夏の飲み物といえば冷やしたラムネだった。近所の駄菓子屋が夏になるとかき氷を始める。ぶっかいた氷を入れた桶やバケツに緑色のラムネの瓶が入っている。1本5円。栓抜きでビー玉を突いて、泡がこぼれないようにすぐ口をつけてすすると、ひんやりしたガラス瓶の感触と炭酸のはじける清涼感が口に広がる。
ビー球が穴を塞がないよう瓶の窪みにうまく落として飲むのがコツだ。一息入れて縁台に瓶を立てるとカラカラとビー球が音をたてる。西の空は夕焼け。「明日もあつーなるぞ」と店の爺さんが、腰の手ぬぐいで首すじをぬぐう。走って家に帰る後ろに、またカラカラとビー球が鳴った。毎日がこんな夏だった。
冷やしラムネ
飲んで都電の 眠らしゃい(ひ)。
ひやしらむね のんでとでんの ねむらしやひ
ちょいと無理があるけど、「眠らっしゃい」と読んでね。
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