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やれば出来る澤村が今後も繰り返しやるべきこと。

2013-06-16 23:58:51 | 2013年シーズン

「やればできるじゃないか、という出来だった。」
原監督は13日のオリックス戦で完封勝利を挙げた澤村をそう称えた。
そう、澤村はやればできる投手、それだけの資質を備えている。
ただそれを継続できるかが、いつもの課題である。
ところで、今回、澤村がやって出来たこととは何だったのだろう?

交流戦に入ってからまったく勝てていない澤村だったが、
この日は133球の力投で9回を投げぬき完封勝利、4月25日以来の3勝目を挙げた。
5安打7奪三振の内容に原監督は 「やればできるじゃないか」 と評価。
先頭打者を一度も出さず、三塁を踏ませなかった堂々たるピッチングを文句なしに称えた。
とはいえ、いくらやれば出来るといっても、そうそう毎回こんな内容の投球が出来るわけもない。
ただ今回は何かを変えようと、澤村は試合前の段階で新たな調整方法に取り組んでいた。
これもやれば出来るの一つといえるだろう。

スポーツ紙によれば、7回1失点と好投した5日の日ハム戦からブルペンでの投球回数を増やし、
この日も2度、ブルペンに入るなど、フォーム固めに集中した。
さらにカメラマンに頼んで投球フォームを撮影してもらい、
何十枚ものカットを見ながら自らのフォームを分析。
それまでどうしていたのかは分からないが、
スポーツ紙が報じたように澤村自身が自ら変わろうとして実践した新たな試みなのであれば、
それもまさに ”やればできる” の、ひとつの実証だろう。
こういった、ひとつひとつの実証の積み重ねがきっと自信になり、確証になる。
野球、スポーツに限らず、どんな世界でもそうだ。

澤村が試みた新たな調整方法も、
それが澤村の身体的な何かに良い影響を及ぼすようであれば、
彼にとってそれは有効な調整方法になる。
それに結果が伴ってくれば、
その調整方法を繰り返して行くことで精神面にも良い効果が生まれるはずだ。

何年か前から、よく、スポーツ界で ”ルーティン(routine)” という言葉を耳にするようになった。
ルーティンとは、不定期、不順で行っていた作業などを、
一連のつながった動作としてパターン化していくことを指すらしい。
スポーツの世界で言えば 「型にはまった一連の動作」 なのだとか。
野球界ではイチローのルーティンが有名だ。
さまざまなジャンルにおいてこのルーティンがもたらす影響が語られているが、
スポーツアスリートに与える最大の影響は、メンタル面にあると言われる。

このところスポーツニュース等で話題を独占している世界最速高校生の桐生祥秀クン。
先日、陸上の日本選手権だろうか8日の100m決勝で1位の慶大・山県選手に続き2位でゴールを切り、
世界陸上の切符を手に入れた。
10秒を切るかどうかで注目を集めていたがタイムは10秒25という記録に終わった。
その日、どこのニュースだったかは覚えていないが、その日の桐生クンのタイムを取り上げて、
100mの現・日本記録保持者の伊東浩司さんに分析を求め、彼が面白いことを言っていた。

彼が100mの日本記録10秒00を記録したのは1998年のアジア大会。
準決勝で伊藤さんは当時のアジア記録ともなる10秒00を出した。
このとき伊藤さんは最後のゴール付近であのウサイン・ボルトがやるように流してゴールを切った。
10秒00のタイムを見た瞬間に次の決勝では間違いなく9秒台を出せると確信した。
ゴール付近でかなり流したにも拘らず出したタイムは10秒00、
肉体的にも精神的にもその時はまだまだ余裕があることを実感していた。
しかし迎えた決勝で伊藤さんは他の選手を抑えて圧勝したものの記録は10秒05に終わる。
大会は200m、400mリレーで優勝を果たし3ツの金メダルを獲得した。

その時、伊藤さんはスポーツにおけるメンタルの重要性を痛感したと語る。
準決勝のとき、たしかにあったはずの肉体的且つ精神的な余裕。
しかし、決勝を迎えると自分でも気づかないほどの微かな緊張がリキみを生んで身体の動きにわずかなズレをつくっていた。
そのわずかなズレによってバランスが崩れる。
わずかなズレによって生じる、わずかなバランスの崩れ。
スポーツではこのわずかズレが結果に大きな影響を及ぼすのだ。

0.1秒の差は100m走での距離に換算すると1mにもなる。この差は大きい。スタートにナーバスになるのも当然うなずける。
ちょとした風や身体の揺れで記録は大きく変わる。それくらい繊細な戦い。

「大事な場面、緊張する場面になると、必ずそういう気持ちがイタズラをする」
100m走のような競技は身体的なことや技術的なことばかりを重要視しがちだが、
そのときはじめて短距離走もメンタルのスポーツであることを実感したと言う。

このイタズラする精神状態というのは、緊張感の漂う、
プレッシャーのかかるような場面に顔を出す例のヤツだろう。
例えば先日の菊池雄星があとツーアウトというところでヒットを打たれノーヒットノーランを逃すといったことや、
昨日の対ホークス戦で菅野があとひとつアウトを獲れば完封勝利というところで失点をするといったような、
そういったことはプロ野球の世界ですら年間で何度も目にする。
内海が100勝を前に足踏みしたのも、不運はあったにせよ、
そういったことが関係しているような気もする。
記録云々にかかわらず、日常的に緊張感の中で戦いを繰り返す選手たちにとってみれば、
プレッシャーは常日頃から隣り合わせ。如何にそれに潰されず、
如何に平常心を保てるか、それは最大のテーマであろう。

緊張感の漂う場面でイタズラする精神状態。
類稀な才能や能力、恵まれた体格を持ってプロの世界に入ってくる多くの選手たちの中で、
ほとんどの選手たちが力を出し切れずにプロの世界から去ってゆく。
大事な場面で無駄な緊張感を呼び起こさず、冷静に自分の力を出し切ることが出来るか。
一流のラインを超える選手になるには、メンタル面を如何にコントロールできるかも技術同様、
大事な要素になってくる。
練習どおりの力が出せるか。練習での平常心を試合でも保てるか。
そういった意味でもルーティンは、
練習時などの精神状態にいつでも一定の手順を得て戻ることができる手段として非常にメリットが高い。
反復することで何某かの安心感や平常心を得られる。

13日、澤村は試合の中でも工夫を凝らしていた。
走者のない場面でクイックを取り入れたり、
投げる合い間に変化をつけて打者のタイミングを外すなど、緩急を心がけた。
試合の中で試みた新たな投球術。
そして試合の前に試みた新たな調整方法。
澤村のナイスピッチングが続いてくれることを願うばかりだが、
今回、彼の試みた調整方法が彼をより良い方向に導いてくれるのであればそれは繰り返すべきであり、
それもひとつのルーティンになるかもしれない。
無駄なリキみを取り除く手段を手に入れることは、
澤村にとって何よりも心強いはずだから。





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