鉄砲打ちが趣味の人からの依頼で、イノシシの牙でペンダントを作った。
いわゆる牙玉(キバダマ)であり、勾玉の祖形とも言える原始のペンダント。
渡された牙は上部が鋸で切られていたが、縄文時代の出土品は歯茎部が三角に尖がっている物が多い。恐らく獲物を解体した後に、頭部を土に埋めたりして腐らせてから、牙を抜いていたからではないだろうか。
縄文時代には、イノシシや狼、熊の牙に孔を開けた出土品が稀にあり、恐らくはペンダントにしていたと推測されている。
何故?・・・それは類感呪術(感応呪術)であろうと思う。
強くて生命力旺盛な獣を象徴する部位を身に付ける事で、その精強さを我が身に宿し、魔除けとしていたのではないだろうか?
獰猛な獣を仕留めた勇敢で立派な男という自負や、周囲へのアピールという事もあるだろう。
そう言えば、東インドの漁師達も、サメの牙をペンダントにしていた。
牙の表側。縄文時代っぽくデザインするのに、ひと月ほど思案したが、縄文人は褒めてくれるかな?
牙玉は、何か切実な想いを籠めたオンリーワンのお守りで、勾玉やヒスイ製品もその点は同じ。
本来のアクセサリーとはそういったもので、格好いいから欲しいというお気軽なものじゃない。
だから粗製乱造したりするものではないし、依頼主の猟師さんは今後は牙を私にも別けてくれるらしいが、売り物にしたくない・・・そう思う。
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