環境法令ウオッチング

2006年7月から2007年12月までの環境法令情報・行政情報・判例情報を掲載。

無害化土壌搬入と行政行為の附款

2007-08-02 05:56:09 | 行政法
2007年8月2日 
 宇治市内の採石場に、高濃度のダイオキシンを検出した土壌の無害化後の土壌8,000トン超が搬入された問題で、建設・採石会社が無断で処理土を受け入れていたことなどから、京都府は即時撤去を指導した、とのニュースがありました。報道によると、この土壌は『ダイオキシン濃度は環境基準を大きく下回っており、健康などへの影響はない』模様ですが、受け入れた建設・採石会社は『処理土の搬出計画書を提出し全量の撤去を表明』、しかし、『撤去先は未定で、府は撤去完了までは土壌の飛散や流出がないよう監視する』とされています(7月31日京都新聞)。
 上記の問題は、適正な処理施設において無害化処理された後の土壌を受け入れていることから、法律上、何ら問題はないようにも思えます。しかしながら、京都府が敢然と即時撤去を指導した背景には、『行政行為の附款』という切り札が存在しています。
 『行政行為の附款』とは、行政行為の効果を制限したり、あるいは特別な義務を課するために、主たる意思表示に付加される従たる意思表示のことです。分かりやすくいえば、何かを許可するための個別の条件、という意味で、自動車運転免許の、眼鏡等、をイメージすればよいでしょう。
 ただし、『行政行為の附款』は、行政の都合通りなんでもかんでも付すことができるわけではありません。①法律で附款を付すことが認められている場合、②行政行為の内容について行政庁に裁量権が認められている場合、に、その行政行為の目的を達成するために必要な範囲において、さらに義務を課す場合には必要最小限のもので、付すことができるとされています。
 今回の案件では、採石に際し、採石法上の採取計画の認可(第33条)が必要とされ、その認可にあたっては、『条件を附することができる(第33条の7第1項)』ただし『前項の条件は、認可に係る事項の確実な実施を図るため必要な最小限度のものに限り、かつ、認可を受ける者に不当な義務を課することとなるものであつてはならない(第33条の7第2項)』として、法律で附款を付すことが認められている場合に相当します。したがって、京都府が、この建設・採石会社の宇治市内の採石場に対する採取計画を認可するに際し、『土砂などの搬入は原則として行わない』などとする条件が付されていたものと思われます。

【官報ウオッチング】
新しい情報はありません。

【行政情報ウオッチング】
環境省
中央環境審議会地球環境部会・産業構造審議会環境部会地球環境小委員会合同会合(第21回)の開催について

経済産業省
火薬類取締法施行規則の改正案等に対する意見の募集について
西日本石炭じん肺訴訟(福岡第1陣)の判決について

国土交通省
平成19年度民生部門等地球温暖化対策実証モデル評価事業(公共交通利用型のモデル事業・FS事業)の補助金の交付決定について

厚生労働省
平成19年度 第3回 少量新規化学物質の申出手続について

資源エネルギー庁
省エネ設備投資補助事業の助成対象決定について
第27回電気事業分科会の議事概要

東京都
「再生水」を「永田町及び霞が関地区」に供給開始

【判例情報ウオッチング】
新しい情報はありません。

ISO14001
◆毎週更新中!「環境法令管理室」に「7月23日から7月29日までに公布された主な環境法令一覧」をアップしました/2007.7.28
◆毎週更新中!「環境法令管理室」に「7月23日から7月29日までに発表された改正予定法令一覧」をアップしました/2007.728