中東欧が「プーチン支持」に傾くのはなぜか?...世界秩序を揺るがす空想の「ソ連圏への郷愁」と「国民の不安」
ドイツ東部からスロバキア、ハンガリー、アゼルバイジャン、ロシアと戦火を交えたジョージアまで──なぜ、「ロシア寄り」の極右や極左が躍進しているかか
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ハンガリーのオルバン首相は親プーチン派の代表格。今年7月にはモスクワを訪れ握手を交わした VALERIY SHARIFULINーSPUTNIKーPOOLーREUTERS
ロシアがウクライナで都市部への空爆を続け、東部ドンバス地方の前線で進軍するなか、9月1日にドイツの東部2州で州議会選挙が行われ、極右と極左の政党が躍進した。 【動画】森ごと焼き尽くす...ウクライナの「火炎放射ドローン」がロシア陣地を襲う衝撃シーン とりわけ憂慮されるのは、両党がウクライナ支援に反対し、ロシア寄りの立場を取っていることだ。 極右「ドイツのための選択肢(AfD)」も左派の新党「ザーラ・ワーゲンクネヒト同盟(BSW)」も、ロシアを挑発したとして西側諸国に責任を転嫁し、ロシアとの全面的な軍事衝突を恐れる国民感情に付け込んでいる。 こうした見解や極右・極左政党の躍進はドイツ東部に限った話ではない。1989年までソ連の支配下にあった他の中東欧諸国でも同様の機運が高まり、特に顕著なのがEUとNATOの加盟国であるスロバキアとハンガリーだ。 アゼルバイジャンやジョージアなどの旧ソ連構成国でも、状況は同じ。不安と鬱憤と郷愁が入り交じった独特の国民感情を背景とするこの流れはソ連圏の復活を意味するものではないが、少なくとも中東欧の一部でイデオロギー的な結束が強まっていることを示した
ベルリンの極右集会で「ロシアとの連帯」や「ウクライナ支援反対」を訴える人々(2023年10月) NICHOLAS MULLERー SOPA IMAGESーSIPA USAーREUTERS
ハンガリーで親ロ派の代表格といえばポピュリストのオルバン・ビクトル首相だ。オルバンは80年代後半~90年代初頭にかけて自由民主主義の理想に燃えていたが、2010年に首相に就任し、自身と国家の右傾化を進めてきた。 民主主義と法の支配を損なっているとして、欧州委員会と欧州議会はオルバンを非難。今年6月には難民の受け入れと保護を定めた取り決めに意図的に反したとの理由で、欧州司法裁判所はハンガリーに2億ユーロの制裁金を科した。 だが勢いは止まらない。オルバンは22年に連続4期目の当選を果たし、ロシア寄りの姿勢を強化。 ウクライナ侵攻開始以来、EUおよびNATO加盟国の首脳として初めて23年10月にロシアのウラジーミル・プーチン大統領と北京で握手を交わした。今年7月にハンガリーがEUの輪番議長国になった数日後にも、モスクワで握手した。