環境法令ウオッチング

2006年7月から2007年12月までの環境法令情報・行政情報・判例情報を掲載。

平成19年「日本の水資源」を読む ⑤公共財の格差は許されるか?

2007-08-10 06:17:21 | 水質汚濁
2007年8月10日
 平成19年「日本の水資源」を読む最終回は、気になった新聞記事から水資源について考えてみたいと思います。
 毎日新聞は、8日、『点検・五輪中国:開幕あと1年/1 「水を北京へ」水路3、000キロ』と題した記事を掲載しました。中国では、来年8月に開催される北京オリンピックに向け、国家を挙げた準備が進められています。そのなかで懸念されるのが水資源の確保。報道によると、『北京市水務局は北京五輪期間中の1日の水使用量が最高275万トンになると予測、これに備え、今年末までに1日当たり310万トンへ能力を引き上げる計画』を策定。そのために、『長江(揚子江)の上流、中流、下流からそれぞれ取水し、水路を経て黄河を通って北京などへ送り込む国家プロジェクト』を敢行。『その総投資額は約5、000億元(約7兆8、400億円)。掘削水路の総延長は計約3、000キロに上る。河北省石家荘と北京を結ぶルートは今年末までに完成する予定』とされています。
 しかし、この計画で犠牲を強いられるのが北京市の上流中国河北省豊寧県の農家。稲作からトウモロコシへの転作を余儀なくされたそうです。また、『工場や企業で水の浪費を発見した場合、最高で1万元(約16万円)の罰金を科』すなど、北京市内での規制も開始されているそうです。
 『日本の水資源』では、世界の水利用の現状を次のようにまとめています。
 『UNESCOが発表した『World Water Resources at the Beginning of the 21st Century、2003』によると、1995年(平成7年)における世界の水使用量は約3兆7、500億㎥/年となっている。このうち、農業用水が約7割近くを占め、工業用水が約2割、生活用水が約1割である。地域別にみると、アジアでの使用量が最も多く、続いて北米、ヨーロッパの順となっている。また、これを一人当たり水使用量でみると、北アメリカの使用量が最も多く、続いてオーストラリア・オセアニア、ヨーロッパとなっている。一人当たり生活用水使用量でみても同様であり、先進国の人口の割合が比較的多い地域で、水が多く使用されている。また、水使用量の伸びをみると、1995年(平成7年)の水使用量は1950年(昭和25年)の約2.74倍となっており、同期間における人口の伸び約2.25倍より高くなっている。特に生活用水の使用量の伸びは約6.76倍と急増している。さらに、2025年(平成37年)の予測水使用量は1995年(平成7年)の1.37倍、生活用水では1.83倍にもなると報告されている。』 
 オリンピックが開催されれば、未曾有の観光客が北京へ訪れます。そのために必要となる水は、誰かの犠牲なくしては調達しえない可能性がかなり高いといえます。これは、何も中国だけの問題ではなく、上記の世界の水利用を考えれば、どこの国にも起こりえる問題であるといえます。公共財としての水をいかに確保し、どう配分するのか。生命に直結する物資に、格差が生じることは、断じてあってはならないと思います。

【官報ウオッチング】
〔政令〕
自動車から排出される窒素酸化物及び粒子状物質の特定地域における総量の削減等に関する特別措置法の一部を改正する法律の施行期日を定める政令(政令第258号)
 本年5月に制定された「自動車から排出される窒素酸化物及び粒子状物質の特定地域における総量の削減等に関する特別措置法の一部を改正する法律」(平成19年法律第50号。以下「改正法」という。)の施行期日を、平成20年1月1日とする。

自動車から排出される窒素酸化物及び粒子状物質の特定地域における総量の削減等に関する特別措置法施行令の一部を改正する政令(政令第259号/平成4年11月政令第365号の一部改正)
 1.特定用途(法第20条第1項関係)
改正後の自動車から排出される窒素酸化物及び粒子状物質の特定地域における総量の削減等に関する特別措置法(平成4年法律第70号。以下「法」という。)第20条第1項に規定する特定建物の新設に関する届出義務の対象要件の一つである、自動車の交通需要を生じさせる程度の大きい用途で政令で定めるもの(以下「特定用途」という。)は、劇場、映画館、演芸場、観覧場、放送用スタジオ、公会堂、集会場、展示場、結婚式場、斎場、旅館、ホテル、料理店、飲食店、待合、キャバレー、カフェー、ナイトクラブ、バー、舞踏場、遊技場、ボーリング場、体育館、店舗、事務所、病院、卸売市場、倉庫及び工場とする。
2.特定建物の設置者等に対する報告の徴収
(1)特定建物の設置者について(法第28条第1項関係)
都道府県知事は、特定建物(法第20条第1項に規定する特定建物をいう。以下同じ。)を設置する者に対し、当該特定建物の特定用途に係る事業活動に伴う自動車排出窒素酸化物等の排出の抑制のための配慮の状況に関し報告を求めることができることとする。
(2) 特定建物で事業を行う者について(法第28条第2項関係)
都道府県知事は、特定建物において特定用途に係る事業を行う者に対し、次に掲げる事項に関し報告を求めることができることとする。
①当該事業の開始日
②当該事業の内容
③当該事業を行う特定用途に供する部分の延べ面積及び位置に関する事項
④当該事業を行う者の事業活動に伴う自動車排出窒素酸化物等の排出の抑制のための配慮に関する事項
3.周辺地域内自動車の台数(法第36条第1項第1号関係)
指定地区(法第36条第3項に規定する指定地区をいう。以下同じ。)において運行する周辺地域内自動車(法第36条第1項に規定する周辺地域内自動車をいう。以下同じ。)の排出抑制に関する計画作成義務(法第36条第1項)の対象要件の一つである、一の都道府県の区域内に使用の本拠の位置を有する周辺地域内自動車の使用台数は、30台とする。
4.周辺地域内事業者等に対する報告の徴収及び立入検査
(1) 対象自動車を使用する事業者について(法第41条第1項関係)
①都道府県知事等が、対象自動車(法第33条に規定する対象自動車をいう。以下同じ。)を使用する事業者に対して報告させることができる内容を、当該都道府県の区域内にその使用の本拠の位置を有する対象自動車の台数とする。
②都道府県知事等が、その職員に、対象自動車を使用する事業者の事務所その他の事業場に立ち入り、検査させることができる対象を、当該対象自動車及びその関連施設並びに関係帳簿書類とする。
(2)周辺地域内自動車を使用する事業者について(法第41条第3項関係)
①都道府県知事等が、周辺地域内自動車を使用する事業者に対して報告させることができる内容を、当該都道府県の区域内にその使用の本拠の位置を有する周辺地域内自動車の台数及び周辺地域内自動車を指定地区内において運行する回数とする。
②都道府県知事等が、その職員に、周辺地域内自動車を使用する事業者の事務所その他の事業場に立ち入り、検査させることができる対象を、当該周辺地域内自動車及びその関連施設並びに関係帳簿書類とする。
(3)周辺地域内事業者について(法第41条第4項関係)
①都道府県知事等が、周辺地域内事業者(法第37条に規定する周辺地域内事業者をいう。以下同じ)に対して。報告させることができる内容を、指定地区における自動車排出窒素酸化物等の排出であって周辺地域内自動車に係るものの抑制の実施の状況とする。
②都道府県知事等が、その職員に、周辺地域内事業者の事務所その他の事業場に立ち入り、検査させることができる対象を、周辺地域内自動車及びその関連施設並びに関係帳簿書類とする。
5.権限の委任(法第44条第2項及び第3項関係)
指定地区における周辺地域内自動車に係る自動車排出窒素酸化物等の排出の抑制を図るための措置等に関する国土交通大臣の権限は、地方運輸局長又は運輸監理部長若しくは運輸支局長に委任することとする。
施行日:平成20年1月1日                          

【行政情報ウオッチング】
環境省
静岡県浜松市の事案に係る掘削調査結果について
南極地域の環境の保護に関する法律施行規則の一部を改正する省令の公布・施行及び同省令に対する意見募集(パブリックコメント)実施結果について
第2回持続可能なアジアに向けた大学における環境人材育成ビジョン検討会の開催について
絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律施行規則の一部を改正する省令案に対する意見の募集(パブリックコメント)について
廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行規則の一部を改正する省令(案)等に対する意見の募集(パブリックコメント)について

経済産業省
廃棄物埋設施設及び特定廃棄物管理施設並びに原子炉施設(廃止措置及び運転終了)に係る平成19年度第1四半期の認可、検査及び確認の実施状況について
原子力安全・保安部会原子力安全基盤小委員会報告~原子力の安全基盤の強化について~(案)に対する意見募集

国土交通省
“東京大気汚染訴訟”の和解成立について
建設工事受注動態統計調査(平成19年6月分)

資源エネルギー庁
ガス事業生産動態統計(四半期報(平成19年1~3月期))

東京都
八都県市 地球温暖化防止の推進に関する要望を実施

【判例情報ウオッチング】
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ISO14001
◆毎週更新中!「環境法令管理室」に「7月30日から8月5日までに公布された主な環境法令一覧」をアップしました/2007.8.4
◆毎週更新中!「環境法令管理室」に「7月30日から8月5日までに発表された改正予定法令一覧」をアップしました/2007.8.4