3.11の年、長岡花火も自粛の声があがったが、「観光誘致のイベントなら自粛だが、長岡の花火は死者の追悼と平和を祈るメッセージなんだ」と開催・・・映画の中での長岡市長のセリフだ。

大林作品には幻想的な抽象表現が多いが、一輪車に乗る不思議な少女ハナは彼岸のメッセンジャー、美しく哀しい。
高校生たちが演じる劇中劇の空襲場面も、縦横無尽に一輪車で走り回る子供たちの姿が天使が乱舞するかのようで、戦争の凄惨さをこれほど見事に表現した映画を観たことがなく、観終わった後はカタルシスに満たされる。
最初に観た時には「戦争なんか関係ないのに!」と謎の言葉を残して夫の元を去る松雪泰子さんのセリフの意味が解らなかったが、2度目に観た時に、彼女は長崎の被爆2世で母親になることを拒絶していたのだなぁと気付いた。
もう一つ気付いたのは、劇中劇で演奏するミュージシャン「パスカルズ」の中に、チェロ弾きの古い友人の坂本弘道さんを発見!
横浜の老舗ライブハウス「エアジン」でムチャクチャな演奏をし過ぎて出入り禁止になったと聞いていたが、あの時は電動工具のグラインダーでチェロを弾いて、盛大に火花が飛んでいた(笑)まだミュージシャンとして活躍していたのだと知って安心。
大林監督は、あえてこの映画にエンドマークを付けていない。
長岡市民がお金を出し合って作った「長岡映画」が、世界中の言葉で字幕が付けられ、各国の平和記念イベントで上映されているようだ。
永遠に続くネバーエンディングストーリー、花の伝言を引き継ぐのは観客。
今日も世界のどこかで慰霊の「白菊」が咲く。
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