の病気で別名狂牛病と呼ばれている。この病気の原因と呼ばれているものは、異常プリオンと呼ばれている蛋白質である。プリオンはその機能は明らかになっていないのだが、生体に存在するたん白で、正常プリオンと異常プリオンの違いはたん白の立体構造のみである。正常プリオンが異常プリオンに変異する、あるいは異常プリオンを摂取するなどして体内に異常プリオンに存在すると、異常プリオンが正常プリオンと接触し、正常プリオンを異常プリオンに変えていく。こうして異常プリオンが徐々に増え、大脳に蓄積すると異常プリオンは大脳を破壊しスポンジ状にする。これが海綿状脳症の由縁である。異常プリオンが体内で発生し、増加、蓄積の後大脳を破壊するプロセスが長いため、若い牛は安全である可能性が高いと考えられ、今回の全頭検査の対象月例を引き上げたのもこの理由である。

プリオンによって海綿状脳症を引き起こすのは牛だけではなく、羊、サル、ヒトなどでも確認されている。羊はスクレイピー、ヒトではクロイツフェルトヤコブ病と呼ばれている。狂牛病の感染源とされているのは羊の肉骨粉で、スクレイピーの羊が肉骨粉となり、肉骨粉を食べた牛がBSEに罹患すると言われている。牛と羊は同じ反芻動物であるため、プリオンが共通であるとされていたが、ヨーロッパでクロイツフェルトヤコブ病の患者が牛の肉を食べたことに感染したとの報告もあり、1996年頃からBSEはヒトに感染するという認識が持たれるようになった。これらの病気に対する有効な治療法はまだ発見されていない。

異常プリオンの蓄積部位は脳、脊髄、腸などであり、本来肉は安全な部位である。しかしその解体の過程で、脊髄などで汚染される可能性もあるため安心はできない。また、牛からは、肉だけでなく、骨や皮などからゼラチンなど様々な食品や化粧品の原料が作られる。こういったものは加工されるのだが、プリオンは熱や薬品に安定であり、分解せずにそのまま原料に残留する可能性が示唆されている。

BSEの診断は牛から異常プリオンが検出されるかどうかを確認している。その確認の方法であるが、プリオンが蛋白質であり、免疫学的手法、つまり異常プリオンの抗体と反応させることにより、高感度かつ選択的な分析ができるようである。日本では2001年(丁度9.11の頃に)に初めてBSEが発生して以来、牛の全頭検査を行っている。これまでに14頭のBSEが確認されている。日本のように検査によってBSEが発見され水際で食い止められているということは、誇ってもよいことではないのだろうか。全頭検査の有効性に疑問が持たれているが安全第一で行ったということで適切だったと思う。全頭検査が無駄であれば今までの実績を元に科学的な根拠を基により効率的な方法を模索すればよい。もちろん科学的な根拠が優先すべきであって、生産者の負担軽減や全頭検査に難色を示すアメリカの納得を得ることが見直しの目的であってはならない。今回の検討の経過について詳細を公開してもらいたい。


BSE全頭検査緩和を諮問 20カ月以下除外 (共同通信) - goo ニュース

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4 コメント

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牛スクレイピー? (U-1)
2004-10-19 22:48:56
O-さん 今晩は。

よくぞ、この問題を取り上げてくださいました。私は、涙が出るほど、牛が好きなので、不憫でなりません。感謝申し上げます。



さて、そもそもの狂牛病の原因たる、羊のスクレイピー病の原因が不明のままであることが、狂牛病克服を困難にしていると感じます。

肉骨粉の使用を中止しても、少数、狂牛病が発生するということは、「牛スクレイピー」の可能性があるのではと、素人の私は思うのです。



スクレイピーも狂牛病も、発生していない国は、世界で確か、ニュージーランドのみだったと思います。羊のスクレイピーは、18世紀の英国で、既に発生記録が、ありますから、

石炭スモッグか何かと、関係しているのではと、思うのです。

ニュージーランドは、人口密度が低く、工場も少なく、大工場といえば、北島の製紙業(ネイピア市)と、南島の住友のアルミ精錬くらいでしょうか。

異常な窒素分、 N0x? を吸いとった草を食べた、動物が発症してるのかも。



参考書 アルバート ハワード



『ハワードの有機農業』 農文協 戦争の根源にも言及してます。(燻し銀の名著!)









自分のブログ、更新せずカキコする失礼お許しください。

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異常プリオンの起源 (o_sole_mio)
2004-10-19 23:24:10
U-1さん、いつもコメントありがとうございます。



環境汚染がプリオンの異常化を促進するかどうか、疫学的な調査を行ったら面白いかもしれませんね。



ただ、プリオンによる病気としてはパプアニューギニアのクールー病など古くから風土病としてあったものもありますので、一概に環境汚染が原因とは言えないと思いますが、環境汚染物質がプロモーターとして作用している可能性はありますね。



クールー病は人肉食の習慣のある部族の病気であり、スクレーピーや狂牛病は草食動物に動物性の飼料を与えていることが原因であることですので、本来ありえない食習慣にプリオンの異常化の原因があるような気がします。



従って、本来肉食ではない人間も肉の食べすぎには注意したほうがよいのではないだろうか、と考えたりしています。



ニュージーランドは本当に自然に恵まれた国ですね。10年ほど前ですが新婚旅行で行きましたが、日本より小さい国土に日本より雄大な自然を湛えているのには驚きました。
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同類、相食む (U-1)
2004-10-21 06:08:57
O-さん お疲れの処、丁寧な知らせありがとうございます。

クールー病、はじめて知りました。食人は、戦いで死んだ勇者を称えて、その魂がのり移るよう行われたというのが、文化人類学の所見です。まさか、副産物が付いているとは知りませんでした(^^;。

(大森貝塚を発掘したE.モースは、縄文時代、食人が行われていた形跡有りと、述べてます。)



ニュージーランドでは、まめ科の牧草を多く用いて、化学肥料の使用を抑えて、安全な農業を推進していると聞きいています。

狂牛病の根底には、蛋白質の基になる「窒素分」に、何か問題が在りそうだと、思ってます。



世界一般に、堆厩肥を農地に還元するのは、コスト面から嫌われるきらいがあり、化学肥料に頼る場合も少なくありません。堆厩肥は、雨にあてると、ダメになる上、重くて散布も難しくなります。堆厩肥用の屋舎が必要なので、篤農家以外は、本当に有機農業をしている人は極少ないのが、現状です。



NZの人々、食べ物が、自然なためか物事の考え方も正常で、私が行った時は、非核政策を執っていました。昨今の世界の殺伐とした状況、「食」にも問題あると、思います。

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自然が一番 (o_sole_mio)
2004-10-21 22:52:05
U-1さん、いつもコメントありがとうございます。



ニュージーランドのやり方を考えると自然が一番ということですね。



科学技術の進歩は「木を見て森を見ず」というきらいがあるのではないでしょうか。諫早の堤防なども自然のしっぺ返しをくらっているのではないかと思います。身の回りを見ましても抗菌処理を施したものがかなりありますが、これも不自然であり人体にとって有害無益なものだと思っております。
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