タイガースとの練習試合で解説を努めた水野氏が、高卒投手2年目の重要性を語っていたので、
その日登板した松本竜也の投球内容と合わせて取り上げてみる。
自身も高卒投手としてジャイアンツに入団した経緯の水野氏。
2年目で飛躍した高卒投手に先ず槙原と桑田の名を上げた。
両投手とも水野氏と同世代で共にジャイアンツ支えた強力投手陣の一角だ。
槙原は2年目で新人王に輝き、桑田も2年目に15勝を上げてセリーグの最優秀防御率を獲った。
ともに2年目からの飛躍だった。
その後のふたりの活躍は言うまでもない。
例えば昨年、高卒2年目で頭角を現した宮國もそういう一人である。
昨年の実績をもとに、今キャンプではさらに成長著しい姿を見ることが出来る。
体幹が太くなって少しドッシリとした感じがする。
水野氏はその宮國を引き合いに出し、高卒入団2年目になんらかのキッカケをつかめた投手は、
その後も躍進してゆく可能性が高いと語った。
その日のタイガース戦で先発登板した松本竜也も今季2年目の高卒投手。
先日の紅白戦では2回を無失点に抑える好投で、
20日のタイガースとの練習試合で先発を勝ち取ったが、
紅白戦で見せた内容とまではいかなかった。
その際、放送席にいた水野氏が語っていたのが、
高卒投手の2年目はある種のターニングポイントであるということ。
先にあげた槙原や桑田はもとより、高卒で入団した投手で大成するピッチャーは、
2年目でなんらかの結果を出しているというのだ。
ようするに2年目、3年目あたりで1軍に上がってくる力があれば、
その後も更なる飛躍が期待できる、そういうことだろう。
裏を返せば、2年目、3年目あたりで何も結果が残せなければ、その後も難しい、ということになる。
むろん、すべての高卒投手に当てはまるとは思えないが、
過去の例を思い返してみる限り、その確立はかなり高いのではないだろうか。
どんな道筋でプロの世界に入ったとしても、毎年主軸として活躍できるような選手はほんの一握りであり、
毎年毎年、どこの球団にも新たな新戦力が補強されていく。
そう何年も2軍にいて出番を待ち続けるなどという平穏な世界ではない。
入団数年で一度も1軍のマウンドに立つことなく球界を去る選手のほうがはるかに多い。
そういう意味で、今季2年目の松本竜也が初の1軍キャンプ帯同を掴み、
紅白戦、練習試合と先発のチャンスを与えられたのは首脳陣から認められた証拠だろうし、
今後、上へ向かって伸びてゆく可能性が少なからずあるという現われではないか。
ただ、今回はやや結果が伴わなかった、という残念な内容に終わった。
もう一度チャンスがあるかどうかはわからないが、水野氏が指摘したように、
現段階では、松本竜也と1軍の投手の間には明らかに差があるというのが現実だ。
内海や杉内、沢村、山口などの先発陣、中継投手、
外国人投手らを押しのけてポジションを勝ち取るところまではいっていない。
この日、紅白戦のときのキレのあるストレートは見ることが出来なかった。
ボール先行で崩れてゆくようなタイプではないだろうが、
水野氏が指摘したように常にストライクゾーンの中で勝負していて、
追い込んでも空振りを取ることのできる球がない。
150キロくらいの直球やストライクからボールになるようなキレのある変化球があるわけでもない。
やはりそれでは1軍では通用しない。
それでも紅白戦で見せたような伸びのあるストレートと充分通用するだけの変化球がないわけでもない。
もともとスライダー、フォークなど、変化球の制球力の評価が高い投手。
上づえがあるから140キロ中盤でも威力はありそうだ。
今季、宮国がガッシリとした体系になったように、松本竜也ももう少しドッシリとしたたくましさが必要か。
身長がある分、余計に細く見える。
まだプロ野球選手の身体になっていないように映る。
この日のストレートは140キロ前後。
あの身体だからもう少し鍛えればまだまだ球速はあがるだろう。
変化球には定評があるからより精度を増し、あとは細かなコントロールだろうか。
そう考えるとまだまだ課題はたくさんあるのだろう。
それでも今の時点で持っているものの質の評価は高い。
もう1年、ファームで鍛え上げ、体幹とスピード、投球術を身につけ、
今季後半、あるいは3年目にその成果を見たい。
今の松本竜也にとって、2年目の今季はとても重要である。
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