limited express NANKI-1号の独り言

折々の話題や国内外の出来事・自身の過去について、語り綴ります。
たまに、写真も掲載中。本日、天気晴朗ナレドモ波高シ

普天間は還らない

2018年10月03日 20時43分44秒 | 日記
普天間は還らない。半永久的に固定化されるだろう。「世界一危険」と言うレッテルを貼られても、普天間は使われ続ける。皮肉だが、沖縄県民の意思である。辺野古への移設阻止を掲げた新知事が誕生したからだ。「辺野古に基地は造らせない」=「普天間の固定化」の容認と取られても仕方あるまい。彼らはそう判断したのだから。

そもそも、鳩山政権の誕生、自民党の下野から、話は迷走した。鳩山は選挙で「最低でも県外」と玉虫色の箱を掲げた。沖縄県民は狂喜し、鳩山らは政権を奪った。だが、玉虫色の箱には「最初から、何も入っては居なかった」のだ。当時の民主党政権は、目の色を変えて、辺野古の代替地を探した。だが、そんな土地は何処にもなかった。「徳之島にお願いしたい」と鳩山が言うと、非難の矢が豪雨の如く降った。徳之島にして見れば、青天の霹靂もいい話で、到底通る話ではなかった。それでも、ヤツは「腹案はある」と虚勢を張った。けれども、そう言った時点で万策は尽きており、結果として話は辺野古へ戻ってしまった。鳩山が振り回した結果、話は完全にこじれて、沖縄と政府の間には大きな溝が生じた。辺野古への移設計画を苦難の末に決めた「平成オジサン」事、小渕総理の努力はこうして水泡に帰したのだ。

自民党が政権を奪還し、1強他弱となった現在。政府は「粛々と移設を進める」と言って工事を続けているが、反米活動家「翁長氏」の亡霊政権が誕生した沖縄に対して、これまで以上に強硬な姿勢を取らざるを得なくなった。米帝国の総統ジョーカーの気分次第では、在韓米帝国軍の撤退もあるかも知れないからだ。総統ジョーカーは「在韓米帝国軍を撤退させて、その分の経費を自帝国の為に使おう」とまで言ったのだ。そうなれば、我が国の防衛は自衛隊が担う事になり、自衛官たちを常に最前線に立たせる事になる。彼らとて国民である。自国民に「死んで来い」と誰が言えようか?!先の大戦の特攻隊ではないのだ。沖縄県民にしても、先の大戦で多大な犠牲を強いた「沖縄戦」の記憶は風化してはいまい。歴史上の悲劇は繰り返してはならないのだ。故に、辺野古への移設が普天間返還の大前提になるのだが、今回の知事選の結果は絶望的なものに終わった。普天間の一層の半永久的固定化は避けられまい。

「辺野古に基地は要らない」と言うのならば、「普天間は返しませんよ」と米帝国は言うだろう。代替地に建設出来ないとなれば、今、有るもので凌ぐしかない。普天間の危険除去は絶望的になった。これからも、この先も危険と隣り合わせで暮らしてもらうしかない。それが知事選の結果であり、彼らの意思ならばそうするしかない。これから、埋め立て承認の撤回や反政府、反米帝国集会などが活発に展開され、沖縄と政府は益々対立するだろう。だが、それが県民の意思ならばやむを得ない。最終的には、建設を中断せざるを得なくなっても仕方あるまい。普天間基地を使い続ければいい。それが最善の選択と言えなくても、今、有る基地を生かすしかないからだ。

ミスター DB 51

2018年10月03日 17時41分33秒 | 日記
“兄貴”と呼ばれた人物に、呼び止められたミスターJ一行は、通された部屋で一様に硬い表情を浮かべていた。「貴方は何者です?!ただの青竜会の幹部ではありませんな!」ミスターJは言い切った。「流石にお見通しですか?やはり、貴方もただの陰ではなさそうだ」“兄貴”は笑い出した。「確かめておきたい事があります。それも早急に!」“兄貴”は急に真剣な顔つきになった。「まさかとは思いますが、もしや・・・」ミスターJは何かを察した様だった。「多分、貴方はこう思っておられる。“モグラ”ではないかと。そうではありませんか?」“兄貴”はミスターJを真っ直ぐに見据えて言った。一瞬の静寂の後「私は、青竜会では“本山某”と呼ばれていますが、本名は別です。お察しの通り、私は“モグラ”です。2年前から青竜会に潜入している」仮称、本山氏は静かに言った。「よろしいのですか?“モグラ”は日の当たる場所、つまり身分を明かす事を禁じられているはず。何故、私達に?」ミスターJは誰何した。「確かに言われる通りです。日の当たる場所へ出るのはご法度。しかし、重要な情報が相次いで入ったのですよ。1つ目は“親父”平たく言えば組長ですが、急に“身づくろいを急げ!”と言って来た事。2つ目は、県警から極秘に“近々手入れに入るから、手元の資金を手放すな!”と言って来た事。3つ目は、県警から情報を流していた青竜会の手先が、つい先ほど逮捕された事です。こっちは目下、大混乱ですよ。そこで、フォンに情報提供を依頼するために若いのを出したら、店先でKOされてると来ました。そこで閃いたんですよ。“遂に県警が確たる証拠を手にした”と言う事実を。後は“誰がどうやって届けたか?”を確かめるだけでした。フォン自らが、もてなしていたのが貴方達だと知り、私は包囲をかけた。教えていただけますか?貴方達なんですね?確証を県警に届けたのは?」本山氏は淀みなく語り問うた。「お察しの通りですよ。我々が確証を揃えて“ある人物”に託した。彼は“後輩”にバトンを繋いだ。それだけです」ミスターJも静かに応じた。「なるほど、やはりそうでしたか。となると、私も急がなくてはならないな!至急、この街に対しての“借り”を返さなくては」本山氏はお茶を飲み何やら思いを巡らせ始めた。「青竜会がこの街に積み上げた“借り”は、億単位と聞いてますが、本山さん、どうなさるおつもりですかな?」ミスターJは思い切って切り込んだ。「私が単独で動かせる青竜会の資金は、約4億あります。その内の半分、2億はこの街へ返すつもりですよ。せめてもの償いですが。県警は資金を手放すなとは言ってますが、額までは知らない。その前に返してしまえば、何も問題にはならない。フォンと近々の内に話して、返済しましょう。彼に話を持ち掛けても構いませんか?」本山氏は穏やかに問うた。「フォンに任せれば間違いはありません。しかし、貴方の立場はどうなります?」ミスターJも問い返した。「“親父”が、“身づくろいを急げ!”と言っている今なら、何の疑いも無く処理できます。ですから、急がねばなりません」本山氏は決意を込めて言う。「青竜会がこの街を食い物にして来た事実は、もう消し去れません。この街全体もそう思っているでしょう。私も青竜会の一員として、数々の悪事に手を染めました。でも、何時、誰が、何をしたのか?は全て記録してあります。晴れて自由の身になった折には、必ず断罪して償わせます。この2年、決して平坦ではなかった。だが、貴方達が用意してくれた確証で、青竜会を壊滅に追い込むことが出来る。私の任務も間もなく終わりますが、漸く重い荷物を降ろせる。それが確かめられて安心しましたよ」本山氏は穏やかに言った。「失礼ですが、ご家族は?」ミスターJが心配そうに聞く。「妻子とは別れました。潜入する以上、後顧の憂いは絶っておかねばならなかった。実は、顔も変えています。この顔で妻子と会っても、気づかれる事はありません」本山氏は微かに笑っていた。「そこまでして、青竜会へ潜った訳は何なんです?」ミスターJが更に聞く。「青竜会を壊滅させる。それだけです。彼らを駆逐するには潜るしか手が無かった。何の罪もない人々の生活を守る。使命感とは違う義務感みたいなモノですかね。自分でも分かりませんが・・・」本山氏は照れくさそうに言った。「お引止めして申し訳なかった。どうぞお茶や菓子を召し上がって下さい。ここは、青竜会が支払います。若いのがご迷惑をおかけした詫びです。では、失礼します。もう、2度とお会いする事は無いでしょう。ですが、私は今日の事は生涯忘れません。ありがとう」そう言うと、本山氏は去って行った。通りに面した窓から、彼が雑踏に消えていくのをミスターJは静かに見送った。「N!F!今日の出会いを忘れるな!彼の様な男、中々居るものではない。しかと心に刻んで置け!」ミスターJは2人に言い渡した。「はい、あんな風には簡単になれないだろうけど、いつか追いついて見せます」「ええ、必ず追いついてやります」N坊とF坊は決意を新たにしていた。「まあ、お前達には、後10年以上かかるだろうがな」“スナイパー”が遠くを見る様に言った。「私達は、この街と彼も救うことが出来た。今回の作戦は成功だったと言えよう。後は、KとDBだ。明日に備えて引き上げるとするか?」ミスターJはお茶を飲むと、3人を連れて店を出た。雑踏は途切れることなく続いている。一行は司令部への帰途に就いた。

絶え間なく響く爆音の如きイビキと険悪な悪臭ガスの噴射音。KとDBは、くたびれ果ててソファーに横たわっていた。室内には、又しても悪臭が充満していた。昨夜から数えれば何回目だろうか?客室係の女性達に知れたら卒倒モノであった。やがて、まずKが意識を取り戻した。「何だ?この異臭は?」ヤツは記憶が飛んでいた。ハンカチで口元を覆い隠して、窓を開ける。冷たい夜風が入り込むと、DBも意識を取り戻した。「臭い!また悪臭地獄だ!今日は厄日か?」DBも記憶の1部が飛んでいた。「DB、俺達はどうやってサウナから帰って来たんだ?この異臭の原因は何だ?」Kの記憶は、そっくり抜け落ちている様だった。「K、生薬を飲んで、コーラを一気飲みして、コンビニを悪臭地獄に陥れたのを忘れたか?!」DBが抜け落ちている記憶を並べ立てた。「あっ!ヤケを起こしてコーラを飲んで、大量のガスでコンビニを臭くしたのは俺か?!」Kはやっと思い出しつつあった。「その後、警察に追われる前に“追いかけっこ”をやって、路地裏を走り回ってやっとの思いで帰って来たのを忘れないでくれ!だから、疲れて沈没してるんだ!」DBが止めを刺す。「あー、俺の悪いクセが全て出ている。済まんDB。異臭の発生先は俺達だな?」「そうだよ。ガスだからまだいいが、どうにかして“異臭の素”を駆逐しない限り、ガスは止まらん」DBは換気扇とエアコンを全開にして、ガスを追い払おうとする。その間にも2匹の尻からは、ブォーっと言う轟音と共にガスが噴射され続けていた。「では、食事をするしか無いのか?」Kが聞く。「そうだな、それしか道は無い」DBは答えた。「1階のレストランは?」「ダメだ!」「コンビニへ買い出しに行くのは?」「ダメだ!今度こそ捕まる!」「ホテル外へ食べに出るのは?」「以ての外だ!!」Kは、うな垂れて「コーラを止めて置けば・・・」と後悔したが、もう遅かった。唯一残された道は、ルームサービスでオーダーするしか無かったが、リスクがあった。室内の異臭だ。「化学製品は使えない。異臭に飲み込まれて、臭ささを助長するだけだ。残された手はお香を焚くことだが、どこかにないかな?」DBは客室内を物色し始めた。ソファー周辺からベッド周辺、バス、トイレと隅々を丹念に見て回る。「おっ!天祐だ!お香がある」DBは浴室内でお香の箱と皿とチャッカマンを発見した。それは、客室係の女性達がウッカリ忘れたモノだったが、今の2匹にとっては天佑神助に他ならなかった。「K、お香が20本近くある。直ぐに焚こう!」DBとKは窓を閉めて、換気扇も止めてからエアコンの風量を最大にすると、お香に火を点じた。徐々に悪臭は鎮められていく。「これで、ルームサービスを呼んでも問題ない。K、直ぐに電話しよう!締め切りまで時間が無い!」Kは受話器を取り上げると「DB、何を持って来させるんだ?」と聞いた。「あらゆるモノ、注文できる限り全部だ。朝からロクに食べていないんだから、好みは問わん」「よし!片っ端からオーダーするぞ!」Kは直ぐに大量のオーダーを入れた。異臭はお香によってかなり鎮まり、室内の臭いも変わりつつあった。「一旦、換気しよう」DBは窓を開けて、空気を入れ替えた。2本目のお香にも火を点じ、皿を浴室内へ移す。「ガスの噴射も治まって来た。生薬が分解されたのだろう。ようやく、まともに食べられる」DBは湯を沸かし、お茶を淹れる準備をした。ルームサービスの品も届けられ、食卓にはズラリと料理が並んだ。「しかし、DB、食っても大丈夫なのか?また、悪臭地獄に陥る心配は無いのか?」Kは怯えたように言う。「“異臭の素”を腸から駆逐するには、食べるしかない。明日の朝、悪臭は漂うかも知れないが、食った後に生薬を飲めば、臭さは抑えられる。お香もかなりの本数があるんだ。今朝の様な悪夢は振り払え!」DBはそう言うと、ガツガツと食らい付いた。「そうだな、まずは食おう」Kも無心に食らい付いた。24時間振りのまともな食事だった。「K、1つだけ頼みがある」「何だ?」Kは一旦、食事を止めた。「炭酸飲料だけは、勘弁してくれ!もう、ガスも沢山だ!」DBがしみじみと言う。「分かった。今夜はお茶にしよう」Kも反省した様に返した。2匹はこの日、初めての“まともな食事”にあり付いた。夜は更けて行った。

県警に戻ったW氏は、真っ直ぐに鑑識課へと向かった。Y副社長から託された“荷物”を抱え、鑑識課長を探す。「課長!大至急これを分析して欲しい!」鑑識課長を見つけたW氏は、“荷物”を手渡した。「W警部、これは何処からの押収物です?それに何を分析するんです?」怪訝そうな鑑識課長にW氏は、封筒の中身を突き出した。暫く書類を繰っていた鑑識課長の顔色が真っ青に変わる。「こいつは・・・、物凄い!決定的な証拠じゃありませんか!この青いビニール袋の中身は、ZZZって事ですよね!」「そうだ。それを改めて検証して貰いたい!分析をされた先生は、向こうの県警の分析医として、私も存じ上げているが、確実にZZZだと言う証明をしたいんだ!科捜研へは送れるかい?」「直ぐに誰かを行かせます!所長を叩き起こせば、朝までには分析出来るでしょう!一大事だ!全員集合しろ!」鑑識課長は直ぐに課員を呼び集めた。既に帰宅した者には、非常招集を命じた。W氏は、内線でマル暴の課長と古参のG刑事を呼び出していた。「直ぐに鑑識へ来てくれ!一大事だ!」数分後に2人は鑑識へ駆けつけた。「一大事とは何事だい?W警部殿?」やって来たG刑事とマル暴の課長は怪訝そうに聞く。W氏は、鑑識課長の時と同様に封筒の中身を突き出した。「Gさん、とにかく見てくれ!貴方なら分かるはずだ!」「こいつは・・・、まさか・・・!遂に尻尾を掴んだって事か?!」G刑事もマル暴の課長も驚きのあまり声も出ない。暫しの沈黙の後、G刑事が「どこから手に入れたんだ?これは、長年俺が追っていた答えそのものだ。余程の組織が無けりゃ、これ程の子細な分析なんぞ出来ない」「確かにそうだ。どこで手に入れたんです?」マル暴の課長も答えを聞いている。「それは、残念ながら明かせない。入手先については、一切口外しない事を前提に譲り受けたんです」W氏は苦しそうに答えた。「オープンに出来ない事によって、この証拠が埋もれるのは避けたい。逆に、この機に乗じて青竜会への強制捜査に踏み切りたい。でも・・・」「でも、本部長がウンと言うか分からん。そうだな」G刑事が後を引き取った。「出何処がどうであれ、俺は青竜会に切り込めると思うぜ。麻薬取締法違反でな。正直な話、俺なら1人でも切り込むけどな」「そこから、芋づる式に釣り上げる。願っても無いチャンスだ!私だってGさん同様、直ぐにでも令状を取るがどうする?これだけの証拠が揃うのは、もしかするとこれ以後、無いかも知れないぞ!」マル暴の課長も前のめりだ。「本部長を説得に行くか?俺も課長も援護する。青竜会の息の根を止めるのは今しかない!」マル暴の課長も頷いた。「まだ、鑑識課長と、お2人にしかお話してませんが、この証拠で青竜会を壊滅させられると思いますか?」「取っ掛かりとしては、最高の証拠だよ。今まで陰すら踏めなかったんだ。逆に1歩、いや3歩は先回りしてる。これを逃すと次は無いぞ!」G刑事が受話器を取り上げた。「本部長なら分からない筈が無い。散々煮え湯を飲んでるんだ。俺が引導を渡して見せよう」そう言うとG刑事は本部長を呼び出した。10分後、3人は本部長室で話し合いに望んでいた。書類を無言で繰った本部長は、やはり顔色を変えた。W氏が証拠の入手経過を説明し、マル暴の課長とG刑事が、捜査の開始を進言した。黙って聞いていた本部長は、暫く目を閉じてから「W警部、Z病院の一件は知っているな。あそこの理事長は私の先輩でもあるし、主治医でもある。だから、私は密かに捜査一課を動かしてきた。今の話を総合すると、Z病院の一件に絡んで青竜会の動きを察知し、証拠を得たと言う事だな」「はい、そうです」「Gさん、勝ち目はあるか?」「あるも何も、最初で最後の好機ですよ。この機に乗じて、動かない手はありません」本部長は、捜査一課長を呼んでから「では、決まりだ!Z病院の一件に本件を加えて、青竜会を叩く!合同捜査本部を設置して至急取り掛かってくれ。捜査一課長、W警部とマル暴課長から説明を聞いて、直ぐに必要な処置をとってくれ!」「はい!」4人は急いで辞して行こうとしたが、G刑事は本部長に呼び止められた。「Gさん、遂にこの日が来たな。今までご苦労だった」本部長は感慨深く言う。「確かに長かった。俺も後2年で定年だ。その前にヤツらを叩けるとは、思ってもいませんでしたよ。珍しいですな。石橋を叩き壊しても渡らない貴方が、即断するとは」G刑事も感慨深く言う。「散々、煮え湯を飲まされた相手だ。Gさんから引導を渡されるまでも無く、私は動くつもりでいたよ。出何処がどうであれ、証拠が挙がったんだ。この機を逃す訳には行かないよ」本部長は決然と静かに言った。「本部長、Wもいい刑事になりましたね」G刑事がポツリと言った。「ああ、お前さんの跡継ぎの様なもんだ。若い者の活躍の場を整えてやらんといかんな。定年まで、しっかりと背中を見せてやってくれ!」2人は将来を託す者達への賛辞を惜しまなかった。「じゃ、本部長、私も参戦します」「ああ、任せるGさん」G刑事は前を行く3人を追い始めた。目指すは、青竜会の壊滅。合同捜査本部は熱を帯びて動きだして行った。

ミスターJの一行は、無事に司令部に戻った。リーダーが出迎える「ご無事でなによりです。直ぐにコーヒーをお淹れします」「ああ、他の3人の分も頼む。それと、フォンが喋った音声記録だ。県警へ匿名で送ってやれ」そう言うとICレコーダーをリーダーに手渡した。「編集しなくてもいいのですか?」「構わん。そのまま送り付けてくれ」ミスターJは意に介さずに言う。「N、F、“スナイパー”、ご苦労だった。部屋はこの続きに取ってある。今夜は早めに休んで置け。まだ、もう1日残っている」「はい」3人が同時に答えた。「ジミー・フォンはどうでしたか?」リーダーがコーヒーを配りながら聞く。「スラスラと喋りおった。意外だったが、ヤツも見えて来たモノがあるのだろう。親父さんの背中がな」ミスターJは、フォンの親父さんを思い出していた。時に熱く、時に優しく、悪を許さなかった偉大な人物。病気で早逝してしまったのが惜しまれた。後を継いだのが、ジミー・フォンだ。彼もようやく目覚めようとしている。“蛙の子は蛙。義侠心は親父さんそっくりだ”心の中でそう呟いていた。「ミスターJ、俺達早めに休ませてもらいます」N坊とF坊が言った。「俺も飲んじまったから、車を出せない。済みませんが休ませてもらいます」“スナイパー”も言う。「そうしてくれ。一番疲れてるのは、お前さん達3人だ。ゆっくりと休め」「じゃあ、失礼しまーす」とN坊が大声で挨拶をすると、3人は各部屋へ引き上げて行った。「リーダー、“耳”からは何が聴こえる?」ミスターJは“2匹の食用蛙”達の動向を聞いた。「どうやら、食事中の様です。また、大量のルームサービスをオーダーしまして、無心に食べている模様です。明日の朝が、また山場ですね」「悪臭地獄再来か?有り得る話だな。まあ、それはいい。今、思い出したが明日の朝、早い時間にY副社長の使いが来るやも知れん」「えっ、まだ何か?」「DBの処遇だよ。Kは逮捕起訴されるのは確実だが、DBは検察に送致されても不起訴になる確率が高い。嫌疑不十分でな。問題は、その後だ。Y副社長が黙って許す訳がない。DBに対して何らかの処分を下されるだろうが、釈放されたDBをどうするか?まだ何も協議していない」「確かに、その点はスッポリ抜け落ちてますね」リーダーも思い出した様だ。「明日は“撤収作業”もしなくてはならない。Y副社長関係は、私が引き受けるから、リーダーは“撤収作業”の指揮を執って貰いたい」「分かりました。お帰りはどうなさいます?」「Z病院の行く末を見届けてから引き上げる。車を2台用意してくれ。私とリーダー、NとFを乗せて帰らねばならん」「分かりました。機動部隊から、2台を振り向ける様に手配します」ミスターJはコーヒーを飲み干すと、上着を脱いで窓辺に向かった。「全ては明日に掛かっている。もう少しだ。上手く罠に落とさねばならん」月は中天高く昇り、街の明かりは少しづつ消え始めていた。いよいよ、決着の日が迫った。ミスターJはシャワーを浴びると床に就いた。疲れからだろうか、彼は瞬く間に眠りに落ちて行った。