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2024年09月09日 10時47分07秒 | 西洋医学の崩壊

【今週の注目論文◆肺がん】NIPPON試験(KN189/407 vs. 9LA)は早期中止に――など

小澤雄一(浜松医療センター)

一つ目の注目論文

NIPPON試験:9LA群の治療関連死が想定より多く、早期中止に

 治療歴のない進行非小細胞肺がん(NSCLC)に対するプラチナ併用+ペムブロリズマブ(KN189 or KN407)と、プラチナ併用+ニボルマブイピリムマブ(9LA)を比較した第3相試験であるJCOG2007試験(NIPPON試験)の結果報告である。

 主要評価項目は全生存期間。414例の登録を計画したが、295例が登録された時点で9LA群で治療関連死が想定より多く見られた(11例/148例;7%)ため、早期中止となった(この時点でのKN189 or KN407群の治療関連死は3例/147例;2%)。

 観察期間中央値は15.3カ月と短く症例数も十分ではないが、この時点の結果では生存期間、PFSともに2群間に明らかな差を認めず、生存期間中央値は 20.5カ月 vs. 23.7カ月(HR 0.98:90%CI 0.72-1.34、P=0.46)、PFS中央値は7.4カ月 vs. 6.0カ月(HR 0.95:95% CI 0.73-1.25、P=0.74)であった。≧Grade3の非血液学的有害事象は9LA群で60%、KN189 or KN407群で41%と、9LA群で多い傾向が見られた。

 9LAレジメンにとって厳しい結果だと言える。途中中止とはいえ、有効性(PFS、OS)の長期的な比較はなお興味深く、2026年4月予定のupdate解析が引き続き注目される。

二つ目の注目論文

ケモにペムブロを上乗せしてもPFSとOSの統計学的に有意な延長は見られず

 EGFR遺伝子変異陽性(L858Rまたは19del)進行期NSCLCでTKI治療後に増悪した症例を対象に、CBDCA/PEM/Pemb(ケモ+ペムブロリズマブ) vs. CBDCA/PEM(ケモ)を評価した第3相試験であるKEYNOTE789試験の報告である。

 主要評価項目はPFSおよび生存期間。この試験では有意水準をP=0.0117に設定していた。ケモ+ペムブロ群に245例、ケモ群に247例の計492例が無作為化され、PFS中央値はそれぞれ5.6カ月、5.5カ月であった(HR 0.80:95% CI 0.65-0.97、 P=0.0122)。また、生存期間中央値はそれぞれ15.9カ月と14.7カ月であった(HR 0.84:95% CI 0.69-1.02、P=0.0362)。Grade≧3の有害事象はそれぞれ43.7%、38.6%であり、治療関連死はそれぞれ1例(0.4%)、2例(0.8%)であった。

 本当にギリギリでいくつか考えさせられる点もあるが、事前に設定したP値を下回っていないので、「EGFR遺伝子変異陽性例に対してケモにペムブロを上乗せしても統計学的に有意なPFS、OSの延長は見られなかった」が本試験の結論となる。PD-L1別のサブグループ解析でもPFS、OSともに大きな差は見られていない。

小澤雄一(おざわ ゆういち)

浜松医療センター腫瘍内科部長/呼吸器内科。1999年、浜松医科大学医学部卒。同付属病院第二内科で初期研修。浜松医科大学大学院、ミシガン大学外科学講座免疫療法部門研究員、聖隷三方原病院呼吸器センター内科医長、和歌山県立医科大学呼吸器内科・腫瘍内科講師、浜松医療センター呼吸器内科医長を経て、2024年4月より現職。日本肺癌学会データベース委員会委員、肺がん医療向上委員会委員。専門は肺癌、胸部悪性腫瘍、腫瘍免疫。


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