ちゅう年マンデーフライデー

ライク・ア・ローリングストーンなブログマガジン「マンフラ」

カシワの大学デザイン

2006年10月19日 | 
 広告批評が「大学をデザインする」とのタイトルで、佐藤可士和さんによる明治学院大学のブランディング活動を特集している。

 1992年が18歳人口のピークだった大学業界では、その頃がバブル期で、やがて来る大学氷河期に備えてとの目論見もあったのだろうが、時代がバブルだけにおよそ先のことなど本気では考えもせず、ちょいとおしゃれな衣替えをUI(ユニヴァーシティ・アイデンディディ)などと称して、マーク・ロゴなどを作り変える大学が目白押しだったが、それは目に見える旗印のリデザインにとどまり、大学の中身の改革にまでは至らなかった。UIでずいぶん稼いだ広告代理店もあったろうが、いまや18歳人口の減少は底知らずの右肩下がり、45%の学部・学科が定員割れ状態、倒産する大学も出てくる始末で、そんな時代だからこそとりわけ私立大学はあの手この手で生き残りに必死、すわビジネスチャンスと大手広告代理店も、今度は「大学のブランディング」という生き残りプランを売り始める。ではUIは何だったのかとここではいうまいが、TVCFなどを展開した大学もあって、まあ、それがブランディングに結びついたかどうかは疑わしい。大学業界もいまや勝ち組、負け組の2極化が深刻で、負け組に足を突っ込んでしまえば、中途半端な広告展開などでは立ち直りは難しかろう。

 そうした中で、明学のブランディングは佐藤可士和という超売れっ子デザイナーを起用し、本気にさせた時点で、成功ではなかっただろうか。大手広告代理店などに無駄な金を使わず、なんでも学長が広告批評の天野祐吉氏を介して可士和氏に白羽の矢を立てたとのことで、明学の建学の理念を「do for others」と分かりやすく、徹底的にデザイン化する堅実にして大胆で継続的な活動を展開しているところに好感がもて、今後この活動がどう志願者に結びついていくか注目されるところだ。何よりも看板、大学案内はもとよりシラバスからユニフォーム、記念品のお菓子に至るまで新しいデザイン活動によって生まれたものが学生たちに指示され、それが母校への誇りにつながっていることがすばらしく、それはやはり佐藤可士和というブランド力もあっただろう。

 中身の改革がどうなっているかはよく知らないが、デザイン活動が教育の中身の再構築につながっていけば、ブランド校などといわれている東京6大学などとは、一味違ったブランド力を発揮できるのではないか。願わくばスーパーフリーのようなバカが出てこないことを。
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