5回2死二、三塁、バッターのスタンリッジに3ボールとしたところで坂本がマウンドへ歩み寄った。
なにか声をかけられた宮國はニコッと笑ったような顔でひと言、返事を返した。
焦りのない、強い表情をしていた。
速球は解説の桑田が指摘していたように若干、キレにバラつきがあったものの、
キメ球は外角の低めにノビのあるボールが決まっていた。
桑田が宮國のストレートを ”たれる” と表現していたのは、
ストレートにノビが足りないとき、ボールがキャッチャーのミットに納まる少し手前あたりで沈むよ落ちる状態になり、
その状態を”たれる” と言って、宮國のストレートにはこの ”たれる” 速球が時々見られるらしい。
それでも6回裏の先頭バッター西岡を三振に仕留めた内角の速球は、
コース、キレ、ノビともに抜群の球威だった。
1軍に上がってきてから、ストレートの球速は150キロを計測している。
さらに二打席連続でマートンを内野ゴロに仕留めた変化球も低めのいいところにきまっていた。
今シーズンのタイガース戦で少し気になっているのが鳥谷を攻めきれず、
フォアボールというケースがやや目につく点。
必要以上に警戒し過ぎているような印象が各ピッチャーにある。
鳥谷を警戒しすぎてフォアボール、ランナーが出て次のマートンに勢いがついてしまうというパターン。
今季のタイガースは大和、鳥谷、西岡とよく走る。
さらにWBC台湾戦で見せたあの鳥谷の起死回生の盗塁がイメージアップに繫がり、
タイガースの攻撃にいい効果を与えている感がある。
その影響がプレッシャーを何割り増しかにしている気もする。
先日、カープの前田健太がタイガースを完封した試合。
その試合で前田健太が見せたピッチングのように、
どんどん攻めていってとにかくバットを振らせるというのもタイガース打線攻略のポイントではないか。
昨夜の宮國は鳥谷と3回対戦して3打数1安打、その1安打もボテボテの内野安打。
ストライク先行でドンドン攻めていた宮國に対し、タイガース打線は初回から早打ちだった。
先日のカープ戦のように、攻めていっての逆転負けなら仕方がない。
まだ21歳の若者である、何度つまずいたって誰も責めやしない。
宮國への期待と信頼は、そんな程度では崩れやしない。
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