同じ日に「南京大虐殺」は捏造とするFacebook投稿を二件みたが、どちらもトンデモ説レベルの極右系投稿のシェアだった。
加害側の日本軍将兵からの虐殺の証言や文章記録も多いことをご存じないようだ。
・・・というより結論ありきで自分の信じる言説にしか興味ないのだろうネ。
「ホロコーストはガス室からはじまったわけではない。ヘイトスピーチからはじまったのである」・・・れいわ新選組の伊勢崎議員が紹介した「ルワンダ虐殺」の教訓である。
「南京事件」の証言者には皇族や将官もいて、その筆頭は三笠宮だ。

南京事件時は志那方面軍の参謀として、南京総司令部に勤務しておられた昭和天皇の末弟の高松宮は、「アジア開放の聖戦」の実態に愕然としたとの談話を残されている。
終戦時の陸軍大臣となる阿南惟幾大将も、現地視察の際に不法行為であると現地軍を批判した。

「「一死、大罪を謝す」は昭和史の教材になるくらいに丁寧に書かれた阿南大将の伝記
悪名高い「戦陣訓」は中国大陸での蛮行を繰り返さないために、東条英機から命じられた今村均大将が作成したもの。

開戦時にジャワ方面隊司令官だった今村均大将の占領政策は徳政であったとインドネシア人からも評価されているし、東京裁判での態度に「日本にサムライが残っていたのか」とマッカーサー元帥も感嘆した仁将だった。
阿南大将と今村大将は数少ない陸軍の良識派で、軍内部と将兵からも人気のあったエース級の軍人でもあったのだが、極右系インフルエンサーのトンデモ説とどちらが信用できます???
しかもトンデモ説をシェアしていたのは天皇が大好きな保守層なのだから、三笠宮の証言を無視しちゃいけないw
といっても南京事件は捏造と断じる人は自分で調べて考えず、インフルエンサーの尻馬にのってるだけだから無視してるんじゃなくて知らないだけなのだろうけど・・・。
中国が公表した「南京事件」で虐殺された民間人の犠牲者数が誇大だから捏造とするのは稚拙な考え方で、蛮行そのものは無かったことにならない。なんでそこまで「皇軍の軍紀が乱れていたのか」を問題にするのが理性や理知というものではないか?
招集兵だった知人の叔父さんは南京で餓死したそうだが、杜撰な作戦計画で兵站がのびきり、日本兵は飢えていたと聞く。腹が減っては戦はできずモラルも崩壊して略奪行為、捕虜に食わせる食料もなかったので虐殺につながった実態が伺える。
問題にするべきは「皇軍の蛮行」のみならず、当時の世論もだろう。

写真はWikipediaさんからの借り物で本文を読みたい方はこちら!
https://ja.wikipedia.org/.../%E7%99%BE%E4%BA%BA%E6%96%AC...

南京で二人の将校が「百人斬り競争」をしていると報道された新聞記事が大評判となり、鹿児島出身の野田少尉にいたっては母校で三百人斬りをこえて五百人斬りが目標と講演して、斬殺の実演までしていたそうだ。
もちろん白兵戦で斬殺した人数ではなく、捕虜や民間人を据え物斬りした人数なのだが、捕虜虐待と民間人殺戮は国際法のハーグ陸戦条約違反となり、軍事裁判では極刑になるのが普通で、戦後に野田少尉は絞首刑になっている。
陸軍士官学校では国際法を教えてなかったのも問題。
この件も真偽は闇の中であっても、戦後80年を生きる我々が問題にしなければならないのは、当時の世論が「百人斬り競争」を武勇伝として受け入れていたことではないか。鹿児島の尋常小学校の副読本で「血わき、肉おどるような、ほがらかな話であります」と紹介されてまでいるのだ。
多くの人を斬殺して「ほがらか」もないのだが、軍国主義の時代の世論や学校教育の実態を教訓にするべきなのだ。
歴史とはあらゆる方面からの証言や記録文書の検証を積み重ね、蓋然性を高めていくものであって、最初から結論ありきでネット検索すると同じ傾向の情報ばかりが目にはいって信じ込むエコーチェンバー現象に陥ってしまいがち。
歴史観を披露するということは、そのまま理性や知性、道義心や世界観を公開することになる。
また改竄した歴史を広めるのは個のレベルを超え、負の遺産となる可能性を知っておいてほしい。
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