歴史と経済と医療の未来予測・歴史経済波動学

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貴方はいくつの真実を見つけられるか!

ピケティ+水野和夫+武者陵司≒?

2020年06月11日 13時40分42秒 | 時代・歴史


★  http://www.musha.co.jp/short_comment/detail/137

ピケティ氏、水野氏を超える論点、r1>g>r2をどう解くか  

ミラー:

武者リサーチ、ディレクターのミラー和子です。武者さん

① 現在の経済と市場を理解するうえで最も基本的な鍵は
何か、非常に抽象的な問いですが、 
  なぜそのような問いが必要なのでしょうか。

武者:

恐らく、どなたも今のマーケットや世界経済、そして政策の動きに困惑していると思います。これが正しい見解で、こうすればこうなるという定見を、誰も持ち合わせていない。非常に多くの人が異なる意見を言い、一般の方々は様々なオピニオンリーダーの意見を聞いて、益々混乱してしまうということも起こっていると思います。そこで、現在、経済・市場で展開されている最も大事なことは一体何かということを少し私なりに説明してみたいと思います。

武者:

その最大のポイントは、

❷ 資本のリターンと成長との兼ね合いだと思います。「r=資本のリターン」が「g=成長」よりも大きいという、不等式「r>g」は皆さんよくご存知、大ブームになったトマ・ピケティ氏の議論ですよね。トマ・ピケティ氏は、資本のリターンが著しく高く、一方、成長が低いということによってどんどん格差が拡大していく。このまま格差が拡大していくと、経済は退廃していくので、この格差拡大を是正する政策が必要だ。彼は、資本に対する累進課税を国際的に導入するのが正しいのではないかと言っている訳です。確かにそういうことも起こっています。米国ではたった1%の人が圧倒的富を支配しているということで、ニューヨークで「Occupy Wall Street」という運動も起きた訳です。格差論がブームになる現実的な経済情勢というのがある訳です。

ならば、それだけで今の経済情勢が理解できるかというと、違います。それは、現在起こっていることの半面です。

❸ もう一つ起こっている現実は、成長よりも資本のリターンが低いということです。資本のリターンには二通りあります。経済の成長率よりも高い資本のリターン、これを「r1」とします。しかし他方で経済の成長率より低い資本のリターン「r2」ということも起こっているのです

❹ この「r2」は何かというと、長期金利です。各国の長期金利は史上最低の水準です。日本の長期金利が今、0.3%台。ドイツの長期金利は、もう0.1%台、米国でも2%未満というように空前絶後の低金利が続いています。となると、一体何が起こっているのでしょうか? 

一方で、資本のリターン、企業の利益は経済の成長率よりもはるかに大きい。従って、トマ・ピケティ氏が言っているように、お金持ちが儲かる、企業が儲かる。これが不公平だという現実が起こっているのです。同時に長期金利は経済の成長率より低いということが起こっています。金利が経済の成長率よりも低いという現実を捉えて説明しているエコノミストもいます。例えば、

❺ 水野和夫さんなどは、資本主義はいよいよ終焉を迎えているということを言うんですけど、彼の議論は、経済の成長率よりも資本のリターンがどんどん下がっている。長期金利の著しい低下は資本がリターンを上げられなくなっている証拠であり、資本主義経済の退廃そのものだと言う訳です。水野和夫さんの議論はトマ・ピケティ氏とは全く逆の成長率よりも資本のリターンが低いという議論です。こちらに着目すると、そういう議論が成り立つ。あちらを注目すると、トマ・ピケティ氏のように、どんどん持てる者が豊かになり、格差が拡大するということが起こっている。

❻ この両者は、実は今同時に起こっている現実です。ということは、片一方の不等式だけで今の経済は説明できません。
❼ 今の経済を説明する最も適切な不等式は一体どのようなものかと言うと、「r1 >g> r2」、「r1」が企業の儲け、利潤率です。そして「r2」は企業の資本コスト、金利、利子率です。そして「g」が成長。つまり、2つの不等式が同時に起こっているのが現在の情勢の大きな特徴なんです

先ほど申し上げましたように、企業は大変儲かっている。利潤率が高い。従って、配当率は2%、企業の益回りは、今6~7%、そしてROEは10%というように企業の利潤率は極めて高いです。では、企業が商売をやる時に必要な資金の調達コストはというと、国債の金利は日本もヨーロッパもゼロ・パーセント台。アメリカだって1%台です。つまり、この両者との乖離が著しく大きくなっている。これが今の情勢の特徴です。普通は利潤率と利子率というのは、ほとんど連動すると考えられ、実際そうでした。何故なら、景気が良くて企業が儲かる時には当然金利が上がる。従って利潤率と利子率は、本当は同じものです。本来だったら「r1= r2」。これが普通の教科書的な経済の姿です。しかし、今起こっているのは

❽「r1」と「r2」が極端に乖離し、そのサンドイッチになって成長率が停滞している。この現実をどのように解釈するかということが、
  今の経済情勢を理解する最も重要な鍵なのです





ミラー:

これは、武者リサーチの投資戦略推奨と連動していますか?

武者:

連動していますよね。つまり・・・

ミラー:

現金は手放せ。

武者:

そうですよね。こちら「r2」にお金を投資したリターンはほぼゼロ。こちら「r1」に投資したらものすごい高リターン。だったら、こちら「r2」を売って、こちら「r1」を買えばいいんですね。あるいは、借金をして「r2」、こちら「r1」を買えば、もっとレバレッジが高まります。問題はこの高い利潤率と低い利子率が同時に進行しているということが長期的に続くかどうかなんですけれども、実は、

❾ この利潤率と利子率の乖離はもう10年続いています。ミラーさんも記憶にあると思いますが、今から10年前2005年、グリーンスパン、当時のFRB議長は「謎、コナンドラム(Conundrum)」ということを言いました。彼がその時に「謎(コナンドラム)」」だと言ったのは、経済は成長し企業利益が上がっている、更にFRBが金融引き締めをしている、にも関わらず金利が上がらないという現実を謎だと言った訳ですね。当時グリーンスパン議長が謎だと言い、その後リーマンショックなどがあって一時的にその謎が解消されたように見えたけれど、リーマンショックが終わってみたら、何のことはないまた、利潤率と利子率の大きな乖離が起こっている。つまり、これはもう10年にわたって続いている現象です。ということは、❿ 10年前から何をすればよかったかというと、借金をして株を買っていたら非常に大きなリターンが得られたというのが、今起こっていることなんですね。



さて、このような現実はトマ・ピケティさんのような、いわゆる資本課税によって調整できるものなのかどうか。恐らくそれだけでは解決できないことだと思います。あるいは水野和夫さんのように、金利が下がっているということは、資本のリターンが著しく低下している訳で、資本主義がもう終わりだというようなことになるのかというと、そうではないですね。今起こっている現実、2つの「r」それぞれが、成長率を挟むという不等式を、どう理解するかということを考えないと答えは出てきません。

この答えをどう説明するか。これは端的に言って、⓫ 非常に高い利潤が非常な低金利をもたらしているというように理解すべきだと思います。つまり、企業は大儲けしている。儲かったお金を再投資できなくて遊ばせている。だから金利が下がっている。つまり、高利潤と低金利は、実は今進行している技術革新、グローバライゼーションの結果起こっている、言ってみればメダルの裏表であるという可能性が強い訳です。従って、このように企業が儲かり、金利が低いというこの現実の先に何があるかというと、場合によっては経済がどんどん成長するのにお金が遊んでいる状態は経済が退廃するということです。経済はどんどん傷んでいくという可能性もあります。


結論的に言いますと、お金が遊んでいるということは何を意味するかというと、実は労働も遊んでいるということなんです。お金と人が遊んで、企業だけが儲かっていたら、経済は崩壊するという危険もある。しかし他方で、遊んでいるお金を有効に活用して成長率が高まれば、今度は経済はより発展し、人々の生活が良くなるということも起こり得ます。つまり、

⓬ この不等式を正しい方向に使えば、株価は上昇し経済は繁栄し、人々の生活が良くなるという展望が描かれます。今、主要国で行われている量的金融緩和、QEというのはまさしく、この両者の乖離を新たな需要を作ることによって、あるいはお金を有効に使うことによって縮小していく政策です。しかし、乖離をそのまま放っておいたら、場合によっては、経済は大恐慌のような破局的悪化に陥るという可能性もあるんですね。この点についての十分な説明は別の機会にいたしますが、強調したいポイントは、今多くの人があまり気付いていない、二つの不等式、この不等式をどのように理解するかということが、株式投資や経済の予想をしていく上で決定的に重要な鍵なのだということです。そして、⓭ その鍵を解くためにはトマ・ピケティさんや水野和夫さんのようなオピニオンリーダーたちの議論だけでは不十分なんだということを、ちょっと知っていただきたいと思います。やはりカギは遊休資本と遊休労働をフルに活用する需要創造にある、QEはそうした政策の中枢にあると考えるべきです。それは今から80年前の金本位制の廃棄と不換紙幣発行に比肩することなのではないかと思います


ミラー/武者:

どうもありがとうございました。

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● 上記に見られるように、専門家でもいろいろ主張があり、見解が異なります。

● 私なりに問題点を列記すれば、大きなものは以下の様になるでしょう。

  ❶ ピケティの言うように、資本主義は他の時代に比して、格差が広がる時代なのか?
  ❷ ピケティの予測するように今から格差は広がるのか? それとも一時的なものか? 
  ❸ 戦争で格差が縮まったのに、再度の最近30年余の格差の拡大は何を意味するのか?
  ❹ 最近30年余の格差の拡大は、何故日独と英米仏は異なるのか?
  ❺ 大きな観点からは、水野氏の言うように資本主義の末期が近づいているのか?
  ❻ 水野氏が恐れる、最近の超低金利の意味することはなにか?資本主義の末期なのか・
  ❼ 武者氏のいう、利潤率と利子率のかい離の意味することは何か?
  ❽ 何故にソロスのいう再帰性の理論がこの中に出てこないのか?
  ❾ 現代の経済学の問題点は何処にあるのか?

   
● 以前のピケティの図から見える事は、ピケティのデータの解釈は間違っている事を指摘しました。
  データが間違っているという事は、ないと思いますが(それは信用するしかないので)
  しかし、あえて言えば、データの時間単位が長すぎて、実際の経済の動向を
  細かく反映していない
という事です。

 図1

● 大雑把すぎます。例えは最近のデータは、1950年~2012年のデータを、一つの単位として
  グラフにポイントしているところにあります。これでは実際に30年サイクルで動く
  経済を表すには、大雑把すぎます。しかしそれでも歴史の流れはつかめます。

● 図1、r>gのグラフからは、以前にも書いたように、rとgの格差は段々と縮まって
  いるのが見えます。これは英国で近代資本主義が始まった時期≒1750年頃と一致します。
  それ以前からrは高値を維持し、資本主義と同時に少し上がっていますが、
  gの上昇には及びません。

● この図だけでも、ピケティの解釈とは逆に、資本主義になってから、格差は縮んでいるのが分かります。
  何せ資本主義以前、つまり1485年から1750年代までは資本主義ではなく、絶対王朝の時代=
  日本でいえば、江戸時代になのです。1750年以前の時代は近代資本主義の時代では
  ないのです。従ってピケティの資本主義の貶しは当てはまらないのです。

● 単に時の左派政党(オランド政権等)の金持ち虐めの思想に、迎合した解釈であることは、
  この図を見ただけでも、十分分かります。解釈が間違っているのです。


● 2012年からの予測が入った、下図2は、しかしあくまでも予想であり、現実ではありません。
  つまり、英米での格差の拡大再び上がってきているのは、しかしまだ、大戦前の格差には
  及んでいないという事と、再び下がる可能性があるという事から、単なる予測の域です。
  もし拡大すると予測するなら、それは図1から、資本主義以前に戻る事を意味するでしょう。
■ 図2


  
● ピケティの最近100年間のデータは細かいので、綺麗に30年サイクルが入っていますから、
  これは、株価の30年サイクルと金利のコンドラチェフサイクル≒60年サイクル
  と戦争による重税の組み合わせで説明できます。図3

■ 図3


● つまり大戦以前は格差が酷かったのは、図3から分かります。大戦後急激に格差が縮まって  
  いる事は判ります。これは戦争の戦費の為に、高所得者に高率な累進課税を
  課したことから、理解しやすいものです。本来格差は酷かったのです。

● ここで私の予想を言えば、今後は格差は広まるが、2029~2046年の最後の資本主義崩壊で
  格差が再び縮まると予想できます。つまり、調整の波はABCとなり、Aは下がり、Bは  
  反動で上がり、最後のCは再び下がるという、調整波の性格を言っているのです。

● 従って最後の資本主義株価の大暴落で、格差は一時的に縮まるが、最後は体制の変換とともに、
  格差は以前の絶対王朝や戦国時代の様に、格差が極端に広まる時代となるのです。
  つまり、資本主義の終わりと体制の変換、格差の拡大がピケティの  
  図からも予測できるのです


● それは資本主義的手法を導入して、擬態資本主義化した中韓を見ても分かるように、資本主義とは
  異なり、格差が異常にひどい世界を見ても分かります。ましてや北朝鮮の独裁による想像も
  できない格差や、中東のサウジアラビアなどの酷い格差の君主国に見られる世界を
  想像させます。このような世界に代わる事を予想させるのです。

 図4


● 水野氏の資本主義の崩壊の心配に対する答えは、図3、図4と図5が答えになります。
  つまり、図4から英国の金利が分かりますが、かの国の絶頂期に金利が市場
  最低になっている事が分かります。
日本が史上最低の金利ですが
  これは日本は資本主義の絶頂期である事を意味するのです。
  金利が低いのは、武者さんの説明で十分でしょう。  

● 武者氏の言うように、稼いだ資本と労働力が遊んでいるのです。つまり、一言でいえば、
  労働者の立場からは、仕事のない不景気と言う事です。しかし一部のお金持ちは
  ウハウハと言う状態
なのです。この状態が次に来る好景気の
  原動力とあり、30年サイクル⁼図5 を作るのです


 図5


● つまり、武者氏のいう利潤率と利子率のかい離は、資本家=企業家の貯蓄と近未来の
  投資と繁栄と好景気の到来の準備期間
なのです。資本主義とは=起業とは
  まずは資本ありけりです。生物でもそうでしょう。

● 異性を誘惑する、皮下脂肪を十分蓄えてから、次代の子孫を残すのです。植物でもそうです、
  光合成で十分な栄養を蓄えてから、種を残すのです。資本がなくてどのようにして
  次の投資と起業と好景気があるのです。


● これを再帰性と言うのです。すべてはサイクルであり、波動なのです。従って30年サイクル、60年サイクル
  90年サイクル、270年サイクルを知らすして、経済を語るのは、ナンセンスなのです。

● この様に見れば、武者さんのいう疑問=何故r1とr2のかい離があるのか、なぜ日本は極端に
  金利が低いのか、ピケティの解釈の一部間違いと将来の予想の問題や、
  水野さんの資本主義崩壊の疑問は全て溶けるのです。

● つまり、英米仏型資本主義の終わりと、体制変換と昔のr>gへの世界への移行が
  見えるのです。そして日独の資本主義の絶頂が見えるのです


● 再帰性の王者のソロスの脅し、中国を支援しないと第三次大戦が起こるという脅しに
  繋がるのです。本当は中国を支援して、第三次大戦を遂行できる、経済力と
  自信をつけさせてあげようという、史上最悪の陰謀ではあるが・
・・?!


● 私のいう、第三次大戦予想にもつながるのです。私はUSA株価の200年以上に及ぶ株価の
  分析と、私の一体制270年説、サーカー氏の社会循環論、村山節氏の1600年文明交代説
  等をミックスして、エリオット波動分析の理論で読み解いたものです

  

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● 上記のブログは、2015年に投稿したものです。今回も参考に同じものを投稿します。

  金利などの予測には少しずれが生じましたが、基本的な予測は同じです。




  





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