夫婦は所詮、他人である。
育った環境も違う。考え方も違う。
結婚当初はそれゆえ喧嘩もしょっちゅうだたが、結婚生活を5年弱もしていると、おたがいを知り、妥協をおぼえ、喧嘩するということが減ってくる。
ところが、今日ひさびさに喧嘩した。
原因は、私の視界の隅に入ってきた黒い物体である。
一瞬でわかった。ゴキブリだ!しかも超ビッグ。
人としてヤバイ実家で慣れていた私も、今の家では1年に1回くらいしか奴は出てこないので、すっかり耐性がなくなっており、我知らず、悲鳴が漏れ出た。
即座に逃げ出す私の代わりに、殺虫剤を手に奴を退治するのは、だんなの役目だ。
シューーーーー(噴霧の音)
・・・・・・・・・・・・・・。
ヒットはしたが、逃げられたらしい。
このままじゃ夜もおちおち眠れやしない!と探す私。
ヒットはしたんだからどこかで死んでいるだろう、とテレビを見始めるだんな。
ここで、私の中で火がくすぶりはじめる。
直後、ガサガサ、という音に反応した私の視界に入ってきたのは、ふらつきながら歩いているさっきのゴキだった。
悲鳴をあげ続ける私に、どうせ死ぬのに、と、めんどくさそうに動き出すだんな。
シューーーーーー(再び)
・・・・・・・・・・・・・・。
物陰から見ていた私に、だんなは「冷蔵庫の下でお亡くなりになったみたいだよ」と平然と言い放った。だんなにとっては、死んでしまえば、もう奴のことはそれで終了なのだ。
ありえない!! 私としては、命があろうとなかろうと、奴の存在が家の中にあるのが許せない。ましてや、奴が卵を持っていた日には、そこから増殖するのである。
しかも、冷蔵庫の下からはいまだカサコソと音がしている。死んでいないのだ・・・。
音がするたび悲鳴をあげる私に、だんなは「あれだけ殺虫剤をかければもうお亡くなりになるから」というが、だから、そういう問題ではないのである。「でも死んでないし」とごね続けていると、冷蔵庫の下から、ひっくり返って足をばたばたさせている奴が姿をあらわした。
当然家中に悲鳴が響き渡る。
シューーーーーーー(みたび)
・・・・・・・・・・・・・・。
まだ死なない。
丸めた新聞紙でとどめをさそうとする私。
そんなことしなくてももう死ぬから、と私をとどめるだんな。
しかし、前提条件が違う二人の意見がまとまることはなかった。
そうこうするうちに、ひっくり返ったまま、奴は冷蔵庫の下に消えていき、再び冷蔵庫の下からカサコソという音が・・・・。
私の中でくすぶっていた火に爆発物が投入された気がした。
「だからさっき潰しとこうって言ったのに!」
「死んだらそれでいいじゃんか!」(逆切れ)
結局、奴の死体はだんなが何とか処分した(というか、処分させた)。
このようなくそくだらないことで夫婦の溝は深まるのだった。
育った環境も違う。考え方も違う。
結婚当初はそれゆえ喧嘩もしょっちゅうだたが、結婚生活を5年弱もしていると、おたがいを知り、妥協をおぼえ、喧嘩するということが減ってくる。
ところが、今日ひさびさに喧嘩した。
原因は、私の視界の隅に入ってきた黒い物体である。
一瞬でわかった。ゴキブリだ!しかも超ビッグ。
人としてヤバイ実家で慣れていた私も、今の家では1年に1回くらいしか奴は出てこないので、すっかり耐性がなくなっており、我知らず、悲鳴が漏れ出た。
即座に逃げ出す私の代わりに、殺虫剤を手に奴を退治するのは、だんなの役目だ。
シューーーーー(噴霧の音)
・・・・・・・・・・・・・・。
ヒットはしたが、逃げられたらしい。
このままじゃ夜もおちおち眠れやしない!と探す私。
ヒットはしたんだからどこかで死んでいるだろう、とテレビを見始めるだんな。
ここで、私の中で火がくすぶりはじめる。
直後、ガサガサ、という音に反応した私の視界に入ってきたのは、ふらつきながら歩いているさっきのゴキだった。
悲鳴をあげ続ける私に、どうせ死ぬのに、と、めんどくさそうに動き出すだんな。
シューーーーーー(再び)
・・・・・・・・・・・・・・。
物陰から見ていた私に、だんなは「冷蔵庫の下でお亡くなりになったみたいだよ」と平然と言い放った。だんなにとっては、死んでしまえば、もう奴のことはそれで終了なのだ。
ありえない!! 私としては、命があろうとなかろうと、奴の存在が家の中にあるのが許せない。ましてや、奴が卵を持っていた日には、そこから増殖するのである。
しかも、冷蔵庫の下からはいまだカサコソと音がしている。死んでいないのだ・・・。
音がするたび悲鳴をあげる私に、だんなは「あれだけ殺虫剤をかければもうお亡くなりになるから」というが、だから、そういう問題ではないのである。「でも死んでないし」とごね続けていると、冷蔵庫の下から、ひっくり返って足をばたばたさせている奴が姿をあらわした。
当然家中に悲鳴が響き渡る。
シューーーーーーー(みたび)
・・・・・・・・・・・・・・。
まだ死なない。
丸めた新聞紙でとどめをさそうとする私。
そんなことしなくてももう死ぬから、と私をとどめるだんな。
しかし、前提条件が違う二人の意見がまとまることはなかった。
そうこうするうちに、ひっくり返ったまま、奴は冷蔵庫の下に消えていき、再び冷蔵庫の下からカサコソという音が・・・・。
私の中でくすぶっていた火に爆発物が投入された気がした。
「だからさっき潰しとこうって言ったのに!」
「死んだらそれでいいじゃんか!」(逆切れ)
結局、奴の死体はだんなが何とか処分した(というか、処分させた)。
このようなくそくだらないことで夫婦の溝は深まるのだった。